「偽善」は何が悪い?意味や使い方・類語・対義語も例文解説

「偽善」は「偽善者」や「偽善的」という言い回しでもよく使う言葉です。普段は無意識のうちに使っていますが、正しい意味や使い方を理解していますか?

ここでは「偽善」の意味をはじめ花言葉、使い方や例文、類語や対義語などを紹介します。最後に英語表現も加えましたので、ぜひ参考にしてみて下さい。

「偽善」の意味とは?

「偽善」の意味は「上辺だけ善人に見せかけること」

「偽善」とは「上辺だけを善人に見せかけること」という意味があります。心の中や気持ちはそうでなくとも、振る舞いや行為だけを「善人らしくする」ことを表すため、基本的には動機や考えが純粋ではないと言えます。

「偽善」は、実際には存在しない感情や徳を、あたかも存在するような素振りを見せることです。そのため、倫理的な観点からは良い態度ではなく、どちらかと言えば「悪い態度」として解釈される傾向にあります。

「偽善」とはもともと「劇で役割を演じること」

「偽善」は、もともとギリシャ語で「劇中である役割を演じること」という意味があります。

もともと「偽善」は自己の性質やパーソナリティを抑え、舞台で別の人物を演じることを意味する「舞台俳優のための専門用語」でした。その後、「上辺だけを善人らしく振舞うこと」という意味で一般的に使われるようになった背景があります。

「偽善」という花言葉をもつ「オダマキ」

花言葉で「偽善」や「猫かぶり」を意味する花、それが「オダマキ」です。

「オダマキ」は北半球の温帯を原産地とし、5月から6月ころにかけて花を咲かせる美しい花です。青紫色をした神秘的な「オダマキ」は、英名で「clumbine」といい、ヨーロッパを舞台とする「道化芝居」に出てくる娘の名前としても知られています。この「道化芝居」という性質から「偽善」という花言葉が付けられたと言われています。

「オダマキ」は、花びらの後ろから細くカーブした突起が出ているのが特徴です。そのため、見る人にとっては非常に個性的な印象を与えることもあるようです。

「偽善」の使い方と例文

「偽善」を使う時は状況と相手に気を付ける

「偽善」は「善を偽ること」を意味するため、少なくとも褒め言葉とは言えない表現の一つと言えます。どちらかと言えば、相手を非難したり、疑う目的で使用することがほとんどです。そのため「偽善」という言葉を直接的に使う場合は、相手や周囲の状況などに気を配る必要があります。

一般的には、他人の心を表情や言葉尻から察することは難しいものです。人によっては本心から良いという認識を持って行っていることもあり、頭ごなしに「偽善」だと非難するのはおすすめできません。

「偽善者」や「偽善的」はよく使う熟語表現

「偽善者」や「偽善的」は、「偽善」を使う熟語表現でも使用頻度の高いものです。

「偽善」は上辺だけを善と装うことを意味する言葉ですが、そういった行為をする人を「偽善者」、またそのような性質を持ったものを「偽善的」という言葉で表現することがあります。下記で例文を挙げてみます。

例文
  • 彼は偽善者だ。どう見ても、体裁を繕っているようにしか見えない。
  • 良かれと思ってやっているのに、偽善者とは酷い話だ。
  • 悪態を繰り返す客に笑顔でサービス。偽善的であっても仕事だから仕方がない。
  • 上辺だけの偽善的な活動なら、むしろやらない方がましではないか?

「偽善」の類語とは?

「偽善」の類語は「まやかし・腹に一物」

「偽善」の類語には「まやかし」や「腹に一物」などがあります。

「まやかし」とは「見かけだけを嘘に作り変えて、人を誤魔化すこと」を意味します。相手の目を騙すために、インチキやいかさまをすることが「まやかし」です。

また「腹に一物」は、表面的には普通に取り繕っていながら、心では何らかの企みがあることを意味します。「偽善」とはニュアンスが微妙に異なりますが、気持ちとは裏腹に見せかけを良く演じるという点では意味が似ています。

例文
  • あのセールスマンはまやかしだらけだ。必要のない商品を、あと少しで買ってしまうところだった。
  • 彼は笑顔で対応しているが、何だか腹に一物ありそうだ。

「偽善」と似た意味のことわざ「餓鬼の断食」

「偽善」と似たような意味を持つことわざに「餓鬼の断食(がきのだんじき)」があります。

「餓鬼」とは常に飢えと渇きにあり、元からものを食べない状態にある死者の亡霊のことです。その餓鬼が、あえて断食をすることは、そもそもごく当たり前な行為であることから、「体裁だけを繕った偽善的な行為である」と意味として「餓鬼の断食」ということわざが生まれました。

「偽善」は「上辺だけを装って、善人のように演じること」です。そのため、当たり前であることを、あたかも善人かのように言い立てることを意味する「飢餓の断食」は、意味的には類似していると言えます。

たとえば、「迷子の子供を助けるのは人として当たり前だ。それを善人ぶって周囲に言いふらすなんて、まるで飢餓の断食ではないか。」というように使います。

「偽善」の対義語とは?

「偽善」の対義語は「偽悪」

「偽善」の対義語は「偽悪(ぎあく)」です。「偽悪」は「偽善」に対して生まれた言葉で、故意に悪を繕うことを意味します。つまり、心の中は清く純真であっても、「上辺だけを悪く装う」ことを表します。

「偽悪」はわざと悪者を演じることです。本当はいい人なのに、意識的にわざと悪態をついているなら、それは「偽悪」と呼ぶことができます。

「偽悪」を使った例文

  • 本当は辛抱強く優しい人なのに、弟をかばうためにわざとキレるなんて、偽悪もいいところだ。
  • 偽悪は見え見えだよ。おとり捜査で不良チームに加わるためには仕方がない。

「偽善」の英語訳とは?

「偽善」は英語で「hypocrisy」

「偽善」は英語で「hypocrisy(ヒポクリシー)」といいます。英語圏でも、内心とは裏腹に口調や態度だけが良いさまを表す時に使われる言葉です。

また「偽善者」は「hypocrite(ヒポクリット)」といいます。主に相手の上っ面だけの行為や、口先だけの綺麗な言葉を非難する時に使われますが、面と向かって直接的に言い放つのは避けた方が無難です。相手に喧嘩を売っていると、勘違いされてしまいます。

その他「偽善」を「きれいごと」というニュアンスで表す時は「naive thinking(ナイーブ・シンキング)」を使うと文章がきれいにまとまります。

「偽善」を使った英語例文

  • 彼はいつも上辺だけの偽善者である。
    He is such a hypocrite becuase all he does is just fine-sounding talk. 
  • その意見は偽善(きれいごと)に過ぎない。騙されないぞ。
    The opinion is full of naive thinking and I won’t fall for it.

まとめ

「偽善」とは「劇中で役を果たす」というギリシャ語の原意を持ち、「上辺だけを善人のように見せかけること」を意味する言葉です。倫理的には「悪い」とされる行為ですが、結果的に良い状況を招いたり、周囲に好影響を与えることもあるため、良し悪しについては賛否両論だとも言えるでしょう。

また「偽善」という表現を使う時は相手や状況に気を付けて、不快な感情を与えないようにするのも大切です。意味や使い方をマスターして、正しく用いるようにしましょう。