「猫も杓子も」の意味とは?語源や類語・正しい使い方までを解説

「猫も杓子も」は「猫」と「杓子」という一見して共通点の見られない二つの言葉からできたことわざです。会話の中で使うことがありますが、語源や本来の意味を知っていますか?

ここでは「猫も杓子も」に焦点を当て、意味と使い方、類語と英語表現を例文を使って紹介しています。どうぞ、参考にしてみて下さい。

「猫も杓子(しゃくし)も」の読み方・意味・語源

それでは「猫も杓子も」の語源と意味を読み方とあわせて見てみましょう。

意味は「誰もかれも」

「猫も杓子も」の意味は、「誰もかれも」です。ある状況やものごとに対して「誰もがしている」「何でもかんでも同じだ」というニュアンスを持って放たれる言葉でもあります。

読み方は「ねこもしゃくしも」

「猫も杓子も」は日常会話や職場で使われますが、読み書きが難しいと感じる人も多いようです。「猫も杓子も」の読み方は「ねこもしゃくしも」となります。

「杓子」とは頭が丸く広がった柄のついた道具で、一般的には「しゃもじ」と呼ばれるものです。白飯を持ったり、汁物をすくう道具として一般的に使われる日常的な調理ツールとして知られているでしょう。「杓子」が「しゃもじ」のことであるため、読み方において「ねこもしゃもじも」と読み違いをしないように気を付けて下さい。

語源は「一休さん」など諸説

「猫も杓子も」の語源は諸説あります。一つ目は「禰宜(めこ)も釈子(しゃくし)も」から形を変えたという説、二つ目は「「女子(めこ)も弱子(じゃくし)も」を聞き違えたという説、3つ目は「日常的にありふれたものをたとえて猫や主婦を表す杓子を挙げた」という説、4つ目は「一休咄(一休さん)」の話の中に出てくる「釈迦も達磨も猫も杓子も」から来たという説です。

諸説ある中でも一休さんの話が最も有力であるといわれていますが、正しい語源はわかっていません。

「猫も杓子(しゃくし)も」の類語は?

続いて「猫も杓子も」の類語を紹介します。「どのような意味を表すか」によって類語が2パターンあるので、それぞれ確認してみましょう。

類語①「右も左も」「揃いも揃って」など

「猫も杓子も」で「周りの人が同じようなさまであること」の意味を持つ類語は「右も左も」「揃いも揃って」「あの人もこの人も」「誰もが皆」「一様に」「一人残らず」などがあります。

状況や立場によって適切な類語に言い換えてみましょう。

今年は右も左も水玉模様ばかりだね。
今年は猫も杓子も水玉模様ばかりだね

揃いも揃って同じ意見だとは驚きだ。
猫も杓子も同じ意見だとは驚きだ

このレストランでは皆一様にパスタを頼むようだ。
このレストランでは猫も杓子もパスタを頼むようだ。

類語②「雲霞のごとくに」「我勝ちに」など

「猫も杓子」で「多数の人が同様の行動をとる様子」の意味を持つ類語としては「雲霞のごとくに」「我勝ちに」「なだれを打って」「一斉に」などが挙げられます。

これらの類語の場合、状況によっては言い換えとしてピッタリこない類語もあるでしょう。言い換えをする時は言葉の意味が通じることを確認してから使うようにして下さい。

  • ラッシュ時では雲霞のごとく、速足で歩く姿が見られる。
  • 我勝ちにとバーゲンセールで商品を手に取る主婦が目立った。
  • 新発売の携帯電話に、なだれを打って人々が押し寄せた。
  • 会議では参加者が一斉に手を挙げて質問をした。

「猫も杓子(しゃくし)も」を英語で表現すると?

国際化を迎えて、英語の必要度も高まってきました。「猫も杓子も」を英会話に取り入れて、コミュニケーションに花を咲かせていきましょう。

英語表現は「everybody」を使う

「猫も杓子も」を英語で表現するときは「誰もかれも」の意味をさらに強める「Everybody and his dog」「Everybody and his brother」という比喩表現を使いましょう。ニュアンス的には「Everybody=みんな」に「his dog(飼い犬でさえ)」や「his brother(自身の兄弟ですら)」などを加え強調する意図があります。

また、実際の名前を用い慣用句として「Every Tom, Dick and Harry=世界中のトム、ディック、ハリーまでもが」という言う場合も多いです。ごくありふれた名前を続けることによって「誰もかれも」を表現し、「本当にみんなそうなんだから」という気持ちを代弁しているのでしょう。

「猫も杓子も」を使った英語の例文

英語ではこのように使ってみましょう。

  • Everybody and his dog are having steak tonight.
    猫も杓子も今夜はステーキを食べている(飼い犬さえもという皮肉を込めて)
  • Every Tom, Dick and Harry are all busy for Christmas shopping.
    猫も杓子もクリスマスショッピングに忙しい。

まとめ

「猫も杓子も」の意味は「誰も彼も」「何でもすべて」「何もかも一緒くた」という意味を持つことわざです。語源は「一休さんに登場する言葉から誕生した」など諸説ありますが、本当の語源はわかっていません。

また、「猫も杓子も」は流行りを好んだり、話題性に敏感である日本では状況的にも当てはまるシーンも多いかもしれませんが、個性を尊ぶ英語圏では「皆同じでつまらない」というニュアンスを多少持って放たれる傾向があります。

「猫も杓子も」という言葉がビジネスシーンで飛び出したら、状況的には「何か変化を求めいる」証拠かもしれません。言葉の意味をしっかり理解しててビジネスチャンスを発掘していきましょう。