「積算」の意味とは?建築・不動産業での使い方と「予算」との違い   

「積算」とは「数を加えていくこと」という意味ですが、ビジネスでは「見積もり」という意味で使われるなど多様な使われ方をしているようです。

今回は「積算」の意味に併せて、建築業や土木業、不動産業界での「積算」の意味や使い方を紹介します。また使い分けがわかりにくい「予算」や「設計価格」との違いも解説します。

「積算」の意味とは?

「積算」の数学的な意味は”数を加えていくこと”

「積算」の意味は、“次々と数を足していくこと”です。数学用語のひとつです。また、次々と数を足した結果である“合計した数”という意味もあります。

「積算」は”見積もり”という意味もある

「積算」はビジネスでも使われていて、その意味は“見積もり”です。積算の次々と数を足していくことという意味から派生していて、項目ごとに必要となる費用を割り出し合計する見積もりがまさに積算していることから、「積算」が見積もりという意味で使われるようになりました。

【建築・土木業】「積算」の意味と使い方とは?

「積算」とは見積もりとコストマネジメントをする仕事

建築業や土木業で用いられている「積算」とは、計画されている建築物を建設するためには、どれだけの費用がかかるのかを計算して見積もりを出し、建築計画におけるコストマネジメントを行う業務のことです。

積算で行われる具体的な内容は、設計図を基に必要な材料を見出してその材料費を算出したり、建築物が完成するまでの費用を見積もったり、費用面で予算オーバーにならないように単価の交渉などのコストマネジメントを行います。

積算に求められるスキルとは、設計図から必要な材料を見出せる知識や、材料の相場価格などの基本的な情報のほかに計算能力が必要です。またコストマネジメントを行うためにも関わり合う様々な業者と交渉するコミュニケーション能力や管理能力も大切なスキルです。

積算では実践的な経験が求められることもあるため、建築業での実務経験が豊富な人が積算業務をすることが多いでしょう。

資格「建築積算士」により積算の知識があることを証明できる

「建築積算士」は民間資格で、積算の基本的な知識と技術があることを証明するための資格です。建築積算士の資格がなくても積算の仕事はできますが、資格があることで積算の知識があることを証明できるので、積算士として転職するときに有利に働くでしょう。

積算ソフトで積算業務を楽にする

激務となりやすい積算業務を少しでも楽にするために、積算ソフトも販売されています。積算ソフトは高額になる傾向がありますが、積算業務を軽減してくれるだけでなく、入札時に他企業の最低制限価格を素早く算出するなどの利用法もあり便利なソフトです。

【不動産業】「積算価格」の意味とは?

「積算価格」とは不動産の推定される適正価格のこと

不動産業で使われる「積算価格」とは不動産の適正価格のことです。不動産を売却するときや購入するときに「積算価格」を参考にして、実売価格が妥当かどうかを判断します。

「積算価格」は土地と建物のそれぞれの価格を評価して、それを合算した評価額になります。土地の評価額は、路線価や国土交通省が公表する公示価格、固定資産税評価額を使って算出します。一方、建物の評価額は、同じ建物を新築した場合にかかる費用から経過年数に応じた価値が下がった減価を差し引いて算出します。

「積算」と似た言葉との違いとは?

「予算」とは”プランで見込まれる費用設定”のこと

「予算」とは、あるプランに関して見込まれる費用設定のことです。ビジネスにおいて「予算」は、あるプランに投資できる費用という意味のこともあれば、あるプランで必要となる資材の定価から集計した費用という意味のこともあります。

「積算」との違いは、「予算」はプランや商品を購入する側が示す希望額であるのに対して、「積算」は発注を受けた側が示す見積もりです。「予算」と「積算」が一致または近い場合には交渉も成立しやすくなりますが、「予算」と「積算」との差が大きいと発注者と受注者との間で折り合いをつける交渉が必要になります。

「設計価格」とは”メーカーが提示する定価”のこと

「設計価格」とは、メーカーが提示する資材の価格、つまり定価のことです。この設計価格を使って積算して、工事費用の目安にします。

設計価格を使った積算は、実際の工事にかかる見積もり(積算)とは差が出てくることがあります。なぜなら資材の実売価格は、メーカーと購入者である設計事務所や工務店との関係から、定価よりも安い値段で仕入れられることがあるからです。

そのため設計価格を基にした積算は、該当の工事をしたときのおおよその費用であり、実際にかかる費用はその前後だと考えておくといいでしょう。

「積算」の英語表現とは?

「合算する」という意味なら”add up”

「積算」の”合算する”という意味の英語表現は「add up」です。「add」は”合計する・足し算する”という意味の動詞で、「add up」で”合算する”という意味で使われます。

「add up」を使った例文

“He adds up the three figures quickly.”
「彼は3つの数字をすぐに合算する」

「見積もり」の意味なら”estimate”

「積算」の”見積もり”という意味の英語表現は「estimate」です。動詞と名詞で使われる「estimate」は、”見積書”という意味でも使える言葉です。

「estimate」を使った例文
  • “He shows the estimate for the building work.”
    「彼は建築工事の積算を見せる」
  • “He estimates the cost of building a house.”
    「彼は家の建築費用を積算する」

まとめ

「積算」とは”合算する”や”見積もり”という意味で使われている言葉で、業界によってはさらに派生して業務名や「積算価格」のような使われ方をしています。どの使い方でも基本の意味である「合算」という意味は共通しているので、「積算」という言葉を見たときには基本の意味を思い出してみるといいでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。