身近な言葉「また」は、普段なにげなく使っていますが、実は接続詞・副詞・接頭語などのさまざまな役割と多くの意味を持つ便利な言葉です。さらに使い方にも多くのバリエーションがあります。この記事では、「また」について意味や使い方を解説し、あわせて類語や言い換え方も紹介します。
「また」の意味とは?
「また」の意味は”同様に・加えて・再び”など
「また」の意味は、“同様に・加えて・あるいは・再び・その上・同じく”などです。
「また」には、ある事柄と事柄をつなぐ「接続詞」としての使い方や「副詞」としての使い方があります。
「また」を接続詞として使う場合の意味と使い方とは?
「同様に」という意味で事柄を並列・列挙して使う
「また」は、“同様に・かつ・ならびに”という意味で、事柄を並列・列挙する使い方があります。次のような例文の使い方です。
- 彼女は英語が堪能であり、またドイツ語も流暢に話す
- 日本は美しい自然が豊富にあり、また歴史的観光資源にも恵まれている
- コロナ禍での生活は働く大人の行動様式を変容させたが、また子どもたちの生活も直撃するものだった
「加えて」という意味で別の事柄をつけ加えて使う
事柄を列挙する使い方のほかに、前の事柄に別の事柄をつけ加えて「加えて・その上」という意味で使う使い方があります。次のような例文があります。
- 彼は芸術家であり、また科学者でもあります
- 彼女は美貌に恵まれるだけでなく、また頭脳も明晰です
- 日本は少子化問題を抱えており、また高齢化問題にも直面している
「あるいは」という意味で使う
並列・列挙した事柄について、列挙した事柄のどれが選択されるかわからない、あるいはどれを選択してもよいときに「また」を使う使い方もあります“あるいは・または・どちらか”という意味で使います。
- 今月中となるか、また来月となるかはまだ決定していない
- 認めてもいいし、また認めなくてもかまわない
「また」を副詞で使う場合の意味と使い方とは?
「再び」という意味で使う
副詞としての「また」は、“再び・再度・もう一度”という意味の使い方があります。次のような例文です。
- 相変わらず同じような失敗がまた繰り返された
- また何か気になることがありましたらご連絡ください
「その上」という意味で別の事柄を付け加える使い方
事柄を並列・列挙して「その上」という意味で「接続詞」として使う「また」の使い方を先に紹介しましたが、並列・列挙しない形で使う場合は副詞となります。
- 田舎での生活にはまた不便が多い
- それもまた問題である
「同じく」という意味で使う
「同じく・等しく」という意味では次のように使います。ある事柄が、ほかのものと同じ状態にあることを表す使い方もあります。
- 隣の人もまた悩みを抱えた生活者である
- 息子もまた父と同じ道を目指した
「そのものと別」を意味する使い方
「そのものとは別」という意味で「また」を使うこともあります。
- 今日は忙しいからまたにしてください
- それとこれとはまた違う事柄だ
- またの機会にお願いします
「また」の言い換え方(類語)と例文:接続詞として使う場合
接続詞の「また」は”同様に・かつ”に言い換えることができる
事柄を並列・列挙するときに接続詞として使う「また」は、次の言葉に言い換えることができます。例文を使って紹介します。
- 彼女は英語が堪能であり、またドイツ語も流暢に話す
→彼女は英語が堪能であり、同様にドイツ語も流暢に話す - 日本は美しい自然が豊富にあり、また歴史的観光資源にも恵まれている
→日本は美しい自然が豊富にあり、かつ歴史的観光資源にも恵まれている
接続詞の「また」は”加えて・その上”に言い換えることができる
「同様に・かつ」という意味とニュアンスが似ていますが、並列・列挙した事柄について、「その上さらにまた(同様に)」という意味で「また」を使う場合は、「その上・加えて」に言い換えることができます。
- 彼は芸術家であり、また科学者でもあります。
→彼は芸術家であり、その上科学者でもあります。 - 彼女は美貌に恵まれており、また頭脳も明晰です
→彼女は美貌に恵まれており、加えて頭脳も明晰です
接続詞の「また」は”あるいは・または”に言い換えることができる
並列した事柄に対して、どちらになるかわからない、あるいはどちらでもよいという意味で「また」を使うときは、”あるいは・または”に言い換えることができます。
- 今月中となるか、また来月となるかはまだ決定していない
→今月中となるか、あるいは来月となるかはまだ決定していない - 認めても、また認めなくてもかまわない
→認めても、または認めなくてもかまわない
「また」の言い換え方(類語)と例文:副詞として使う場合
副詞の「また」は、”再び・再度・もう一度”に言い換えることができる
「再び」という意味で使う副詞の「また」は、”再び・再度・もう一度”に言い換えることができます。
- 同じような失敗がまた繰り返された
→同じような失敗が再び繰り返された - 同じことがまた発生した
→同じことが再度発生した
副詞の「また」は”同じく・等しく”に言い換えることができる
「同じく」という意味で使う副詞の「また」は、”同じく・等しく”に言い換えることができます。
- 隣の人もまた悩みを抱えた生活者である
→隣の人も同じく悩みを抱えた生活者である
まとめ
「また」の語は、あまりに身近すぎてその意味や使い方について意識することがない表現かもしれません。しかし「また」は接続詞や副詞としてさまざまな意味を持ち、多様な表現に欠かせない言葉です。
紹介した使い方のほかにも、何度も同じことが繰り返されるときに「またもや」「またも」と表現する派生語や、「又貸し」「又聞き」「又借り」など、「また」の接頭語・造語などもたくさんあります。「また」は実はとてもユニークな言葉かもしれません。