「生活保護」のデメリットとは?生活保護受給者の義務も解説

「生活保護」は生活に困窮する人は誰もが申請することができる国のセーフティネットです。しかし受給することのデメリットを考えて相談を躊躇する人もいるようです。

この記事では、生活保護のデメリットとして考えられやすい要件について解説します。あわせて生活保護受給にあたっての義務についても解説しています。

「生活保護」を受給するにあたってのデメリットとは?

生活保護は国民の生存権を国が保障する最後の受け皿となる制度であり、生活保護の申請は国民の権利として保障されています。

つまり、生活に困窮する国民は、誰もが生活保護を申請できるのですが、保護を受けることによるデメリットがあるのではと考える人もいます。「生活保護」を受給するにあたり、デメリットとなることは実際にあるのでしょうか?

一部の物品や財産の所有が制限される

生活保護は、最低限度の生活が維持できない場合に、その「不足分」を支給する制度です。つまり、生活を維持するために必要とはみなされない「贅沢品」の所有は認められません。

しかし何が「贅沢品」であるのかという明確な規定はないため、そのときの一般的な生活状況に応じて担当のケースワーカーが判断するということになります。

例えば、生活を維持する上で必要のない高価な宝飾品やブランド品が贅沢品であることは、一般の通念としてわかりやすい例ですが、エアコンやパソコンなどはかつては贅沢品であったものの、現在では生活の必需品として所有が認められるものとなっています。また、ゲーム機器や趣味の道具なども所有が認められる例もあります。

贅沢品であるかどうかの判断基準は、日本国民の生存権を規定した「日本国憲法第25条」に求められます。

日本国憲法(第二十五条)
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する

つまり、生活保護は、単なる最低限度の生活を保障するものではなく、「健康で文化的な」最低限度の生活を保障するものであるとの認識が重要であるということです。

処分価値が高い自宅や車などは処分指導される

生活保護を受ける条件として誤解が多いものに、自宅を所有していると保護を受けることができないというものがあります。実際には、原則として自分が住むための自宅の保有は資産を活用するという視点からも保有が認められています。

自宅に関する例外として、処分価値が著しく高い物件である場合は、処分の指導がされることがあります。他にも、建物が大きかったり敷地が広かったりすることで管理・維持費が高額になる場合なども処分の対象となることがあります。

自宅と同様に車についても、一律に所有は認められないとの誤解がありますが、公共交通機関の脆弱な地方部に住む人や、収入を得るために車が必要な人などは、その所有は認められます。しかし、処分価値や維持費が高額である高級車などは処分が指導されます。

家賃の高い賃貸住宅に住む人は転居を指導される

賃貸住宅に住んでいる場合、その家賃が生活保護の限度額よりも高い場合には、基準額内の家賃の物件に転居するように指導されます。

しかし家賃の額については保護開始の要件ではないため、生活保護を受けながら転居を進めることができます。指導に基づいて転居する際には、敷金や引っ越し費用等の経費が支給されることになっています。

生活保護のメリットがデメリットに転じることもある

生活保護にはデメリットと感じる制限も多いですが、メリットと感じられるような手厚い制度であることも事実です。しかしそのメリットがデメリットに転じる危険もはらんでいます。

生活保護では、最低限の生活を送るために必要な生活費が支給されるとともに、個別の事情に応じてさまざまな扶助を受けることができます。たとえば、生活保護受給者は原則として医療費の全額が支給されたり、公的保険やNHK受信料の免除がされたりします。

これらのきめ細かい支給が、生活保護から自立しようとしたとき、大きなハードルとなってしまうことがあります。生活保護から抜け出たとき、一度に支払いが大きくなるためです。生活保護を一度受給してしまうと、抜け出ることが困難になることの要因ともなっていると考えられています。

デメリットと感じる人もいる生活保護受給者の「義務」とは?

生活保護を受給するにあたって、デメリットだと感じる人が多い要件に、受給中の被保護者にかかる「義務」があります。その義務とはどのようなものなのでしょうか?ここからは、「生活保護法」に規定されている被保護者の3つの義務について解説します。

「生活上の義務」

被保護者は、常に能力に応じて勤労に励み、健康の保持および増進に務め、生計の状況を適切に把握するとともに節約を図らなければならないと生活保護法に定められています。

これらの状況を確認するため、福祉事務所のケースワーカーが家庭訪問を行います。少なくとも1年に2回以上訪問します。面倒だからと、被保護者が家庭訪問を拒否することはできません。

「届出の義務」

被保護者は、収入などの生計の状況に変動があったときや、世帯構成に変化があったときは保護の実施期間や福祉事務所に届け出ることが義務づけられています。

保護は世帯単位で行われるため、世帯の状況を福祉事務所が把握しておく必要があるからです。しかし同居する人を常に報告しなければならないことについて、プライベートを侵害されていると感じる人もいるかもしれません。

「指示等に従う義務」

保護の実施機関は、被保護者の自立を助長するために必要な助言を行います。被保護者は必要な指導または指示を受けたときは、これに従わなければならないと規定されています。

もちろん、必要でない助言やかえって自立を妨げることになる助言などには従う必要はありませんが、ケースワーカーとの相性などにより、意見の行き違いが起こることもあります。

 
 

まとめ

生活保護制度は、生活に困窮する人に対して必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とする国の社会保障です。

「健康で文化的な最低限度の生活」を超える豊かな生活を保障するものではないため、おのずと保護内容の線引きが必要となります。その線引きを生活保護のデメリットと感じ、申請を躊躇する人もいるかもしれません。

しかし誤った情報から生活保護を躊躇することで、受けられる保護を逃してしまうことのないよう、万が一の時に備え、日頃から情報収集しておくことも必要です。