「卵が先か鶏が先か」は、「どちらが先かわからない」という問題の例えとしても使われる言葉です。実際には進化論や生物学など、立場や考え方で結論が異なると言われています。この記事では「卵が先か鶏が先か」の意味や使い方、類語との違いなどの解説していきます。
「卵が先か鶏が先か」の意味とは?
「卵が先か鶏が先か」の意味は”どちらが先かわからないこと”
「卵が先か鶏が先か(たまごがさきかにわとりがさきか)」の意味は、“どちらが先なのかがわからないこと”です。「鶏が先か卵が先か」と逆に表記することもありますが、意味は同じです。
どちらが先なのか因果関係がわからない疑問やシチュエーションに対して「卵が先か鶏が先か問題のようだ」と使います。
「卵が先か鶏が先か」の結論は進化論や生物学によって違う
「卵が先か鶏が先か」の結論は、進化論や生物学など立場や考え方によって違っており、さまざまな意見や見解が述べられています。哲学や神学などにも通じる部分であり、それぞれの研究者によって見解や意見がわかれている問題です。
それぞれの視点や考え方によって結論は異なっており、そのためどれを本当の結論とするかは、意見の分かれるところです。
「卵が先か鶏が先か」の使い方と例文とは?
関連する事柄のどちらが先かわからないときに使う
関連する2つの事柄の、どちらが先なのかわからない問題が生じたときに「卵が先か鶏が先か」という言葉を使います。
たとえば、給料が安いと人材が集まらず利益が出ないが、利益が出ないから人材に投資ができないという問題です。どちらが先なのかの結論が出ない問題に対し「まるで卵が先か鶏が先か問題のようだ」と表現します。
「卵が先か鶏が先か」は矛盾する問題の例えとして使う
鶏は卵からうまれますが、卵は鶏が産みます。卵が先とすれば、鶏がいないと卵はうまれないのでは?となり、鶏が先だとすれば、卵がないと鶏はうまれないのでは?と、それぞれに問題が発生します。
卵と鶏のどちらが先に誕生したのか結論が出ないことから、矛盾する問題や相反する事柄の例えとしても使われる言葉です。
「卵が先か鶏が先か」はビジネスシーンでも使う
ビジネスシーンでも、「卵が先か鶏が先か」という問題は生じます。たとえば、利益などの成果を出すのが先か、人員や設備に投資するのが先かという問題です。
成果や利益が出ないと人員や設備に投資がしづらくなります。しかし、人員や設備が整わないと成果や利益を出しづらくなることも。利益が先か投資が先かという問題に対し「卵が先か鶏が先か問題」などと表現します。先行投資という名目で先に投資をする場合には、その結果である成果や利益を超える投資をしないよう細心の注意が必要です。
「卵が先か鶏が先か」を使った例文
「卵が先か鶏が先か」を使った例文をご紹介しましょう。
- その話は、まるで卵が先か鶏が先かの問題のようですね。
- 卵が先か鶏が先かのような議論を続けてもしかたがないので、この辺で終わりにしませんか。
- 卵が先か鶏が先か、いくら考えても結論は出ないよ。
「卵が先か鶏が先か」の類語とは?
類語①「堂々巡り」とは”同じことが繰り返されるようす”
「堂々巡り(どうどうめぐり)」とは、同じところをぐるぐると巡っている状態のこと。祈願をするために寺院などお堂の周りを何度もまわることから、考えや議論などで同じことが繰り返されているようすを表します。
「卵が先か鶏が先か」は、どちらが先なのか?というニュアンスですが、「堂々巡り」は同じことを繰り返すというニュアンスです。
- ひとりで考えていると堂々巡りを繰り返すばかりだ。
- 彼女と話し合っても同じことばかりの堂々巡りで、何も前に進まない。
類語②「水掛け論」とは”互いに意見を主張し解決しないこと”
「水掛け論(みずかけろん)」とは、お互いが自分の意見を主張することで解決しないこと。相手の話を聞かず自分の考えや意見を主張することで、話し合いや議論が前に進まないようすを「水掛け論になる」と表現します。
特に証拠などがなく、いつまでも決着できない議論も「水掛け論」です。そのため、「卵が先か鶏が先か」は、どちらが先なのかの「水掛け論」であるとも言えます。
- 言った言わないを争っても水掛け論になるだけだ。
- その話は水掛け論で、いつまでたっても平行線でしかありません。
類語③「いたちごっこ」とは”同じことの繰り返しで終わりがない”
「いたちごっこ」とは、お互いに同じようなことを繰り返すだけで終わりがないこと。子どもの手遊びのひとつで、お互いに手の甲をつねって上に重ねていくだけの繰り返し遊びが語源と言われています。
「卵が先か鶏が先か」のどちらが先かわからないというニュアンスに対し、「いたちごっこ」は似たような事を繰り返すことでいつまでも終わらないというニュアンスです。
- やられたからと言ってやり返していては、いたちごっこにしかなりませんよ。
- 同じことを繰り返してもいたちごっこになるだけなので、もうやめようと思う。
「卵が先か鶏が先か」の英語表現と例文とは?
「卵が先か鶏が先か」は英語で”chicken and egg”
「卵が先か鶏が先か」を英語では“a chicken or egg situation”や“chicken and egg problem”と表現します。「鶏が先か卵が先か問題」「鶏か卵のような状態」というニュアンスです。
「卵が先か鶏が先か」という言葉は万国共通の問題として浸透しているため、「chicken and egg」だけでも伝わります。どちらが先か分からないシチュエーションなどで使うフレーズです。
「卵が先か鶏が先か」の英語例文
「卵が先か鶏が先か」の英語例文をご紹介しましょう。
- Which came first, the chicken or the egg?(卵と鶏はどちらが先でしょうか?)
- It’s a chicken-and-egg situation(卵が先か鶏が先かのような問題だ)
まとめ
「卵が先か鶏が先か」という言葉は、どちらが先なのかわからないという意味の言葉。最初がどちらかわからなく、結論がでない問題に対して、「卵が先か鶏が先かのようだ」などと使います。「堂々巡り」や「水掛け論」なども似たような言葉ですが、それぞれニュアンスが異なるため、使い分けには注意しましょう。
実際の「卵が先か鶏が先か」の結論は、さまざまな立場や考え方によって異なる、難しい問題です。