「安寧」の意味と使い方とは?例文や類語・対義語と英語表現も

「今年の安寧を願う」などと年始めのニュースなどで目にすることが多い「安寧」という言葉。一般的な会話ではあまり耳にしないかもしれませんが、平和への祈願などでよく見かける言葉です。この記事では「安寧」の意味や使い方・例文を解説します。あわせて類語・対義語や英語表現も紹介します。

「安寧」の意味と読み方とは?

「安寧」の意味は”世の中の秩序が保たれ平和なこと”

「安寧」の意味は、“世の中の秩序が保たれ平和なこと”です。「社会の安寧を築く」などと、世の中や社会の状態について表現します。特に「世界の安寧を願う」などと平和への祈りとともに使われることが多い言葉です。

また、世の中の平和への願いを表現するほか、「人々が安寧な生活を送れることを望む」などと平和で安らかな状態に人があることを願うときにも使われます。

「安寧」の読み方は”あんねい”

「安寧」の読み方は“あんねい”です。

「安・寧」とも”やすらか・安心する”という意味の同義語

「安寧」の「安・寧」とも、”やすらか・安心する・穏やか”という意味を持つ同義語です。「寧」を用いる熟語には”丁寧(ていねい)”もあります。このことから、「安寧」の熟語の意味がわからなくても直観的に安らかな言葉だということを感じ取ることができるといえます。

「安寧」の使い方と例文とは?

祈願するときに使う「安寧」の例文

「安寧」は一般的な会話で用いられるよりも国などの平和を祈願するときに使われることが多い言葉です。次のように使われます。

例文
  • 年の初めに世界の安寧を祈願する
  • 持続可能で安寧な世界の実現を願う
  • 国家の繁栄と安寧を祈る
  • 無病息災と家族の安寧を願う

「安寧」の類語とは?

類語①「安泰」とは”無事で安心できること”

「安泰(あんたい)」とは、危機などを乗り越えた上で、無事であることを意味します。「国家安泰・お家安泰」などと、国家や主君などの身の上が無事で安心できる状態であることを表します。「泰」は”おちついている・やすらか”という意味を持ちます。

また、なんらかの危機を乗り越えて安心できる状況になったときに「これで安泰だ」などと使うことがあります。その一方で「これで安寧だ」とは言わないように、危機を乗り越えた上で無事であることについて「安泰」が使われることが安寧との違いのポイントです。

「安泰」と「安寧」は似た意味を持ちますが、「安泰」は危機を乗り越えるなどして何事もなく無事であることの意味合いが強く、「安寧」は気持ちが安らかであるという意味合いが強いことが両者の違いです。

類語②「平穏」とは”変わったことが起こらず穏やかなさま”

「平穏(へいおん)」とは、変わったことが起こらず穏やかなさまを意味します。「平穏無事に過ごす」などと言うように、何事も起こらないことで穏やかさが保たれるという意味合いで使われます。

「安寧」にも「平穏」の意味は含まれますが、変わったことが起こらないことによる安心というニュアンスよりも「穏やか」の意味合いが強いといえます。

「安寧」の対義語とは?

対義語①「混沌」とは”世の中が穏やかでない状況”

「安寧」とは、世の中や世界が穏やかで平和な状態にあることを意味する言葉であるため、その対義語は穏やかで平和な状態ではないことを表現する言葉になります。

そのような意味での対義語として、「混沌」を挙げることができます。「混沌」とは”互いに入り混じって秩序がないさま”という意味です。「世界は混沌とした様相を呈している」などと社会や世界情勢の秩序が崩れ、極めて混乱している状況を表現するときに使われます。

対義語②「波乱」とは”激しい変化があること”

「波乱」とは”激しい変化があること”という意味で、穏やかで平和な状態とは逆の様相を表現します。騒ぎやもめごとなどの状態を表すこともあり、安らかで平和な安寧とは反対の状況を表現します。

「安寧」の英語表現とは?

「安寧」は英語で”peace”

「安寧」の英語表現は、一般的なものに“peace”があります。他に「安寧」に似た意味の英語の表現には、「tranquility(平穏)」「safety(安泰)」「security(安泰)」「stability(安定)」などがあります。

例文
  • the public peace was disturbed.
    社会の安寧が乱された。
  • I prayed for global peace in the gathering.
    私はその集会で世界の安寧を祈念した。
  • People wish for peace in life
    人々は生活の安寧を願っている。

まとめ

2021年における天皇陛下の新年ビデオメッセージでは、「我が国と世界の人々の安寧と幸せ、そして平和を祈ります。」というお言葉がありました。「安寧」は、国や人々の平和と安らかさを願うときに使われるおごそかな表現です。

また、神社などで行われる新年の祈祷行事などにおいても、「国の安寧を願う」などの文言とともに祈願が行われます。

似ている意味もある「安泰」は、苦難を乗り越えたのちにほっとする、これで安心だ、といったニュアンスの言葉で、平和を願うときには使われません。