「尊敬語」と「謙譲語」の違いをわかりやすく解説!例文や丁寧語も

「尊敬語」と「謙譲語」は、どちらも目上の人に対して使う敬語表現です。ビジネスシーンや日常会話でもよく使いますが、混同しやすく使い分けが難しいものでもあります。

この記事では、知恵袋で質問に上がることも多い「尊敬語」と「謙譲語」の違いや使い方について解説。古文や古典での表現や丁寧語についても紹介します。

「尊敬語」と「謙譲語」の違いとは?

「尊敬語」と「謙譲語」の違いは主語が”相手か自分か”

「尊敬語」と「謙譲語」の違いは、“誰が主語であるか”というところです。「尊敬語」の主語は敬意を表したい相手であり、「謙譲語」の主語は自分です。

「尊敬語」と「謙譲語」は、目上の人に対して敬意を表す敬語表現のひとつです。「尊敬語」は相手の行動や持ち物を高める表現で、「謙譲語」は自分を下げる表現をすることで相手を高めます。

「尊敬語」とは”相手を敬い高める表現”

「尊敬語(そんけいご)」とは、相手を高めることで、相手を立てる表現。相手が主語となり、相手の行動や持ち物などを高める表現をすることで、相手に対して敬意を表します。語尾に「~れる」や「~られる」がつく場合や、接頭語である「お」や「ご」をつける場合なども。

「尊」には”身分が高い”などの意味があり、「敬」には”相手をうやまう”という意味があります。目上の人をうやまい高める表現なのが「尊敬語」です。

「謙譲語」とは”相手に謙遜してへりくだる表現”

「謙譲語(けんじょうご)」とは、自分がへりくだることで相手を立てる表現。自分が主語となり、自分の行動や持ち物などを下げた言い回しにすることで相手を立て、敬意を表します。

「謙」には”へりくだる”という意味があり、「譲」には”相手にゆずる・自分の主張を控える”などの意味があります。自分の主張を控えへりくだる表現をすることで相手を高めるのが「謙譲語」です。

「尊敬語」と「謙譲語」の使い分けと例文とは?

「尊敬語」は相手の行動について表現するとき

「尊敬語」は、上司や取引先など目上の人の行動や持ち物について表現するときに使います。

たとえば、取引先の担当者に資料を見たのかを確認する場合には、「資料はご覧になりましたか?」と表現します。相手が主語になり、相手の行動についての表現です。また、「御社」や「貴店」など、相手の会社を表現する言葉も「尊敬語」のひとつです。

「謙譲語」は自分の行動について表現するとき

「謙譲語」は、自分の行動や持ち物について表現して目上の人を立てる場合に使います。

たとえば、自分がこれから相手の会社に行くことを伝える場合、「私が伺います」と表現します。自分が主語になり、自分の行動についての表現です。また、「弊社」など自分の会社を表現する言葉も「謙譲語」のひとつです。

主語が誰になるかの違いで使い分ける

「尊敬語」と「謙譲語」はどちらも相手を立てる表現ですが、主語が誰になるかで見分けることができます。敬意を表したい相手が主語になり相手の行動を立てる表現の場合には「尊敬語」、自分が主語になり自分の行動をへりくだって表現する場合には「謙譲語」です。

ビジネスシーンなどで、目上の人に対して使う場合には、誰が主語となる文章かを意識することで、「尊敬語」と「謙譲語」を上手に使い分けましょう。

「尊敬語」の例文

「尊敬語」の例文をご紹介しましょう。

  • 明日の会議にはいらっしゃいますか?
  • どうぞお召し上がりください。
  • 〇〇さんもご存じです。

「謙譲語」の例文

「謙譲語」の例文をご紹介しましょう。

  • 明日の会議に伺います。
  • 遠慮なく頂戴いたします。
  • その件なら、存じ上げています。

古文・古典での「尊敬語」「謙譲語」とは?

古文・古典での「尊敬語」「謙譲語」は、敬意の対象が違う

古文や古典での「尊敬語」と「謙譲語」の場合には、誰を高める表現か、誰が敬意の対象になっているかで使う言葉が変わってきます。古文や古典は基本的に文章のため、書き手が誰に敬意を表しているかを見分けましょう。

古文・古典における尊敬語の例文(動作をする側が敬意の対象)
  • 先生が私にいいたまふ。(先生が私におっしゃる)
  • 彼女を彼が助けたまふ。(彼女を彼がお助けになる)
古文・古典における謙譲語の例文(動作を受ける側が敬意の対象)
  • 私が先生にまうす(申す)。(私が先生に申し上げる)
  • 彼女を彼が助けたてまつる。(彼女を彼がお助けもうしあげる)

「丁寧語」と「尊敬語」「謙譲語」の違いとは?

「丁寧語」は丁寧な言い回しで敬意を表現

「丁寧語(ていねいご)」とは、「尊敬語」「謙譲語」と同じく敬語のひとつで、丁寧な言い回しのこと。語尾に「です」「ます」や「ございます」などを使ったり、接頭語である「お」や「ご」などを使ったりして、文章を丁寧にします。

相手に対しての敬意はそれほど高くありませんが、上品で丁寧な印象を与えます。そのため、かしこまった場などはもちろん、誰に対しても使える敬語です。

「丁寧語」の例文

「丁寧語」の例文をご紹介しましょう。

  • 明日の会議に行きます。
  • ランチを食べます。
  • 先ほどの件なら知っています。

まとめ

「尊敬語」は相手の行動や持ち物に対して表現することで相手を立てる言葉。「謙譲語」は自分の行動や持ち物に対して下げる表現をすることで相手を立てる言葉です。どちらも相手を立てる敬語表現ですが、「尊敬語」と「謙譲語」の大きな違いは主語が誰になるのかというところ。敬意を表したい相手が主語となる場合には「尊敬語」、自分が主語となり相手に敬意を表す場合には「謙譲語」を使います。

同じく敬語表現のひとつである「丁寧語」は、「です・ます」などを使い文章を丁寧にする表現。かしこまった場など、誰に対しても使える敬語表現です。