「劣等感」の意味や使い方とは?「コンプレックス」との違いも解説

「劣等感」はネガティブな意味合いで使われる言葉です。意味を把握しておかないと、自分が悩んだときや誰かに相談されたときに、見当違いの会話をしてしまうかもしれません。意味・使い方や「コンプレックス」との違いをご説明します。

「劣等感」の意味とは?

「劣等感」の意味とは”他人より自分は劣るという感情”

「劣等感(れっとうかん)」の意味は“他人より自分は劣るという感情”のことです。自分ひとりではなく、比べる他人が存在してはじめて生まれる感情です。

客観的には劣っていなくても、本人がそう思っているならば「劣等感」に当てはまります。そのため、周囲の人は「本当は優れているのに、あの人は劣っていると思い込んでいる」と感じることもあり得ます。

「劣等」だけでも”水準より劣る”という単語になる

「劣等(れっとう)」だけでも単語として成立します。意味は「水準より劣ること」です。「劣等感」以外の言葉にも使われることがあります。

例えば「劣等生(れっとうせい)」は成績の悪い学生を意味する言葉です。比喩表現として、学生以外にも「できが悪い人」という意味で使われることもあります。

「劣等感」の使い方と例文とは?

「劣等感」は人の考え方・性格を表現する

「劣等感」は人の考え方・感じ方を表現する際に使用します。「〇〇に劣等感を持つ」と使う場合、〇〇が他人より劣っていると考えていることになります。

「劣等感を持ちやすい人」「劣等感が強すぎる人」と使うことで、性格を表現することも可能です。

「劣等感に苛まれる」は”劣等感に苦められる”こと

「劣等感」を使う表現でよく用いられるのは「劣等感に苛(さいな)まれる」です。「劣等感に苦しめられる」という受け身の表現になります。

「苛まれる」は、苦しめることや、責めたてることを意味する「苛む」を受け身形にした言葉です。「苛まされる」と使うと誤用になってしまうので、注意しましょう。

「劣等感」は”嫉妬・自己嫌悪”と合わせて使われやすい

「劣等感」は「嫉妬(しっと)」「自己嫌悪(じこけんお)」と合わせて使われることが多い言葉です。どちらも意味に関連があるため、あわせて把握しておきましょう。

「嫉妬」は他人を羨ましく思って憎むことです。恋愛などの人間関係に使われるイメージが強い人もいるかもしれませんが、自分より優れた人に対する憎しみも表現できます。劣等感を持つ人は他人が自分より優れていると思っているため、嫉妬しやすい状況だと言えます。

「自己嫌悪」は、自分自身を嫌いになることです。劣等感を持つと「自分は劣っている」と思ってしまうため、同時に自己嫌悪に陥る人も多いと考えられます。

「劣等感」を励ます際に使う場合の注意点

「劣等感を持つ必要はない」と伝えることで、悩んでいる人を励ますことも可能です。ただし、ポジティブに努力することを強制しているように聞こえる可能性もあるため、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

「劣等感」を使った例文

「劣等感」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 運動神経に劣等感を持っているため、体育の授業はいつも憂うつだ。
  • 劣等感が強いAは、いつも誰かに嫉妬している。
  • 目立つ声のせいで劣等感に苛まれていたが、声優の仕事にいかせると気づいてからは、長所だと思えるようになった。

「劣等感」の類語とは?

「劣等感」の類語は”コンプレックス”

「劣等感」の類語はカタカナ語の“コンプレックス”です。英語のスペルは「complex」です。日本では同じ意味の言葉として使われています。(人によっては「コンプレックスは客観的事実に基づく劣等感」と受け取る人もいます)

精神分析用語の「コンプレックス」との違い

精神分析用語の「コンプレックス」と「劣等感」は意味に違いがあります。精神分析用語の「コンプレックス」の意味は「無意識に存在する情緒的な複合感情」です。劣等感はコンプレックスの中に含まれます。

なお、英語では「インフェリオリティーコンプレックス(inferiority complex)」という言葉で「劣等感」を表現します。「コンプレックス」に「劣等感」が含まれていることが、英語の方が分かりやすいかもしれません。

「劣等感」の対義語とは?

「劣等感」の対義語は”優越感”

「劣等感」の対義語は“優越感(ゆうえつかん)”です。「他人より、自分が優れているという感情」を意味します。劣等感と同じように、比較する他人が必要になります。

ネガティブに使われやすい「劣等感」の対義語ではありますが、「優越感」はポジティブな意味合いで使われるとは限りません。例えば「他人のミスに優越感を感じてしまう自分が嫌だ」と苦しむ人もいます。

「優越感」を使った例文

「劣等感」の対義語”優越感”を使った例文をご紹介しましょう。

  • いちいち優劣つけて優越感を得ている自分は、なんて嫌な人間なんだろう。
  • 厳しい練習の結果、ついに大会で優勝できた。今日ばかりは優越感を味わおう。

まとめ

「劣等感」の意味は”他人より自分は劣るという感情”です。ネガティブな意味合いの言葉ですが、向上心の裏返しとも言えます。わずかな「劣等感」も持ってはいけないと思う必要はないでしょう。

よく言い換えに使われる「コンプレックス」は、精神分析の専門用語としては別の意味を持つので、注意が必要になります。