「詭弁」の意味や種類とは?使い方・例文や類語・言い換え方も

納得がいくようないかないような議論には「詭弁」が多用されているかもしれません。また、自分ではそのつもりがなくても「それは詭弁だ」などと議論の場で指摘された人もいるかもしれません。

この記事では、「詭弁」に弄されることがないよう、「詭弁」の意味や種類・使い方を解説します。あわせて類語・言い換え方も紹介し、さまざまな角度から「詭弁」について考えます。

「詭弁」の意味とは?

「詭弁」の意味は”つじつまの合わないことを強引に言いくるめること”

「詭弁(きべん)」の意味は、“つじつまの合わないことを強引に言いくるめること”です。論理が破綻していて、つじつまが合わないのにもかかわらず、強引に話を進めようとする議論などに対して「それは詭弁だ」などと批判的に用います。

詭弁を自在に用いることを「詭弁を弄する」と言い表すとおり、詭弁は相手を翻弄する目的で使うこともあります。

※「弄する(ろうする)」とは”もてあそぶ”という意味です。

「詭弁」の「詭」は”だます”という意味

「詭弁」の「詭」は、”だます・あざむく”という意味を持ちます。「弁」とは”言葉で言い表すこと”という意味です。単に強引に言いくるめる意ではなく、だますという意味が「詭弁」に含まれていることがわかります。

「詭弁」の種類と使い方・例文とは?

「詭弁」とは、故意に行う虚偽の議論の手法でもあり、さまざまな種類があります。いくつかの種類について使い方と例文を交えて解説します。

本来相関しない事柄を相関があるものとして扱う詭弁

本来相関しない事柄を、相関があるものとして扱うことで無理やり議論を終結させようとする詭弁の手法があります。

たとえば「旅行でウイルスが拡散しない」という主張を例にとると、「人の移動ではウイルスは拡散しない」「旅行は移動である」「だから旅行でウイルスは拡散しない」という三段論法の詭弁がこれにあたります。

意図的に不備のある論証を行う詭弁

「A事業を行ったことによって感染が拡大したというエビデンスはない」「だからA事業で感染が拡大したとはいえない」という結論には、「A事業で感染が拡大しなかったというエビデンス」について触れていないため、論証に不備があります。意図的に後者の可能性を無視して議論を進める場合にはこれは詭弁となります。

論点をすり替える詭弁

論点をすり替えることにより、議論を優位に誘導しようとする詭弁があります。たとえば、質問に対して「〇〇の理由から、回答を控えさせていただきます」という答弁は詭弁にあたります。

理由を述べているため、一見質問に回答しているように見えますが、実は何も回答していません。回答すべき内容の論点をすり替えているわけです。

また、丁寧な言葉を持ちいているため、謙虚に向き合っているように錯覚して思わず納得してしまいますが、実際には一切の回答を拒絶する傲慢な態度だといえます。

「詭弁」の類語や言い換え方とは?

妥当でない論証という意味の類語:「誤謬」

「誤謬(ごびゅう)」とは、”まちがい”の意味の漢語的表現ですが、論理学においては「論証の過程に論理的なまちがいがあり、その論証が妥当ではないこと」という意味を持ちます。

結果として誤謬のある論証となるのではなく、意図的に誤謬の論証を行うことは「詭弁」となります。

計略をめぐらすという意味の類語:「権謀術数」

「権謀術数(けんぼうじゅっすう)」とは、”人をあざむくための計略、はかりごと”という意味です。数々の計略をめぐらす政治手法などを表す言葉です。

「計略」とは、相手をだまそうとするたくらみのことです。「詭弁」も同様に相手をだまそうとする目的で用いることがあります。

「詭弁」を言い換えると”ああ言えばこう言う”の状態

「詭弁」は、つじつまが合わないことを強引に進め、自分の意見を押し通そうとする議論の手法です。そのような議論は、いつまでたっても結論が見えない不毛な議論になりがちです。論点がずれながら議論を続ける相手に対して、「ああ言えばこう言う」と表現することがあります。

「ああ言えばこう言う」とは、相手の言ったことに対してあれこれと理由をつけて口答えをすることが繰り返され、何を言ってもかみ合わない状態を表現する言葉です。

「詭弁」は”論理のすり替え”と言い換えることができる

「詭弁」は、言い換えると「論理のすり替え」だともいえます。たとえば答えに窮する質問をされたとき、論理をすり替えた返答をすることによって、核心に触れないまま回答を行ったかのようにごまかすことができます。

「詭弁」は”煙に巻く”と言い換えることができる

相手が理解できないようなことを一方的に言い立ててぼう然とさせることを「煙に巻く(けむりにまく/けむにまく)」と言います。「煙に巻く」ことを意図して詭弁を用いることもあります。

たとえば、Aについて意見を求められたとき、一見関連のあるかのような、あるいは似た意味を持つBについてあれこれ話を始め、煙に巻くという手法です。

まとめ

「詭弁」とは、”つじつまの合わないことを強引に言いくるめること”という意味です。ある議論において、論理的に正しい議論を展開すると、自分の正当性が主張できないときに、詭弁を用いて強引に幕引きをはかります。

「詭弁」は、手法によっては一見もっともらしく聞こえるため、論理の破綻を見抜けないこともあります。それを聞いている人がなんとなく納得してしまい、結論が出ないまま議論が終わってしまうことが多いのがやっかいなところです。

とくに複雑で答えの見えない問題が山積する昨今、詭弁によってその場を繕おうとする政治家が多くなったように感じます。詭弁に惑わされないよう、日頃から準備しておくことが重要です。