社会保険や国民保険に加入していれば必ず発行される「保険証」ですが、いろいろな番号があって、保育園や学校に提出する書類に記入を求められても何を書けばいいのか分かりにくいですよね。
この記事では、保険証の種類や色、保健番号などの意味を解説した後に、保育園等に提出する書類の記入方法についても説明します。
保険証の種類とは?
保険証が発行される公的医療保険は5種類
公的医療保険には、「健康保険」「共済組合」「船員保険」など5つの種類があります。それぞれ詳しくご紹介しましょう。
- 「健康保険」(通称「社会保険」):「健康保険」は会社に勤めている人が加入する保険です。通称「社会保険」で、その中に「協会けんぽ」と「組合健保」の2種類があります。
- 「共済組合」:「共済組合」は公務員や私学の教職員が加入する保険です。省庁単位や、都道府県単位などに分かれて運営されています。
- 「船員保険」:「船員保険」とは、船員が加入できる保険で、全国健康保険協会が運営しています。
- 「国民保険」:「国民保険」は自営業者や専業主婦、フリーターなど他の公的医療保険に加入していない人が加入する保険で、行政に運営されています。
- 「後期高齢者(長寿)医療制度」:「後期高齢者(長寿)医療制度」とは、75歳以上の人と、65歳以上の一定の障害のある人が加入できる保険です。
「保険証」とは公的医療保険の加入を証明するカード
「保険証」とは、公的医療保険に加入していることを証明するカードです。公的医療保険に加入すれば一人につき一枚、発行されます。
一度発行された保険証は保険に加入している間、使い続けることになります。使用を止めることはできないので、紛失した場合は悪用を防ぐためにすぐに警察に届け出ましょう。
保険証の色にはどんな意味がある?
保険証の色は事務的またはデザイン上の理由で違う
保険証の色は青やピンクなど様々な色があります。保険の種類を表していることもありますが、同じ保険でも色が違うことがあります。
保険証の色は、加入期間や職種、被保険者か扶養者などを事務的な理由から決められています。また後期高齢者医療制度の保険証では、デザイン上の理由から色が決まります。保険証の色で被保険者の収入を表していることもないので、それほど気に留めなくてもいいでしょう。
保険証ごとの色一覧
保険証ごとの色をご紹介しましょう。
- (健康保険)協会けんぽの保険証:青色、水色、オレンジ
- (健康保険)組合健保の保険証:赤、ピンク
- 共済組合保険証:黄色
- 国民保険証:灰色、緑、ピンク、赤、紫
- 船員保険証:サーモン色、アイボリー色
- 後期高齢者医療制度用保険証:紫、黄色、緑
保険証の「保険者番号」「記号」「番号」とは?【見分け方】
保険者番号6桁なら国民保険、8桁なら国保以外の保険
保険証の下部に記載されている「保険者番号」は、加入している保険の種類や保険制度を表しています。
まず保険者番号の桁数ですが、桁数によって加入している保険が絞られます。
- 保険者番号が8桁 → 健康保険(社会保険)、共済組合、船員保険、後期高齢者医療制度
- 保険者番号が6桁 → 国民保険
保険者番号は法令+都道府県+保険者別+検証番号で構成される
8桁の保険者番号では、最初の2桁が法別番号で、次の2桁が都道府県を表し、それに続く3桁は保険者別番号で、最後の1桁が検証番号です。
一方、6桁の保険者番号(国民保険)には法令番号がなく、2桁の都道府県番号と3桁の保険者別番号、最後に1桁の検証番号によって構成されています。
法令番号が保険制度を表す
保険者番号が8桁のうち上2桁の番号は「法別番号」と言って、どの保険制度に加入しているのかを表します。法令番号から加入している保険制度がわかるので、被保険者の職種がわかります。
- 01:全国健康保険協会管掌健康保険。略称「協会けんぽ」。
- 02:全員保険
- 03または04:日雇特例被保険者の保険
- 06:組合管掌健康保険。略称「組合けんぽ」。
- 07:自衛官等の療養の給付
- 31:国家公務員共済組合
- 32:地方公務員共済組合
- 33:警察共済組合
- 34:公立学校共済組合、日本私立学校振興・共済事業団
- 39:後期高齢者医療制度
退職者の保険者番号は8桁
国民保険の保険者番号は6桁だと説明しましたが、国民保険でも8桁になる場合が1例だけあります。それは退職者で、退職者の国民保険の保険者番号は8桁です。6桁の保険者番号の前に法令番号「67」が付きます。
保険証の「記号」は保険者を表す
保険証の上部にある「記号」は保険者を表しています。国民保険なら運営する行政に割り当てられた数字が、社会保険などでは勤務先に割り当てられた数字が記載されています。
保険証の「番号」は被保険者ごとに割り当てられた番号
保険証の「番号」は、被保険者個人に割り当てられた番号です。社会保険では、被保険者とその扶養家族全員が同じ番号です。国民保険では、被保険者とその扶養家族に加入順に番号が割り当てられています。
提出書類上の「保険証」の書き方とは?
幼稚園や保育園、学校等に提出する書類の中に、健康保険証について記入する箇所があります。どのように書き込めばいいのかわかりにくいことがありますよね。ここでは、提出書類の中の「健康保険証」の書き方を紹介します。
「保険証の種別」には加入保険の種類を書く
「保険証の種別」の項目には、加入している保険の種類を書きます。
保険の種類は保険証の左上の表記から分かります。保険証の左上に「健康保険被保険者証」とあれば「健康保険」または通称の「社会保険」と書きます。「〇〇共済組合組合員証」とあれば「共済組合」、「国民健康保険被保険者証」なら「国民保険」や「国民健康保険」です。
「保険証の名称」は保険証の通りに記入
「保険証の名称」の項目には、保険証の下部にある「保険者名称」に記されている保険者名をそのまま書き写します。
「記号」と「番号」は保険証の上部に記載
「保険証の記号」と「番号」の項目には、保険証上部に記されている「記号」と「番号」を書き写します。保険証の「記号」と「番号」から勤め先や個人の住所などがわかってしまうので、取り扱いには注意しましょう。
まとめ
保険証は社会保険や国民保険などの公的医療保険に加入していることを証明するカードです。個人を確認するための書類のひとつで、保険証の紛失を理由に保険証の使用を止めることができません。悪用されることのないように大切に保管しましょう。
「協会けんぽ」は国民保険協会が運営している健康保険で、中小企業が加入しています。
一方「組合健康保険」は、一企業がその傘下の企業や子会社など、または同種の事業所が一緒になって運営している保険です。