「こじらせる」の使い方は変化しつつあります。本来の使い方は「風邪をこじらせる」などです。しかし、近年では「恋愛をこじらせる」と恋愛の話題で使われています。また「こじらせ女子」「こじらせたオタク」のように、性格や状態を表す言葉として使われることもあります。「こじらせる」の意味や類語を確認しましょう。
「こじらせる」の意味と使い方

「こじらせる」の意味とは「物事を面倒にする」
「こじらせる」は主に2つの意味があります。1つめの意味は「物事を面倒にして、処理を難しくする」です。余計なことをして問題を複雑にしたり、話がまとまりかけた際に余計なことを言ってしまったりする場合に使われます。ネガティブな意味合いの強い言葉です。
私の返事が悪かったせいで、話をこじらせてしまった。
風邪などの病気に対しては「長引かせる」
2つ目の意味は、病気を対して使われる「治しきれずに長引かせる」です。自分が苦しいだけではなく、周囲に迷惑がかかる可能性もあるため、病気をこじらせることは避けた方が良いでしょう。
忙しくて受診を後回しにしていた結果、風邪をこじらせてしまった。
「こじらせる」を漢字で書くと「拗らせる」
「こじらせる」を漢字で書く場合は「拗らせる」です。ただし、「抉」は「常用漢字」に含まれていないため、平仮名で書かれることが一般的です。自分が使用する場合も、特別な意図がなければ平仮名を使用しましょう。
なお、常用漢字は「日常的に使う漢字の目安」のため、漢字で書いても誤用にはなりません。
「こじらせる」の俗語的な使い方

「〇〇をこじらせる」は「〇〇が長引いて悪い影響が出ている」
「こじらせる」の俗語的な表現は「〇〇が長引いて悪い影響が出ている」や「自身に問題があって〇〇が長引いている」際に使われます。病気に使う際と似た意味合いになるため、〇〇にあたる言葉にネガティブな印象を与えます。
思わず「それは独身をこじらせてるよ」と口にしてしまい、友人を激怒させてしまった。
よく使われていますが、俗語のためかしこまった会話では避けましょう。
オタク用語では「リアコ」「ガチ恋」とセットで使われやすい
オタク用語でも「こじらせる」が使われることがあります。特にアイドルやフィクション作品のキャラクターに本気で恋愛感情を抱く「リアコ」「ガチ恋」とセットで使われやすいようです。
リアコこじらせて本気でつらいのに、誰も話を真剣に聞いてくれない。
「こじらせ女子(男子)」は「面倒な人」
「こじらせ女子」「こじらせ男子」は、性格・考え方が周囲と合わない「面倒な人」を表す総称として使われています。人によって面倒に感じる性格が違うため統一されてはいないのですが、以下のような人が「こじらせている」と言われやすいようです。
- 劣等感が強く、ネガティブ思考
- 自分を過大評価して、プライド・理想が高い
- 好きなものへのこだわりが強すぎる
- 理屈っぽい
流行しはじめた当初は、現在より意味が狭い言葉でした。「世間に求められる『女性らしさ』に抵抗や違和感を感じ、自信が持てない女性」という意味で使われていました。
恋愛用語としての「こじらせる」の使い方

恋愛では「性格のために恋愛がうまくいかない人」を表す
恋愛の話題での「こじらせる」は、「自身の性格のために、恋愛がうまくいかない人」という意味で使われています。先ほどの「こじらせ女子・男子」のような性格のため、相手に面倒に思われて恋が叶いづらいようです。
また、恋愛がうまくいかない期間が続いたせいで、極端に焦る・心が折れて諦めるなどの状態を「こじらせる」と表現することもあります。
- Aは理想が高く、デートの誘いを断り続けている。おかげで「こじらせ女子」だと避けられるようになってしまった。
- Bは失恋をこじらせて、恋愛を避けるようになってしまった。
どちらも俗語的な使い方のため、かしこまった会話では使わない方が良いでしょう。
「こじらせる」の類語

「こじらせる」の類語は「ややこしくする」「長引かせる」
本来の意味の「こじらせる」の類語は「ややこしくする」です。「物事を複雑にする」という意味です。
病気に使う場合は「長引く」が類語になります。意味の説明に使われるように、分かりやすい表現のため言い換えにも向いています。
- 私の返事が悪かったせいで、話をこじらせてしまった。
→私の返事が悪かったせいで、話がややこしくなってしまった。 - 忙しくて受診を後回しにしていた結果、風邪をこじらせてしまった。
→忙しくて受診を後回しにしていた結果、風邪が長引いてしまった。
恋愛用語の類語は「非モテ」だが言い換えには不向き
恋愛用語の「こじらせる」の類語は「非モテ」です。「非モテ」とは「誰にも恋愛感情を抱かれない人・状況」という意味です。
ただし、言い換えには向いていません。理由は「非モテの意味が勘違いされやすい」ためです。「非モテ」を「多くの人に好かれたい(モテたい)のに、それが叶わない状況」という意味だと思う人もいます。この場合「こじらせる」とは意味が離れてしまいます。
まとめ
本来の「こじらせる」は「物事を面倒にする」「病気が長引く」という意味です。しかし、近年では人の性格・状況や恋愛面の問題について使われることが増えています。俗語的な使い方になりますので、かしこまった会話では本来の意味のみ使うようにしましょう。