「だらしない」の意味とは?語源と漢字・類語や英語もあわせて解説

「だらしない」は、ごく日常的に使われる形容詞の一つです。主にきちんとしていない様や、しまりがないようなことを表す時に使われますが、社会人としては語源や漢字についても知っておきたいところです。

ここでは「だらしない」の意味をはじめ、使い方と例文、類語・英語や中国語表現などについてご紹介します。

「だらしない」とは?

「だらしない」の意味は”しまりがなく整っていない”

「だらしない」の意味は、“しまりがない・整っていない”ことです。人の気持ちや行動にけじめがなく、きちんとしていないことを表しています。

また、「だらしない」は、物事への限度や節度を考えず、ズルズルと行動すること、また緊張感がなく気持ちがたるむことも意味します。たとえば、部屋が散らかっていたり、お金にしまりがないことを「だらしない」という言葉で表現することがあります。

「だらしない」は根性がないことも意味する

「だらしない」は、気持ちや状態にしまりがないという意味の他に、根性や意気地がないという意味も持ちあわせます。つまり「だらしない」は、気力や体力などにハリがなく、情けないような状況を表す時にも使われます。

たとえば、スポーツや勉強など物事を途中でやすやすと断念してしまったり、発言や行動にやる気やモチベーションがないような状態は、言ってみれば「だらしない」とも言えます。このように「だらしない」は、気概がなく、心がしっかりしていない状態を示す言葉でもあります。

「だらしない」の語源は”しだらない”の音節入れ替え

幼い子供が誤って「あたらしい」を「あらたしい」、「かたつむり」を「たかつむり」などと、音節を入れ替えて話しているのを聞いたことはありませんか?音の響きや言いやすさなどが影響し、無意識のうちに順番を変えて言ってしまうことはよくあることです。

「だらしない」の語源も、音節の入れ替えが関係しています。「だらしない」は、物事の状態や人の言動にしまりがないという意味を持つ「しだらない」の音節の前後を変えた言葉です。

「しだらない」の「しだら」とは、もともと「ふしだら」のしだら、また「自堕落(じだらく)」に訛りを加えて変化したものとされています。加えて、一般的に濁音を言葉の先頭に置くと、ネガティブな印象を与える効果もあることから、自然と言い回しが「しだらない」から「だらしない」へとなったと考えられています。

「だらしない」を漢字で表すなら同義語「怠惰」

「だらしない」という言葉そのものに対しては、漢字表記は存在しません。しかし、改まった文章を書くときや、できるだけ漢字を使用したいという場合は「怠惰(たいだ)」という言葉に言い換えることもできるでしょう。

「だらしない」とは気持ちが緩みなまけること、つまり「怠惰」であることを意味します。この二つの言葉はニュアンス的な違いは多少あっても、意味の上では同義語となります。あわせて覚えておきましょう。

「だらしない」の使い方と例文とは?

「だらしなさ」「だらしなげ」「だらしなく」を使う

「だらしない」には、名詞「だらしなさ」形容動詞「だらしなげ」「だらしなく」など、派生した言葉があります。「〇〇は、だらしない」というように、多くは形容詞として使われますが、文脈によっては名詞や形容動詞に形を変えて用いることもできます。

派生語の例文
  • 最近、仕事へのだらしなさが増えてきた。
  • 彼のだらしなげな態度に、ガッカリした。
  • だらしなくまとった服装だけは、デートに不適切だ。

「だらしない」を使った例文

「だらしない」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • だらしない生活を続けるのはやめよう。
  • 職場ではだらしない服装、だらしない態度は御法度である。
  • 部屋を散らかしっぱなしして、本当にだらしない。
  • お金にだらしないのが玉にきずである。
  • 彼は女性関係にだらしがない。
  • 途中であきらめるなんて、ちょっとだらしないよね。
  • だらしないのは、気が緩んでいる証拠である。

「だらしない」の類語とは?

「だらしない」の類語は”ちゃらんぽらん・ずぼら・放漫”

「だらしない」の類語には“ちゃらんぽらん・ずぼら・放漫”の他、”ぐうたら・下品・不体裁”などがあります。

「ちゃらんぽらん・ずぼら・ぐうたら」は”ちゃらんぽらんな性格・ずぼらな恰好・ぐうたらな態度”というように、言動や態度が適当で言い加減な様子を表します。

また「放漫」は”放漫な態度”というように、考えや気持ちが散漫でまとまりがない様子を意味し、「下品」や「不体裁」は”下品な服装”や”不体裁な挨拶”などのように、品行や外聞が悪いことを意味します。

「だらしない」のカタカナ語の類語は”ルーズ・アバウト”

「だらしない」のカタカナ語での類語には「ルーズ(loose)=緩い」や「アバウト(about)」=およそ」があります。どちらも英語の意味を軸とした和製英語ですが、どちらも人の性質がだらしなく、だいたいであることを表す時に使われます。

「ルーズな考え」や「アバウトな性格」というように、基本的には考え方や物事への捉え方がだいたいでキッチリしていない様子を意味します。「だらしない」という表現よりは、やや皮肉めいた響きがあるため、相手の締まりのなさを遠回し指摘する時に使われることが多いです。下記で受け手への印象の違いを比べてみます。

類語の比較例文
  • 君の行動は結構だらしないよね。
  • 君の行動は結構アバウトだよね。
  • 君の考えは結構ルーズだよね。

「だらしない」の英語表現や中国語表現とは?

「だらしない」の英語フレーズはたくさん

「だらしない」を表す英語フレーズは多くあります。たとえば、見かけや外見がだらしない時は「blowzy」「dowdy」「grubby」、口語では「tacky」という表現が使われます。

また、気力や体力がなく、意気地がない意味での「だらしない」は、「gutless」口語では相手をからかうニュアンスで「wuss」を使います。

英語例文
  • That person is grubby : あの人、見かけがだらしない。
  • You are so gutless!:本当にだらしないんだから!

「だらしない」は中国語で「泄气」や「窝囊」

「だらしない」を中国語で表すと「泄气(xiè qì)」や「窝囊(wōnang)」などになります。「泄气」は気が緩んでダラダラとしていること、「窝囊」は服装や見なりなどの外見が下品でキッチリとしていないことを意味します。

まとめ

「だらしない」とは、人の性質や性格を含め、気持ちが緩むことで締まりが無くなってしまうことを表す言葉です。そのため、周囲からみると「緊張感がなく、しっかりしていない」というように映ってしまうことでしょう。

とくに、ビジネスや職場で行動や服装がだらしないと、結果として信用度が薄れてしまうことがあります。

「だらしない」は気持ちの緩みが生んでしまうネガティブな行動です。立派な社会人としても、ぜひ「だらしなさ」を打倒して、締まりのある言動を心掛けていきましょう。