契約書に印紙を貼るのはなぜ?税額と負担する人・消印の有無も解説

契約書には印紙が貼られているケースと貼られていないケースがありますが、そもそもなぜ契約書に印紙を貼る必要があるのでしょうか。今回は、印紙の意味や契約に印紙を貼る必要性について解説します。また印紙代と印紙代は誰が負担して、印紙を貼る位置なども説明します。

契約書に「印紙」を貼る意味とは?

課税文書である契約書には「印紙」を貼る

契約書に印紙を貼る意味は、経済取引に関する書類は課税文書となり、印紙税法によって印紙を貼ることが義務付けられているからです。

課税文書には20種類あり、実務上は「第1号文書」のように号数によって呼ばれます。例えば、第1号文書とは不動産売買や消費賃借に関する契約書で、第2号文書は請負契約に関する書類、第5号文書は企業の合併などに関する書類、第7号文書は継続的な取引に関する文書のようになります。

「印紙」とは”印紙税を払うための証券”

「印紙」は収入印紙の略で、課税対象となる文書に貼って印紙税を納めるための証券になります。切手のように見える「印紙」ですが、「印紙」は印紙税という税金を納めるために用いられます。

そもそも「印紙税」とは、契約書などの経済取引に関する書類に課せられる税金のことで、印紙税法に基づいています。

タイトルに「契約書」が入っていなくても課税文書になる

契約書のタイトルに契約書という文字を入れないことで印紙税の納税を逃れようとする人がいますが、税務署はその書類の内容から印紙税納税の有無を判断します。そのため、契約書のタイトルに契約書という文字が入っていなくても、その内容が契約書として判断されれば課税文書になります。

契約書に印紙を貼らないケースとは?

契約書でも非課税文書なら印紙が不要

契約書ならどの文書でも課税文書というわけではありません。契約書のなかには非課税文書になる文書もあり、非課税文書には印紙はいりません。

非課税文書には国や地方自治体、大使館など非課税法人が作成した書類や5万円未満のレシートなどが挙げられます。

また、契約書でも契約金額が1万円以下の場合や、契約内容を変更するために作成された変更契約書のうち印紙税法が規定する重要な事柄が含まれていない場合には非課税文書なので印紙は必要ありません。

特例として、型コロナウイルス感染症が影響している事業者が交わす消費賃借契約書にも印紙はいりません

電子契約書など電子データに印紙はいらない

電子契約書やEメール、FAXで交わされた契約書類は印紙はいりません。印紙は紙によって作成された書類を対象にした納税方法だからです。

契約書の印紙代の金額とは?

課税文書の印紙代は200円以上

印紙代は契約金額に比例して高くなるのが一般的です。例えば、よく取り扱われる第1号文書や第2号文書で契約金額が1万円以上では印紙代は200円です。契約金額が10万円を超えると印紙代は400円となり、契約金額に応じて徐々に印紙代も上がっていきます。

第7号文書の印紙代は一律4,000円

第7号文書は継続的な取引に交わされる契約書ですが、この契約書の印紙代は一律4,000円です。しかし、もしも継続的な取引に関する契約書でも、契約機関が3か月以内か、請負契約ではなく委任または準委任契約であれば第7号文書ではなくなるため、印紙代は4,000円ではなくなります。

第7号文書を取り交わす場合には、印紙代を節約するためにもどのような契約書を作成するべきか検討したほうがいいでしょう。

消費税込みか抜きの契約金額の表示で印紙代も変わる

契約書に記される契約金額が、消費税額が明記されず、消費税込みの金額が記されている場合は、消費税込みの契約金額に対する印紙を用意します。

一方、契約金額と消費税が別々に表記されているか、または消費税込みの金額が記されていても後付けに「消費税額○○円」のように消費税額が明記されていれば、消費税抜きの契約金額に対する印紙を用意します。

契約書の印紙代はどちらが負担?

印紙代は契約書の作成者が負担

印紙代は契約書の作成者側が負担します。もしも共同で契約書を作成した場合には、双方で折半して負担するのが一般的です。

印紙は郵便局やコンビニで購入できる

印紙は法務局や、手軽な場所なら郵便局やコンビニ、チケットショップやタバコ屋などでも購入できます。ただ店舗によっては高額な印紙は取り扱いがないこともあるので、確実に印紙を購入したいのなら郵便局か法務局がおすすめです。

印紙の正しい貼り方とペナルティとは?

印紙は契約書の左上に貼るのが一般的

印紙は契約書の左上に貼るのが一般的ですが、印紙の貼る位置に関しての決まりはありません。契約を交わす双方が納得していれば別の位置に印紙を貼ることもできます。

印紙には消印を押す

印紙には、必ず「消印」を押します。「消印」とは、印紙の再利用を防ぐために印紙と契約書にまたがった位置に押印することです。印紙はただ契約書に貼っただけでは印紙税を支払ったことにはならず、消印があって初めて税金が納められたことが証明されます。

消印は契約者のどちらか一方で十分

消印は契約者双方が押されることが多いですが、印紙の再利用を防ぐための消印なのでどちらか一方が消印をすれば十分です。

消印に使われるハンコは、契約に用いられたハンコを使う必要はなく、シャチハタ印や日付印、屋号の入った角印も使えます。ハンコの代わりにボールペンなどの簡単に消せない文具で署名しても構いません。

印紙を貼り忘れると過怠税が発生する

印紙を貼り忘れたことを税務調査で指摘されると、過怠税(かたいぜい)として印紙税の3倍の額の税額が徴収されます。過怠税の内訳は、印紙を貼って支払うべきだった印紙税分とペナルティとしての金額です。

ただし、税務調査が入る前に自己申告をすれば、過怠税は1.1倍に軽減されます。

また収入印紙を貼っても消印を押し忘れた場合にも過怠税が徴収されますので、消印の押し忘れにも注意しましょう。

まとめ

契約書の中でも課税文書として取り扱われる契約書には印紙が必要です。印紙は消印があって納税が証明されたことになるのですが、この「消印」を「割印(わりいん)」と言い間違えられることが多いので気を付けましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。