「弥」の意味と読み方は?男の子の名前に使われる旧字「彌」も解説

「弥」は人の名前でよく使われる漢字の一つです。言葉の意味については、日頃から意識することは少ないと思いますが、状況によって「いよいよ」という意味で使われることがあるのをご存知でしょうか?読み方においても複数あるため、こちらも社会人として押さえておきたいところです。

ここでは「弥」の意味と読み方の他、旧字や言葉の使い方などをご紹介します。

「弥」の意味と読み方とは?

「弥」の意味は「いよいよ」「ますます」

「弥」とは「いよいよ」「ますます」という意味があります。「弥」は物事や状態の程度が標準を超えて、非常であることを表す言葉です。また、「弥」は「広く行きわたる」「あまねく」「もれなく」というニュアンスもあわせ持っています。

「弥」には「極めて」「最も」という意味も

「弥」には「いよいよ」や「ますます」という意味の他に、「極めて」「最も」という意味もあります。物事が「一段と〇〇である」「たいそう〇〇である」ことを表し、ある高い状態に至っていることを表す時に使われます。

ちなみに「弥」は、はなはだしいという意味を持つ副詞の「や」と、接頭語の「い」が組み合わさってできた言葉となります。

「弥」の読み方は複数ある

「弥」は「や」「やい」「いや」「ミ」「ビ」などと読みます。単体ではあまり使用頻度の高い言葉ではありませんが、他の漢字と組み合わせてそれぞれ異なる読み方を伴って使われています。日常生活や書籍などで見られる「弥」を使った熟語の例を見てみましょう。

「弥」を使った熟語の例
  • 弥生:やよい
  • 弥次:やじ
  • 弥高:いやたか
  • 弥栄:いやさか
  • 弥終:いやはて
  • 弥勒:みろく
  • 沙弥:しゃみ
  • 弥漫:びまん

「弥」の使い方と例文

「弥」は主に小説や古い書籍で使われている

「弥」は「ますます」「いよいよ」「一段と」などの意味を持つ副詞です。しかし、現在で「弥」を副詞として使うことはあまりありません。「弥」が使われているのは、小説や古い書籍などが多いです。

「弥」をあえて用いる効果としては、読み手に独特で古風な味わいを感じさせることが挙げられます。

「弥」を使った文章の例

  • 私たちの暮らしも、弥良くなり
    (私たちの暮らしもますます良くなり)
  • 時は過ぎたるも、弥想いは募るばかり
    (時は過ぎても、一段と思いは募るばかり)
  • 水を得た魚のように、人生で弥自由な生活を送らん
    (水を得た魚のように、人生で最も自由な生活を送る)

「弥」の旧字と名前の使用について

「弥」の漢字は旧字で書くと「彌」

「弥」は、旧字に「彌」を持つ新字です。左側の弓へんは変わりませんが、右側のつくりが異なります。現在ではごく普通に使われていますが、「弥」には漢字の歴史において興味深い経緯のある漢字の一つでもあります。

昭和17年に議会答申で示した標準漢字表では、新字として「彌」、旧字をカッコ書きで「弥」と記していました。その後、「弥」も「彌」も当用漢字表から姿を消し、一時期はどちらも使えない期間があったようです。

そして、昭和23年に再び当用漢字の基準が改まり、「弥」も「彌」も使えるようになりました。現在では周知のとおり、小説や広告記事また人名などにも積極的に使われている漢字です。

「弥」は女の子「彌」は男の子の名前によく使う

前述したように、新字である「弥」も旧字である「彌」も当用漢字として認められたため、多くのシーンで見られるようになりました。とくに、現在では人名で好んで使われる傾向があります。

「弥」も「彌」も女の子はもちろん、男の子の名前で使用することが増えているようです。女の子なら新字の「弥」を使った「弥栄子」「弥生」、男の子なら旧字を使った「元彌」「和彌」など、子供の名づけの場面で好んで選ばれています。

「彌」には「おおらかに育ってほしい」という願い

「弥」の旧字である「彌」は、右側に「弓」左側に「爾」という漢字が使われています。漢字の成り立ちと意味をそれぞれ見てみると、「弓」は「弓の弦のこと」、「爾」は物事を「緩めること」となります。つまり、「彌」という漢字はもともと「弓の弦を緩めること」という意味があり、広義では「大きく広がる」ということを表しているのです。

「彌」は男の子の名前に好んで選ばれますが、「おおらかな人に育ってほしい」「広い視野を持ち、人生を歩んでほしい」というような願いが込められ、名づけられていることが多いようです。優れた洞察力をもって困難を乗り越えて行って欲しいという想いや、人生での成功を心から望む想いも含まれているのでしょう。

まとめ

「弥」は、「いよいよ」「ますます」「極めて」「たいそう」という意味です。読み方も「や」「やい」「いや」「ミ」「ビ」など複数あります。また「弥」の旧字は「彌」で、現在では男の名づけに使用することも増えています。「大きく広がる」という意味合いを持つ「弥」を名前に託すことで、「将来は広く活躍できる人に欲しい」という願いも込められているのでしょう。