「レッドオーシャン」の意味とは?使い方や例文・戦略事例を解説

「レッドオーシャン」とは、競争の激しい業界を指す経済用語で、「レッドオーシャンは危険だ」「レッドオーシャンは参入が厳しい」というような使い方をします。ここでは「レッドオーシャン」の事例を交えながら、言い換え表現やデメリット、戦略などについてご紹介します。

「レッドオーシャン」とは?

「レッドオーシャン」の意味は”競争の激しい市場や業界”

「レッドオーシャン(red ocean)」の意味は、“競争の激しい市場や分野、また業界やある特定の場所”です。「レッドオーシャン」は、多くの企業がすでに参入しているマーケットや一般的に人気のある業界、ライバルの多い社会などに対して使われる「経済用語」の一つです。

「レッドオーシャン」の事例

たとえば、食品業界なら水や炭酸飲料水、スナック類や乳製品など、スーパーなどで多くの種類が並ぶ品物は、市場的には「レッドオーシャン」と言えます。言ってみれば、独占的ではなく、ライバルが多い市場や分野が「レッドオーシャン」となります。

もっとわかりやすく言えば、消費者にとって「どれを選んでよいか迷ってしまう」「品数が多すぎて選べない」と思ってしまうような市場は「レッドオーシャン」である可能性が極めて高いです。

「レッドオーシャン」の語源は”血に染まる海”

「レッドオーシャン」の語源は”レッドオーシャン=赤い海”という言葉そのものにあります。赤は「血」、海は「場所、環境」を表し、「血に染まる場所・血で血を洗うような状況」を示しています。

「レッドオーシャン」は、血を見るような激しい戦いが強いられ、互いが一歩も引かないような荒々しい様子を比喩的に表す言葉として生まれました。

「レッドオーシャン」を使った例文

「レッドオーシャン」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 我が社はこのままレッドオーシャンを突き進むのだろうか。
  • レッドオーシャンを避けることは、必ずしも企業にとってプラスではない。
  • この業界も、レッドオーシャン化してしまったので、新しい市場開拓が必要だ。

「レッドオーシャン」の言い換え表現とは?

「レッドオーシャン」の言い換えは”競争市場”

「レッドオーシャン」の類語には“競争市場”があります。

「競争市場」とは、自分にとって好都合な価格やそれを上回る価格を提示している売り手と、自分にとって都合の良くない価格や低い価格で購入しようとする買い手が、お互い対立してぶつかり合う市場のことを指します。

「レッドオーシャン」の類語”競争市場”を使った例文

「レッドオーシャン」の類語”競争市場”を使った例文をご紹介しましょう。

  • 競争市場に身を置く限り、敵には一歩も譲らない。
  • 子供の数が多かった時代は、新卒で就職するのもかなりの競争市場であった。
  • 競争市場で勝ち抜くためには、ライバル企業の研究が必要だ。

補足:「競争市場」の例

売り手同士、買い手同士がライバルとして対立し、競争をすることも「競争市場」と呼んでいます。

良い例としては商品取引所や証券取引所が挙げられます。その他、同じ材料や部材をより安値で獲得しようとする企業を考えれば、常に見積にさらされる卸や下請けとして位置する会社も「競争市場」にあると言えるでしょう。

「レッドオーシャン」の対義語とは?

「レッドオーシャン」の対義語は”ブルーオーシャン”

「レッドオーシャン」の対義語は“ブルーオーシャン(blue ocean)”です。

直訳すると「青い海」となり、”穏やかで競争のない、または極めて少ない市場や分野”を意味します。これに加え、「まだ誰も参入していない未開拓で、新しい市場や業界」も「ブルーオーシャン」と呼んでいます。

血で血を洗うような激しい市場や業界などを「レッドオーシャン」と呼ぶのに対し、その真逆を表す「ブルーオーシャン」は、まさに「静かな青い海」を連想させることでしょう。

「ブルーオーシャン戦略」という使い方も

「ブルーオーシャン戦略」は、欧州経営大学の2人の教授が発表した戦略です。未開発の分野や競争のない市場を開拓することにより「高付加価値と低価格」を両立させて差別化を図り、利益を最大化するという考え方で、競争よりも新たな価値を創造することに重きを置いています。

「ブルーオーシャン」を使った例文

「ブルーオーシャン」を使った例文をご紹介しましょう。

  • これから起業するなら、ブルーオーシャンを狙うべきだ。
  • 今はブルーオーシャンでも、今後レッドオーシャンに転化する可能性は十分ある。
  • ブルーオーシャン市場だからと言って、気を抜いていると敵に抜かれてしまう。

「レッドオーシャン」のデメリットとは?

「レッドオーシャン」のデメリットは参入が難しいこと

「レッドオーシャン」の一番のデメリットは、「市場への参入が極めて難しいこと」です。「レッドオーシャン」は既存市場であり、経験ある歴史の長い企業も多く集まっています。

そもそも「レッドオーシャン」のように、ぎゅうぎゅう詰めの市場に飛び込むのは危険であり、多くのライバルに押しつぶされてしまうのが関の山です。

このような過酷な状況から、あえて「レッドオーシャン」を避け、競争の緩やかな市場に足を踏み入れる企業も多くあります。

デメリットを克服するための戦略もある

しかし「レッドオーシャン」が「最初から負け勝負の泉」であるというわけではありません。参入や市場での勝ち残りが極めて厳しい「レッドオーシャン」のデメリットを克服する戦略はいくつもあります。

1つ目は「ライバル企業の分析・研究」です。企業が持つ理念や考え方などを細かく調べ、企業動向を検討することで、同じような目線を持つことができます。

2つ目となるのが「商品の差別化」で、これは前述の企業研究の後に実践すべき項目となります。ここでライバル企業が提供する商品に欠けているものや改良すべきものを採用し、商品に付加価値を付けていきます。

この2つを実践することが成功の鍵です。

まとめ

「レッドオーシャン」とは英語の「red ocean」をカタカナ語にしたもので「競争の激しい市場や業界」を意味します。語源は「レッドオーシャン」という言葉からも想像できるように「血で血を洗うような荒々しい海」で、広義では猛然たる戦いが繰り広げられている場所や分野、また業界というニュアンスで使われています。

「レッドオーシャン戦略」では、既存の市場でいかにシェアの増大を獲得していくかが重要です。「レッドオーシャン」への市場参入にはデメリットもありますが、ライバル分析や商品の差別化を実行していくことで、堂々と勝ち進んでいくことが可能になります。