「キャッシュアウト」の意味とは?使い方と会社法改正後の規定も

買い物ついでに預金を引き出せるキャッシュアウトサービスですが、ここに使われている「キャッシュアウト」は本来、金融用語です。今回は、金融用語としての「キャッシュアウト」の意味と、会社法における「キャッシュアウト」の意味、そして「キャッシュアウトサービス」の使い方についても解説します。

金融用語「キャッシュアウト」の意味と原因とは?

「キャッシュアウト」の意味は”資金の流出”

「キャッシュアウト」の意味は、”資金の流出資金から流出した金額”のことです。金融用語として使われます。資金とは、手元の現金、普通預金、当座預金のことです。

原則的には「キャッシュアウト」は資金の流出のことを指すのですが、現金に簡単に変換できることから現金同等物が含まれることもあります。

「キャッシュアウト」の原因は商品の仕入れなど

キャッシュアウトが起こる要因には次のようなことが考えられます。

  • 営業面:商品の仕入れ。
  • 財務面:借入金の返済、社債の償還など。
  • 投資面:有価証券などの固定資産の購入、設備投資の実施など。

「キャッシュアウト」の言葉の使い方

ここでは「キャッシュアウト」を使った例文を紹介します。

例文
  • 商品の仕入れがあって、キャッシュアウトした。
  • その株式を購入してキャッシュアウトができるだけの潤沢な資金がある。
  • 今、キャッシュアウトされると困るので、次の商品の購入はしばらく待ってほしい。

「キャッシュアウト」の会社法における意味とは?

「キャッシュアウト」の意味は”株式の売り渡す請求”

2014年6月20日に成立した会社法によると、「キャッシュアウト」とは“株式を90%以上持っている大株主が他の少数株主に株式を売り渡すように請求して、少数株主を強制的に会社から退出させること”という意味で使われていて、「スクイーズアウト(squeeze out)」とも呼ばれます。従来の手続きよりも簡単で迅速に「キャッシュアウト」ができるようになりました。

「キャッシュアウト」で子会社化の準備をする

「キャッシュアウト」は会社の株主を少数株主を退出させて大株主のみにすることができるので、上場企業が非上場企業になり子会社になるための準備として用いられることがあります。

「キャッシュアウト」はどのような規模の会社にも適用されて、定款に株の譲渡について定められていたとしても現行法によるキャッシュアウトの規定が優先されます。

「キャッシュアウト」の語源と関連用語とは?

「キャッシュアウト」の語源は英語の”cashflow”

「キャッシュアウト」を英訳にすると”cashflow”です。「flow」が流出、「cash」が現金を意味しています。

「キャッシュアウト」は英語の「cash」と「out」から成り立っているので、そのまま英単語に置き換えれば英語になりそうな気がしまいますが、残念ながら違います。「cash out」は「キャッシュアウト」とは違う意味で使われていて、動詞で投資を売却するという意味になります。

「キャッシュアウト」は”キャッシュアウトフロー”とも言う

「キャッシュアウト」は”キャッシュアウトフロー”とも呼ばれます。「キャッシュアウトフロー」は資金流出の流れという意味なのですが、実際には「キャッシュアウト」と「キャッシュアウトフロー」は同義語として使われています。

「フロー」の意味について下記のページで詳しく解説してありますので、参考にしてみてください。
「フロー」の意味とは?「ストック」との関係や経済以外の用法も

「キャッシュアウト」の反対語と関連語とは?

「キャッシュアウト」の反対語は”キャッシュイン”

「キャッシュアウト」の反対語が”キャッシュイン(cash in)”で、資金の流入という意味です。資金の流入が起こる要因は、売掛金※1や受取手形※2の回収、設備や有価証券を売却すること、金融機関からの借入金、社債や株式の発行などが考えられます。

※1「売掛金」:納品書や受領書などのやり取りが終わっていて支払いが終わっていない状態で、通常数か月後の支払期日までに支払われる予定の代金のこと。
※2「受取手形」:売掛金を回収するために振り出された手形のこと。

関連語「キャッシュフロー」には意味が2つある

「キャッシュイン」と「キャッシュアウト」を合わせることで資金の流出入、つまり資金の流れを説明することができるようになり、これを「キャッシュフロー(cash flow)」と言います。

ただし「キャッシュフロー」にはもう一つの意味もあって、「キャッシュアウト」と「キャッシュイン」の差額のことを指すこともあります。

企業のキャッシュフローが計算されると、会社の収支や財務状況がわかります。

身近に使える「キャッシュアウトサービス」の使い方とは?

「キャッシュアウトサービス」とは買い物ついでに現金も引き出せる

「キャッシュアウトサービス」とはATMや銀行の窓口以外で、銀行口座から現金の引き出しが可能なサービスのことです。

2017年から始まったサービスで、預金口座からの現金の引き出しがキャッシュアウトサービスの加盟店で行えます。買い物のついでにレジで簡単にお金を引き出せて、加盟店の営業時間内は現金の引き出しができるようになるので、利用者にとって便利なサービスと言えるでしょう。

キャッシュアウトサービスの使い方

キャッシュアウトサービスの使い方は、ATMよりも簡単だと言われています。その手順は、買い物の清算時にレジで銀行口座から引き出したい金額を伝えます。すると1回の決済で、買い物した商品の清算を終えて、現金を受け取ることもできます。

加盟店が引出された現金を立て替える

キャッシュアウトサービスはデビッドカードを使って利用者は自分の銀行口座からお金を引き出すのですが、その現金はキャッシュアウトサービスの加盟店が一時的に立て替えます。加盟店が立て替えた現金は、金融機関から3日以内に入金されます。

またキャッシュアウトサービスによってはクレジットカードで決済することもできます。

キャッシュアウトサービスの手数料は加盟店が自由に設定

キャッシュアウトサービスを利用するときの手数料は、加盟店が自由に設定できます。主な手数料は数百円で、利用時間帯によって手数料が変わるなど加盟店によって手数料設定が異なります。

まとめ

「キャッシュアウトサービス」が始まってから、一般の人にも「キャッシュアウト」という言葉が広まりましたね。元々は「キャッシュアウト」は金融用語なので馴染みのない言葉だったかもしれません。しかし「現金」を意味する「キャッシュ」と「出る」という意味の「アウト」が繋がった言葉なので、その意味は分かりやすいのではないでしょうか。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。