「木を見て森を見ず」の意味とは?仕事での使い方や類語・対義語も

仕事の進め方などについて「木を見て森を見ず」のたとえを使って指摘されたことはありませんか?しかしその言葉の正しい意味を知らなければ、その真意も理解できません。

「木を見て森を見ず」について意味や語源とともに、使い方と例文を紹介します。あわせて類語や反対語も紹介しますので、参考にしてみてください。

「木を見て森を見ず」の意味とは?

「木を見て森を見ず」の意味は「物事の細部にとらわれると全体を見失う」

「木を見て森を見ず」は「物事の細部にとらわれると、全体を見失う」という意味のことわざです。木だけを見ていると、森全体を見ることができないということから、「些細なことにこだわりすぎると、ものごとの本質や全体像を見落とすことがある」という格言として使われます。

由来は欧米のことわざ

「木を見て森を見ず」の由来は欧米のことわざとされており、格言やたとえとして、引用されることの多い言葉です。各国の表記と直訳は次の通りです。

  • 英語:You can not see the wood for the trees. 「木のために森が見えない」
  • ドイツ語:Man sieht den Wald vor lauter Bäumen nicht. 「木のために森が見えない」
  • フランス語:C’est l’arbre qui cache la forêt. 「木を見て森を見ない」

「木を見て森を見ず」の使い方

ビジネスでは「全体が見えていない時の戒め」として使われる

日常生活の態度や考え方、勉強方法などのたとえで使われることが多いことわざですが、ビジネスシーンでも仕事の進め方や、議論の方向性などで、全体が見えていない時などに戒める言葉として使われます。

「木を見て森を見ていない」と言われたら状況を俯瞰してみよう

上司に「君は木を見て森を見ていない」と言われたとしたら、小さなことにこだわりすぎて、全体が見えなくなっていたり、一つ一つのデータのみに着目し、全体の分析ができていなかったりするかもしれません。あるいは、自分の担当する仕事のみを考えていて、会社全体の利益をおろそかにしているようなことがあるかもしれません。

そのような時は一度視点をずらし、物事全体を俯瞰してみるのがよいでしょう。

「木を見て森を見ず」の例文

  • リーダーの仕事は木を見て森を見ずでは務まらない。
  • 木を見て森を見ずの議論だけでは問題は解決できない。
  • 木を見て森を見ずにならないよう、計画の前に大枠を捉えておこう。

「木を見て森を見ず」の類語

「木を数えて林を忘れる」は同じ意味の類語

「木を数えて林を忘れる」は「木を見て森を見ず」と同じ意味で用いられます。細部にばかり気を取られると全体を忘れてしまうという格言です。

「鹿を追う者は山を見ず」は心の余裕がなくなること

「鹿を追う者は山を見ず」は中国の思想書が語源の格言で、獲物に気を取られて山全体が目に入らなくなることから「一つのことに夢中になると、心の余裕がなくなる」というたとえに用いられます。

また、「鹿」を目先の利益に例えて「利益ばかりに気をとられると、大きな利益を損ねる」という商売の戒めにも使われます。

「木を見て森を見ず」の反対語

「森を見て木を見ず」は反対の意味で「小さなことを見落とす」

「木を見て森を見ず」の反対語として「森を見て木を見ず」があります。意味はそのまま反対となり「全体ばかりみていると、小さなことを見落とす」という格言です。

「鹿を追う者は兎を顧みず」も反対語

「鹿を追う者は山を見ず」の反対語に「鹿を追う者は兎を顧みず」があります。「大きな利益を追う者は、小さな利益をの損失に気が及ばない」という格言として用いられています。

書籍「木を見る西洋人 森を見る東洋人」

原題「The Geography of Thought: How Asians and Westerners Think Differently – and Why」というアメリカで発売された書籍があります。タイトルを直訳すると「思考の地政学 東洋人と西洋人それぞれの思考の違いとその理由」となります。

日本で発売されている本のタイトルは意訳されて「木を見る西洋人 森を見る東洋人 思考の違いはいかにして生まれるか」となっています。

西洋人と東洋人の思考の違いについて語った異文化論ですが、細部の積み重ねで世界を捉えるのが西洋人で、全体から細分化して考えるのが東洋人であるというのがそのテーマです。

「木を見て森を見ず」のことわざにかけて意訳されたタイトルですが、異文化を説明するのにうまくことわざを応用している一例です。この場合はどちらが良くてどちらが劣っているという意味ではなく、「木を見て森を見ず」「森を見て木を見ず」のどちらかを入り口として複合的な視点に至るという、文化の違いについて論じているものです。

まとめ

「木を見て森を見ず」は「小さいことに心を奪われると、全体を見通せない」という格言として欧米から伝わった言葉です。

「大局にとらわれると、小さいことを見落とす」という逆の視点とあわせることで「小さなことにも、大きなことにも目を配る」という複合的な視点を持つことができます。

「木を見て森を見ず」の仕事にならないよう、目的やゴールをしっかり頭に入れた上で、仕事を進めたいものです。