「使う」の意味とは?「遣う」との違い・敬語や言い換え表現も解説

「つかう」を漢字に直そうとした時、「使う」かな、それとも「遣う」かも、と迷ったことはありませんか。使い分けが難しい「使う」と「遣う」。

この記事では「使う」の意味と併せて「遣う」との違いと使い分け方を詳しく解説します。また「使う」の敬語表現や言い換え表現、英語表現も紹介します。

「使う」の意味と敬語表現とは?

「使う」の意味は”人や物の特性を活かして役立てること”

「使う」の意味は、“人や物の特性を活かして役立てること”です。様々な意味で使われる言葉ですが例えば、人に仕事をしてもらう、お願いした用事をしてもらう、物をある目的で用いるなどのときに「使う」という言葉を使います。

「使う」の他の意味は、お金や時間を消費することや、注意を払うことなどが挙げられます。

「使う」を使った例文
  • 仕事を間に合わせるために、後輩をこき使ってしまった。
  • スマホを使ってホテルの予約をする。
  • 予想以上に時間を使ったけれど、なんとか仕上がった。
  • お得意先の接客で気を使った。

「使う」の尊敬表現は”お使いになる”

「使う」の尊敬語は“お使いになる”で、上司などの目上の人が何かを使うことを言い表すときに用いられます。

「お使いになる」の例文
  • お砂糖はお使いになりますか。
  • このカタログはお客様がお使いになるために用意されています。

「使う」の謙譲表現は”使わせていただく”

「使う」の謙譲表現は“使わせていただく”で、相手に対してへりくだった表現になります。目上の人の前で何かを使うときに用いる表現です。

「使わせていただく」の例文
  • この記念の品は大切に使わせていただきます。
  • 貴重な資料を使わせていただき、ありがとうございました。

「使う」と「遣う」の違いとは?

「遣う」とは「使う」と同義だが限定的な使い方もある

「遣う」という言葉は「使う」の同義語で「使う」と同じ意味で使われます。一般的には「つかう」には”使う”という漢字が当てられるのですが、「気遣い」や「言葉遣い」などある限定的な言い回しにおいて「遣う」が用いられます。

「遣う」を使った例
  • お小遣い
  • 金遣い
  • 人形遣い
  • 息遣い

「遣う」には”つかわす”などの独特の意味がある

「使う」と「遣う」の違いとして、「遣う」にはつかわすさしむけるという意味があることです。

「遣う」は、人や自分のものを相手に送り出すことや自分の思いなどを相手に向けること、または自分の能力や技術で何かを動かすことという意味でも使われています。

「使う」と「遣う」の使い分け方とは?

「気をつかう」の”つかう”は「使う」

配慮するという意味で「気をつかう」という表現がありますが、この場合の”つかう”は「使う」です。

ただし「遣う」を当てて”気を遣う”と表現するケースもあります。これは「気遣う」から派生した表現として考えられ、その意味はあれこれと心配するになります。

つまり、「気を使う」で相手に心を配るという意味ですが、「気を遣う」では相手のことをいろいろと考えて心配するという意味合いが含まれます。

例文
  • 義理の母に気を使ってお菓子をすすめた。
  • 彼女が病気だと知って、気を遣い電話をした。

「使う」は動詞形、「遣う」は名詞形に使う

「使う」と「遣う」の使い分け方として、「使う」は一般的な用語に用いて、主に動詞として使われます。一方、「遣う」は一般的な用語ではなくある限られた用語に使い、主に名詞として使います。

例えば「道具を使う」や「お金を使う」のように物などを”つかう”場合には「使う」を使います。「使う」を漢語に直した”利用する”に置き換えらえるかどうかも「使う」を使うときの目安になるでしょう。

「遣う」は”気遣い・言葉遣い・息遣い”など限られた名詞と結びつき、名詞形として使われます。

「魔法使い」や「猛獣使い」などの例外もあり

原則として「使う」は動詞形で、「遣う」は名詞形で使うと覚えておけばいいのですが、例外として「魔法使い」や「猛獣使い」のように「つかう」の名詞形でありながら「使う」が使われます。これらの言葉は例外として覚えておきましょう。

「使う」の例外的な使い方例
  • 「魔法使い」
  • 「猛獣使い」
  • 「忍術使い」
  • 「剣術使い」

「使う」の言い換え表現とは?

「使用する」の意味は”人や物などを使うこと”

「使用する」の意味は“人や物などを使うこ”です。人や物の特性などを気にすることなく、ある目的のために使うことをという意味で使われます。また「使用する」は”使う”の正式な表現として使われることもあります。

「使用する」の例文
  • 辞書を重しとして使用する。
  • フラッシュの使用はご遠慮ください。

「利用する」の意味は”役立つようにうまく使うこと”

「利用する」の意味は“ある物の性能を活かして役立つようにうまく使うこと”です。また都合に合わせて便利に使うことという意味もあります。

「使う」と比べると、「利用する」の方がより使う対象の性能を見極めてその特性を活かすと意味合いが強くなります。

「使う」と「利用する」の比較
  • 「バスを使って移動する」:バスは乗り物のひとつという考え方に基づいた表現になりやすい。
  • 「バスを利用して移動する」:バスという乗り物の特性が強まった表現になる。

「活用する」の意味は”人や物を効果的に使うこと”

「活用する」の意味は“人や物の機能や特性を活かしながら効果的に使うこと”です。「効果的に使うこと」という意味が重要で、他の類義語との違いでもあります。

「活用する」の例文
  • 最新技術を活用した新商品。
  • これまでに身に着けた知識と経験を最大限に活用する。

「使う」の英語表現とは?

「使う」は英語で”use”

「使う」は英語で“use”という英単語を使いますが、「use」を日本語訳すると「使う」だけでなく”使用する”や”利用する”とも訳されます。「use」は使うという意味であらゆる文書で使われる単語なので、文脈に応じた訳し方ができます。

「use」を使った例文
  • “Can I use this pen?”
    「このペンを使ってもいい?」
  • “You can use an umbrella for rent.”
    「貸し出し用の傘を利用できる」
  • “I use free Wi-Fi.”
    「無料Wi-Fiを利用する」

まとめ

「使う」は同じ読み方をする「遣う」との使い分けに迷うこともありますが、基本的には「つかう」のときには「使う」を用いて、「つかい」には「遣う」を用いると覚えておきましょう。ただし「魔法使い」などの例外もあるので、例外的な使い方に関しては整理しておきましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。