「台頭」の意味とは?正しい読み方と類語・英語表現も【例文付】

わたしたちの生きる現代は、歴史的な時代の変換機といわれます。日々刻々と変化する社会情勢や自然環境、市場経済の様子から時代のうねりを肌で感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、政治ニュースなどで耳にすることの多い「台頭」という言葉に焦点を当てます。



「台頭」の意味と読み方

「台頭」の意味

「台頭」には「頭をもたげること。勢力を得てくること(広辞苑)」のほか、「新たに勢力を伸ばすこと。出現。進出(角川国語辞典)」という意味があります。それまで寝ていたものがむっくりと起き上がるときの底力や勢いを感じさせる言葉です。

「旭日昇天のごとき秀吉の台頭」といったりしますが、まさに日の出の勢いで勢力を拡大していった秀吉の台頭ぶりを的確に言い表したフレーズではないでしょうか。

「だいとう」は間違い!正しい読み方は?

「だいとう」と読んでしまいそうですが、正しくは「たいとう」です。旧字体は「擡頭」で、「擡(タイ/もた・げる)」には「持ち上げる」という意味があり、「腰をもたげる」なら腰を上げる(座っている状態から立ち上がる)ことを表します。

「台頭」の類語表現

「頭角を現す」の由来と使い方

「頭角(とうかく)」は、「すぐれた才能」「学問や才能が群をぬいており目だつ」という意味で使用される言葉で、世に権力者としてのすぐれた素質が明らかになることを「頭角を現す」と表現します。

唐の時代の文人政治家・韓愈(かんゆ)が残した墓碑銘「嶄然(ざんぜん)として頭角を現す」が由来で、「若手がめきめき頭角を現してきた」「彼らの中には早くから頭角を現す者もあった」のように使います。「斬」は切り立った高い山を表しています。

「のし上がる」の意味

「他人(競争相手)をおさえて、地位が急激に上がる。身代(しんだい)が急に大きくなる(広辞苑)」という意味を持つのが「伸し上がる(のしあがる)」という言い方です。「身代」は身分や暮らし向きと意味します。  

「台頭」を使った例文

「台頭」はさまざまなシーンで使うことができます。ここでは、5つの例文で使い方を確認してみましょう。

市場経済の「台頭」

ある機関がまとめた統計によれば、スマートフォンの台頭によってカメラ業界が大打撃を受けているようです。日本企業のデジタルカメラの出荷台数は、5年前に比べて約8割も減少しています。

話はスマートフォンのユーザーが増えたことでデジタルカメラの売れ行きが落ちたというだけに止まりません。カメラ以外にもカーナビや半導体など、スマートフォンの台頭の陰でその地位を失ったものはたくさんあります。

世界情勢と「台頭」

いま、日本を含む世界中の先進国で台頭を見せている「ポピュリズム」。民衆の意見を政治につなげるという性質は民主主義的ですが、大きな違いはポピュリズムが人間を「エリート」と「大衆」に分けて大衆の敵対心をあおるという点にあります。

数の多い民衆の勢いを利用してミスリードを誘うことから「大衆迎合主義」とも呼ばれ、ある専門家は民主主義との違いを明確に理解することが大切と語っています。

鎌倉時代における武士の台頭

天皇を中心とする大和朝廷に替わり、武士が台頭するようになったのは鎌倉時代のことです。朝廷によるユルイ支配の下で領地を拡大した地方の役人や有力な農民が土地を私有し、それらの財産を守るための武器を持つようになったのが始まりです。

第一次世界大戦と軍部の台頭

日本が軍事国家として突き進むキッカケとなった第一次世界大戦。その陰には旧日本陸軍の台頭がありました。ヨーロッパを舞台に展開されたこの戦争で、日英同盟を口実に中国のドイツ基地へと攻め込んだ日本軍は、ドサクサ紛れて勢力を伸ばし、利権を拡大させていきました。

ファシズムの台頭と第二次世界大戦

いまの日本は戦前の頃の雰囲気によく似ているという人がいますが、その根拠のひとつはファシズム(独裁主義・全体主義)の台頭です。ドイツでは悪名高きヒトラーが、イタリアではムッソリーニが植民地をもたない祖国を窮地から救う強いリーダーとして独裁制を確立しました。同じ頃、日本では「南方へ武力進出すべし」とする“南進論”が台頭していました。   

「台頭」の英語表現

「rise」や「debut」を使う

「台頭」に対応する英単語は「rise(ライズ)」「debut(デビュー)」など。前者は太陽や月が地平線から昇ってくる様子や、煙や風船などが上昇する様子を表すときなどに用いられるおなじみの単語です。

もともとは「立ち上がる・起こる(ジーニアス和英辞典)」と言う意味をもつ言葉です。「地位が上昇する・出世する」などの表現にも使われます。                                          

まとめ

「台頭」は、それまで影響力を持たなかったものが次第に活動領域を広げ、世に知られるようになった状態。過去の「台頭」を振り返ってみると、古い勢力と新しい勢力が入れ替わって時代が大きく動くターニングポイントで使用されているという点で、他の類義語とは少しニュアンスが違うのがわかります。ニュースで「台頭」というキーワードを聞くときには、その後の成り行きを注視したいものです。