「七難隠す」の意味や使い方は?関連することわざや類語も紹介

「七難隠す」の七難とは仏語ですが、一般には多くの欠点や難点のこと。欠点をカバーしてくれるという意味で七難隠すファンデーションなどの言い回しも。また関連することわざに「色の白いは七難隠す」「髪の長きは七難隠す」があります。

この記事は「七難隠す」の意味や使い方の解説です。類語や英語表現も紹介します。

「七難隠す」の意味とは?

「七難隠す」の意味は”欠点や難点を見えなくすること”

「七難隠す(しちなんかくす)」の意味は、“多くの欠点や難点を見えなくすること”です。ここで使われている「七」には、個数だけでなく「多い数」や「さまざまな物」を表す抽象的な表現も含まれます。また「難」は、ここでは欠点や難点をさしています。

多くの欠点や難点を隠して見えなくすることが「七難隠す」です。

七難とは仏教用語で「七種類の災難」

仏教用語としての「七難」は、”七つの災難”のことです。具体的な内容はそれぞれの経典や教えによっても異なりますが、一般的には火難や水難など人生においてふりかかる七つの災難や困難をさしています。

観音経の場合には、「火難・水難・羅刹難(悪鬼による難)・刀杖難(武器による難)・鬼難(死霊による難)・枷鎖難(投獄による難)・怨族難(悪人による難)」が七難です。

ことわざなどで「七難隠す」と使う場合には、仏教用語としての意味合いとは違い、前述の「多くの欠点や難点」の意味で使われていることがほとんどでしょう。

「七難隠す」の使い方と例文とは?

ビジネスで商品の良さや長所をアピールするとき

「七難隠す」とは、欠点や難点を隠すという意味です。そのため、欠点や難点を隠してくれるほどに良い商品や長所などをアピールする場合にも使える言葉です。

たとえば、美白が売りの化粧品のキャッチコピーとして「七難隠すファンデーション」などと使います。さまざまな欠点や難点を隠す効果があるとアピールできます。

他人の悪口を言うとき

「七難隠す」という言葉は、欠点や難点があることが前提です。そのため、他人の欠点や難点についての悪口として使われることがあります。たとえば、成績は悪いけれどとてもきれいな字を書く人に対し「彼の成績は悪いけど、字はキレイだから七難隠すんだよね」などと表現します。

褒め言葉のつもりであっても悪口と取られかねない表現のため、本人に面と向かって言うのは避けた方が無難です。

「七難隠す」を使った例文

「七難隠す」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 友人が「七難隠すから」とすすめてくれたファンデーション、本当に肌をきれいに見せてくれます。
  • 白いシャツは清潔感もあるしスッキリ見える。誰が着ても七難隠すから重宝します。
  • 彼は七難隠すほど字がきれいだけど、仕事はちゃんとしてほしいよね。
  • 「その服はかわいいから七難隠すね」って言われたんだけど悪口ですよね。

「七難隠す」に関連することわざとは?

「色の白いは七難隠す」は男性から見た美人の条件

「色の白いは七難隠す(いろのしろいはしちなんかくす)」とは、”多くの欠点や難点があっても、肌の色が白いならそれだけで美しく見える”という意味。主に女性に向けて言われたことわざです。

由来は、江戸時代に作られた「浮世草紙(うきよぞうし)」である「世間娘容気(せけんむすめかたぎ)」に記された一節。「浮世草子」とは江戸時代の小説のことです。「世間娘容気」の一節に「色の白きは十難かくすとて」とあり、ここから現在の「色の白いは七難隠す」になったとされています。色の白い女性が美人とされ、もてはやされていた時代ならではの言葉でしょう。

「七難隠す」は、このことわざを略した言葉としても使われることがあります。

「髪の長きは七難隠す」も男性から見た美人の条件

「髪の長きは七難隠す(かみのながきはしちなんかくす)」とは、「多くの欠点や難点があっても、髪が長ければそれだけで美しく見える」という意味。「色の白いは七難隠す」と同様で、髪が長いことが美人の条件であった時代から派生したことわざです。

「七難」の類語とは?

「万難」とは”たくさんの困難や障害”

「万難(ばんなん)」とは、”たくさんの困難や多くの障害”のこと。「万」は数や量がかなり多いことを表現しています。「七難」の「難」は”欠点や難点”をさすのに対し、「万難」での「難」は”困難や障害”をさしているのが大きな違いです。

使い方の例

万難を排して

(たくさんの困難や障害をのりこえ何が何でも行うこと)

「多難」とは”多くの困難や災害”

「多難(たなん)」とは、”困難や災害などが多いこと”です。「多」はそのまま”おおい”や”たくさん”という意味です。「七難」での「難」は”欠点や難点”をさしていますが、「多難」での「難」は”困難や災害”をさしているところが大きな違いです。

使い方の例

前途多難

(先にたくさんの困難や災害があること)

「百害」とは”たくさんの支障や弊害”

「百害(ひゃくがい)」とは、”たくさんの支障や弊害”のことです。「百」には”数や量がおおい”や”たくさんの種類”などの意味があり、「害」には”わざわい”や”不幸なできごと”という意味があります。「多くの欠点や難点」をさす”七難”に対し、「たくさんの弊害や不幸なこと」をさすのが”百害”です。

使い方の例

百害あって一利なし

(たくさんの支障や弊害があって、利益になることはひとつもないこと)

「色の白いは七難隠す」の英語表現とは?

「色の白いは七難隠す」は英語で”White skin hides even the seven faults”

「色の白いは七難隠す」を英語で表現するには“White skin hides even the seven faults”というフレーズがあります。「white skin」は”白い肌”のことで、「hides」は隠すという意味の単語「hide」の複数形。「seven faults」は七つの欠点や短所という意味のフレーズです。

また、「おおう」や「かぶせる」というニュアンスの「cover」を使って「White skin covers the seven faults」というフレーズでも「色の白いは七難隠す」を表現できます。

まとめ

「七難隠す」とは、たくさんの欠点や難点を見えなくするという意味の言葉です。「七難」は仏教用語では火難や水難など「七つの災難」を意味しますが、日常会話やことわざで使う場合には、多くの欠点や難点というニュアンスです。

関連することわざに「色の白いは七難隠す」があります。欠点や難点があっても色が白ければ美人であるという意味のことわざで、色白の女性が美人とされ、もてはやされていた時代ならではの言葉。現代では決して褒め言葉ではないため使い方には注意しましょう。