「目は口ほどに物を言う」は誰もが聞いたことのある昔ながらのことわざですが、このところ注目度が上昇しています。コロナ禍においてマスクが生活必需品となり、コミュニケーション手段としての目が注目されたことが背景にあるようです。この記事では、「目は口ほどに物を言う」の意味や使い方・例文を紹介します。
「目は口ほどに物を言う」の意味とは?
「何も言わなくても目つきから気持ちが伝わる」という意味
「目は口ほどに物を言う」の意味は、“何も言わなくても目つきから気持ちや感情が伝わるものだ”ということです。
「目は心の鏡」ということわざもあるように、言葉を語らない「目」が真実の心を映し出すと考える日本の文化的な背景があることわざだといえます。
「強い目つきは口で話す以上に説得力がある」という意味もある
何も言わなくても目は感情を伝える、という意味とは少々ニュアンスの違う意味として、「強い目つきは口で話す以上に説得力がある」という意味も「目は口ほどに物を言う」にはあります。
気持ちや感情をこめた目つきは、言葉で伝える以上に相手の心を捉える、という意味であり、目による感情表現の大切さに焦点をおく使い方がされます。
「口でごまかしても目を見ればわかる」という意味もある
あるいは、言葉でごまかしたり繕ったりしても、目を見れば本音がわかる、という意味でも「目は口ほどに物を言う」は使われます。「口でごまかしても目を見ればわかる」という意味で批判的に用いられます。
「目は口ほどに物を言う」の使い方と例文とは?
「何も言わなくても目を見ればわかる」という肯定的な意味での使い方
肯定的に「何も言わなくても目を見ればわかる」という意味で、「目は口ほどに物を言う」を使う場合の例文を紹介します。恋愛感情を表現するときにも使われます。
- 目は口ほどに物を言うというように、何も言わなくてもあなたの目が気持ちを伝えていますよ。
- 目を見るだけで気持ちが伝わってきます。まさに「目は口ほどに物を言う」ですね。
「言葉で繕っても本心は目に現れる」という否定的な意味での使い方
嘘をついている人に対して、目つきに現れる本心は隠すことはできないと、相手を批判する使い方を例文で紹介します。言葉で繕っても目を見れば本音がわかるという意味での使い方です。
- 目は口ほどに物を言うのだから、適当なことは言わないほうがいいですよ。
- 目は口ほどに物を言うといいますが、口から出まかせだということはあなたの目を見れば明らかですね。
- 目は口ほどに物を言うというとおり、それが彼の本心でないことは目を見れば明らかだった。
コロナ禍のマスク使用で引用されることが多くなった使い方
2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行に伴って生活に定着したのがマスクです。マスクをつけることにより、顔の表情が確認できるのが目だけになったことから、おのずと「目」に注目が集まりました。
目元の化粧品の販売促進や、恋愛指南などにおいて、「目は口ほどに物を言う」が引用され、目の重要性を訴求する使い方が多くみられるようになりました。
「目は口ほどに物を言う」の類語とは?
目は心の中を映し出す鏡だという意味の「目は心の鏡」
「目は口ほどに物を言う」の類語で、似た意味を持つことわざには、「目は心の鏡」があります。「目は心の鏡」は、目は心の中を映し出す鏡という意味で、目を見ればその人の気持ちや感情がわかるという意味をたとえたことわざです。
「目は口ほどに物を言う」と同じような使い方がされ、真の心は目に現れることを表現します。同じ意味で「目は心の窓」ということわざもあります。
似た意味を持つ四字熟語「以心伝心」
「目を見れば気持ちがわかる」という意味はありませんが、似た意味をもつ四字熟語に「以心伝心(いしんでんしん)」があります。
「以心伝心」とは、声に出さなくとも、互いに心と心で伝え合うことができるという意味の四字熟語です。「心を以て心に伝える」と読み下します。
「以心伝心」は、何も言わなくとも相手の気持ちを理解することが大切だとする精神論的な意味も含んで使われます。「目は口ほどに物を言う」には精神論的な意味はなく、嘘を言ってもごまかせないぞ、といったように相手を揶揄するような使われ方もあることが大きな違いです。
「目は口ほどに物を言う」の英語表現とは?
「目は口ほどに物を言う」は英語で”The eyes are as eloquent as the mouth.”
英語表現においても、「目は口ほどに物を言う」という意味の慣用句はたくさんあります。目は心を映し出すという感覚は万国共通のものだといえます。
直訳とあわせていくつかを紹介します。
- The eyes are as eloquent as the mouth. (目は口と同じくらい雄弁である)
- Eyes speak more eloquently than lips. (目は口よりも雄弁に話す)
- The eyes are the windows to the soul. (目は心への窓である)
- One can say more with a look than with ten thousand words. (一万語でよりも表情で多くを語ることができる)
- The eyes cannot belie one’s true thoughts. (目は自分の本当の考えを偽ることはできない)
まとめ
「目は口ほどに物を言う」は、コミュニケーション手段としての「目」の持つ役割の重要性に着目したことわざだといえます。「目は心の鏡」「目は心の窓」だとする考え方には誰もが同意するのではないでしょうか。
コロナ禍でマスク生活が強いられる中、目を介したコミュニケーションに注目が集まるようになりました。良い意味での「目は口ほどに物を言う」を強化すべく、目力を磨くチャンスとマスク生活を捉えてみてもよいかもしれません。