「フラッシュバック」は日常会話で軽い意味で使われることがあります。しかし「嫌な記憶を思い出し、泣く・過呼吸になる」ときに使うようなネガティブなイメージを持つ人もいます。また、ドラマや映画が好きで、撮影技法の印象が強い人もいるでしょう。「フラッシュバック」の意味や使い方、言い換えに使える類語をご紹介します。
「フラッシュバック」の意味と語源とは?
「フラッシュバック」の意味は”昔のことを思い出すこと”
「フラッシュバック」の意味は、“昔のことを思い出すこと”です。そこから映像や文学作品での「過去のシーン」という意味も持つようになりました。
トラウマなど嫌な記憶を思い出す印象が強いためか、ネガティブな言葉だと思っている人もいるようです。ただし、本来はいい思い出にも使用されます。
「フラッシュバック」の語源は英語”Flashback”
「フラッシュバック」の語源は英語“Flashback”です。ほぼ同じ意味のまま日本へ伝わり、カタカナ語として定着しました。
日本語と同じく、ポジティブな思い出にも使用されます。例えば、SNSで使われる「#fbf」というハッシュタグがあります。「Flashback Friday(フラッシュバックフライデー)」の略で、「Flashback」と曜日「 Friday(金曜日)」の頭文字を掛けた言葉遊びのひとつです。金曜日に、懐かしい思い出の写真を投稿する際に用いられます。
「フラッシュバック」の使い方と例文とは?
「フラッシュバック」は”不意に思い出す”ことを表現する
「フラッシュバック」は、過去のことを不意に思い出す際に使用される表現です。名詞として使うことも「フラッシュバックした」と動詞として使うこともあります。
ポイントは「不意に」思い出すことです。「不意に」とは”突然である・思いがけないこと”を意味します。何かをきっかけに、突然思い出す際に「フラッシュバック」が使われます。
類似した出来事をトリガーにトラウマなどを思い出す心理現象にも使われる
「フラッシュバック」は心理現象の名前にも使われています。類似した出来事をトリガーにして、トラウマなどの過去の嫌な記憶を突然思い出したり、夢に見たりする症状です。
フラッシュバックの原因はPTSD(心的外傷後ストレス障害)・うつ病などの可能性も考えられます。専門家に治療法や対処法を相談する方が良いケースも多いでしょう。診断を受けることを検討しても良いかもしれません。
「フラッシュバック症状」は薬物の使用を止めた後の症状
「フラッシュバック症状」は、覚せい剤などの薬物の使用を止めた後に起きる症状です。薬物依存症になってしまうと、薬物を止めた後も、疲労や飲酒をトリガーにして幻覚などの異常が引き起こされる可能性があります。「フラッシュバック」や「自然再燃」とも呼ばれます。
いい意味で使う場合は補足・言い換えが必要
「フラッシュバック」をいい意味で使う場合、補足や言い換えが必要になることもあります。嫌な記憶や薬物使用時の幻覚など、ネガティブな意味合いで使われることが多い言葉のためです。何を思い出すのかはっきり伝えたり、後ほどご紹介する類語に言い換えると良いでしょう。
ドラマ・映画では昔の出来事のシーンを挿入する撮影技法
ドラマ・映画などの撮影技法の「フラッシュバック」は、映像の途中で過去の場面を挿入することです。ストーリーを補完するために使われています。
もともとは、緊迫した場面で瞬間的に場面転換を続けることを意味していました。
「フラッシュバック」の例文
「フラッシュバック」を使った例文をご紹介しましょう。
- 日常的な「思い出す」表現
80年代をフラッシュバックすることをテーマに、当時のヒット曲が特集された。
久しぶりに母校を見たら、学生時代の楽しい思い出がフラッシュバックした。 - トラウマが関わる表現
Aさんは今でもライターのような小さな火すら怖がっている。火事の記憶がフラッシュバックするのだろうか。 - ドラマ・映画の撮影技法についての表現
悪役の過去がフラッシュバックしたことで、物語がより面白くなった。
「フラッシュバック」の類語とは?
「フラッシュバック」の類語は”走馬灯・不意に思い出す”
「フラッシュバック」の類語は”走馬灯(そうまとう)”です。走馬灯は影絵が回転して見える照明器具です。「走馬灯を見る」「走馬灯のように過ぎる」と使うことで”感情が高ぶって、昔の思い出が次々と思い出される”ことを表現できます。
「フラッシュバック」と違ってトラウマや薬物のイメージはありませんので、通常の「思い出す」ことを伝えたいときの言い換えに使えます。また「不意に思い出す」に言い換えることも可能です。
撮影技法の言い換えは「回想シーン」
撮影技法の「フラッシュバック」の類語は”回想シーン”です。「回想(かいそう)」とは、過去のことを振り返り思い出すことです。登場人物の過去を描写するシーンのことを「回想シーン」と呼びます。映像作品だけではなく、漫画や小説でも回想シーンと呼ばれます。
悪役の過去がフラッシュバックしたことで、物語がより面白くなった。
→悪役の回想シーンが入ったことで、物語がより面白くなった。
まとめ
「フラッシュバック」とは”昔のことを不意に思い出すこと”です。過去のシーンを挿入する撮影技法の意味でも使われます。
ポジティブな記憶にも使用できる言葉ですが、トラウマなどの印象が強い人もいるようです。「走馬灯」や「回想シーン」に言い換えた方が伝わりやすい場面もあるでしょう。
久しぶりに母校を見たら、学生時代の楽しい思い出がフラッシュバックした。
→久しぶりに母校を見たら、学生時代の楽しい思い出が走馬灯のように過ぎていった。
→久しぶりに母校を見たら、学生時代の楽しいできごとを不意に思い出した。