「偕老同穴(かいろうどうけつ)」という四字熟語は、結婚式や結納の場などで好んで用いられますが、その他、水族館にいる「ある生き物の名前」になっていることは、あまり知られていないでしょう。ここでは「偕老同穴」の意味と語源、使い方の例文、類語や英語などについてわかりやすくご紹介します。
「偕老同穴」の意味と語源とは?
「偕老同穴」の意味は”夫婦が仲良く添い遂げること”
「偕老同穴(かいどうどうけつ)」の意味は、“夫婦が仲良く一生を共にし、添い遂げること”です。夫婦としての契りが固く、仲睦まじい様子を表す言葉で、一緒に生涯を終えて葬られるという「夫婦円満」をたとえる四字熟語の一つです。
生きている間は人生を謳歌し、死後は同じ墓に眠るという意味もあるため、「夫婦の強い契り」や「永遠の愛」なども表します。たとえ生死が二人を分けてたとしても、生涯を終えた後は同じ墓に葬られる、という夫婦の極めて固い契りや汚れることのない定めを示しています。
「偕老同穴」は水族館で鑑賞できる海面植物
「偕老同穴」は深海に住む、体長5センチから20センチ程度の「海面植物」の名前でもあります。一般的には、カタカナ表記「カイロウドウケツ」として知られていますが、実にミステリアスな面持ちを持つ、円筒形で中が空洞の生き物です。
「カイロウドウケツ」は水族館で見ることができますが、家庭でも観賞用の植物として親しまれています。「カイロウドウケツ」は、その神秘的な美しさから「ビーナスの花かご(venus’s flower basket)」という英語名が付けられています。「カイロウドウケツ」はとてもロマンチックな深海植物なのです。
「偕老同穴」の語源は「詩経」の2つの俳句から
「偕老同穴」は、詩経で詠われている「子と偕においんとす」と「死しては則ち穴を同じくせん」という2つの俳句が語源となっています。
もともと「偕」には”共に、一緒に”、また「穴」は”墓の穴”という意味があります。そして、この2つの俳句を組み合わせて「生きている時は一緒に老いて、死後は同じ墓に眠る」という意味として使われるようなりました。
「偕老同穴」の使い方と例文とは?
「偕老同穴」は結納や結婚式で使われる
「偕老同穴」は、結納の席や結婚式などで「夫婦の固い契り」を誓う時や、「仲睦まじく過ごして欲しい」というメッセージを贈る時に、好んで用いられます。
- 誓いの言葉として:偕老同穴を契ります。これからは、夫婦仲良く過ごしていきます。
- 二人に贈る言葉として:どうぞ、偕老同穴を誓い、末永く幸せになって下さい。
「偕老同穴」を使った例文
「偕老同穴」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 娘夫婦はたまに喧嘩はするみたいだけど、偕老同穴でどこに行くのも一緒みたい。
- 結婚してからは、常に偕老同穴の精神をもって生活をしている。
- パートナーとは偕老同穴の間柄だったのに、結局別れてしまった。
- ここ数年、我が夫婦は偕老同穴のかけらもなくなった。
- あの老夫婦は偕老同穴のお手本みたいなカップルである。
「偕老同穴」の類語とは?
類語①「比翼連理」とは男女の愛情が深いこと
「比翼連理(ひよくれんり)」とは、男女の間で愛情がとても深いことを意味します。
「比翼連理」は、離れられない深い愛情や、男女の仲が極めて良いことを表す時に使います。「偕老同穴」とほぼ似たニュアンスがありますが、「比翼連理」は夫婦の仲の良さを褒める時に使われることが多いです。
- 私の両親はいつも一緒にゴルフに行ったり、食事に出かけたり、比翼連理を絵にかいたようである。
- 結婚をした後は、比翼連理と呼ばれるような仲の良い夫婦でいたい。
ちなみに、「比翼連理」の「比翼」とは想像上の鳥です。オスとメスが一つの目と翼しか持たないため、常に一体とならないと空を飛ぶことができません。
「連理」も「連理の枝」という想像上の木を指します。2つある木は、実際は根元が別れているものの、途中で幹や枝がくっつき、寄り添うように伸びています。
類語②「琴瑟相和す」とは夫婦仲がよいこと
「琴瑟相和す(きんしつあいわす)」とは、夫婦仲が良いことを意味する言葉です。琴と瑟(大型の琴)を一緒に演奏すると双方の音が見事に合いまうことから、夫婦の仲がよく、睦まじいさまを表しています。
場合によっては「琴瑟調和す(きんしつちょうわす)」ということもありますが、同じニュアンスで使われます。夫婦が仲の良いさまは、まさに二つの楽器が奏でる音が見事に調和している様子に似ています。
- 私たち夫婦は、つい最近まで、琴瑟相和する関係じゃなかった。
- 琴瑟相和した夫婦といえども、たまには意見の食い違いはある。
類語③「水魚の交わり」とは親密な間柄であること
「水魚の交わり(すいぎょのまじわり)」とは、”親密な間柄であること”を意味する故事成語の一つです。主従や夫婦などの関係が極めて良く、離れることができないことを表します。
魚が生きるためには水の存在は不可欠です。このように、双方の間柄がお互いに「欠かせない存在」であること、またそれくらい親密で睦まじいさまを意味するのが「水魚の交わり」となります。
「偕老同穴」と異なるのは、夫婦以外でも上司と部下、親友同士、親子など、あらゆる関係において使うことができる点です。
- 見てみてあの二人。まるで水魚の交わりのようにいつも一緒だね。
- 水魚の交わりとまではいかないが、上司とはほぼ毎日、一緒に行動している。
「偕老同穴」の英語表現とは?
「偕老同穴」は英語で”lovebirds”や”soulmate”など
「偕老同穴」は日本語特有の言い回しであるため、ある程度シンプルな意訳が必要になります。たとえば、以下のような言い回しが挙げられます。
- lovebirds : おしどり夫婦
- soulmate : 深い絆で結ばれている二人
- a happy married couple:幸せな結婚生活を送っている夫婦
- a couple who are devoted to eachother forever : 永遠に添い遂げるカップル
- endless love : 永遠の愛
「偕老同穴」の英語表現を使った例文
「偕老同穴」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。
- 私たちは偕老同穴を誓う。
We pledge that we are going to be happy married couple. - 偕老同穴を示すかのように、私の両親はいつも手をつないでいる。
Our parents always hold their hands each other just like they are lovebirds.
まとめ
「偕老同穴」とは、夫婦として一生を共に楽しみ、生涯を終えた後も、同じ墓に葬られることを意味する四字熟語です。夫婦が仲睦まじく人生を歩み、死後も共に同じ場所で眠るということから、「夫婦の契り・深い愛情」などをたとえる時に使われます。
「偕老同穴」は、夫婦の限りない愛情と固い契りを限りなく表現した言葉とも言えるでしょう。これから夫婦生活が始まる二人に向けて贈る言葉として、また結婚式や結納の席で用いられる二人の誓いの言葉としても最適です。
幼少時にオスとメスが「カイロウドウケツ」の中にある空洞に住み込み、その中で一生を過ごす習性がある「ドウケツエビ」と呼ばれる生物がいます。
オスとメスは生涯外に出ることはなく、最後まで一緒にいるという性質もあるため、四字熟語「偕老同穴」に通じる点があります。