「啓示」は聖書の言葉など宗教の話題で使われることが多い単語です。ただし、仏教では啓示を受けることは重要視されません。勘違いしたまま使ってしまうと、相手に誤解を与える可能性があります。意味や使い方を確認しましょう。宗教要素を避けたい場合の類語もご紹介します。
「啓示」とは?
「啓示」の意味とは”分かりやすいように示すこと”
「啓示」の意味は“分かりやすいように表して示すこと”です。
ただし、この意味で使われることはあまりありません。
「啓示」の読み方は”けいじ”
「啓示」の読み方は“けいじ”です。「けいし」とも読むとする辞書もあります。
「神が人間へ真理を示すこと」という意味で使われることが多い
「啓示」の主に使われる意味は“神が人間へ真理を示すこと”です。人間では知ることが不可能な真理を、神が直接、あるいは天使や精霊などを仲介して、人間に伝えます。
こちらの意味の印象が強いため「啓示」と聞くと宗教用語だと受け取る人が多いようです。
「啓示」と宗教とは?
「啓示宗教」は啓示を基に教えや聖書が生まれた宗教
「啓示宗教」の意味とは「神からの啓示を受けた人の言葉を基にして、教えや聖書が生まれた宗教」です。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などが代表的です。
反対語に「自然宗教」があります。意味は「自然発生的に生まれた宗教」あるいは「人間の理性や洞察に基づく宗教」です。「自然宗教」と分類されていても、天啓のように神が人々に知恵を与える宗教もあります。日本で馴染み深い宗教では、神道は前者、仏教は後者に含まれると考えられています。
仏教は「啓示」ではなく”自覚すること”が重要視される
仏教では「啓示」ではなく「自覚すること」が重要視される宗教です。神から啓示が降りるのを待つのではなく、自ら悟り仏になる(成仏)教えだと言えるでしょう。
ブッタという創唱者が教えを説いた宗教のため、啓示宗教だと勘違いする人もいるようです。ブッタは啓示を受けたのではなく、自ら真理を悟ったと言われています。
「啓示」の使い方と例文とは?
「啓示を受ける」は神から啓示を受け取ること
「啓示」は”啓示を受ける・啓示が降りる”といった表現で使用されます。意味は「神などの超自然的な存在から、啓示を受け取る」ことです。
神からの救いや啓発として、ひらめきやイメージ、行動指針を受け取った際に使用されます。宗教によっては、啓示をもたらす存在にって啓示の種類・名称が分かれることもあります。
「啓示」を受けた人は”預言者”
「啓示」を受けた人は「預言者(よげんしゃ)」と表現します。「啓示を神から預かるから『預』の漢字を使う」と意識すると覚えやすいかもしれません。
間違いやすい言葉に「予言者(よげんしゃ)」があります。予言者は未来に起きることを超人的な方法で知って伝える人を表します。
「啓示」を使った例文
「啓示」を使った例文をご紹介しましょう。
- 長年、神に祈り続けた結果、ついに啓示を授かった。
- 神からの啓示を受けた預言者の言葉から、聖書が書かれたと聞いている。
- 修行の末の啓示体験によって、私の人生は一変した。
「啓示」の類語とは?
「啓示」の類語は”天啓・神託”
「啓示」の類語は「天啓(てんけい)」、「神託(しんたく)」です。どちらも宗教にまつわる言葉です。
「天啓」は”天(神)の導き”や”啓示”を意味します。啓示とほぼ同じ意味のため、言い換えに使える言葉です。
「神託」の意味は”神が意志を神職や占い・夢などを仲介して知らせること”です。意味は「啓示」と似ていますが、宗教によって言葉を使い分けられています。例えば、キリスト教では「啓示」が使われることが多いようです。
宗教的な印象のない類語は「直感・ひらめき」
宗教用語の印象を持れずに、考察に基づかないアイデアや思い付きを表現できる類語は「直感(ちょっかん)・ひらめき」です。「直感」は考察ではなく、感覚的に物事を感じ取ることを意味します。
「ひらめき」のここ使われる意味は”一瞬の間に直感的な考えが思い浮かぶこと”です。漢字では「閃き」と書きます。「ひらめく・ひらめいた」と動詞としても使われます。
- その靴を見たとき、ぜったいに彼は気に入るはずだと直感した。
- タイトルだけで直感的に選んだ本だが、とても面白かった。
- 森を散歩していて、ふと面白いストーリーがひらめいた。
「掲示」は類語ではなく同音異義語
「啓示」と音が同じ言葉に「掲示」があります。類語ではなく同音異義語のため、誤変換に注意しましょう。
「掲示」の意味は”伝える内容を掲げて示すこと”です。代表的な掲示方法は、紙に書く・印刷して貼りだすことです。
- 啓示
真面目に修行していた男に、神は啓示を降ろした。 - 掲示
管理者に許可を取ってから、ペットを探す張り紙を掲示した。
まとめ
「啓示」とは”神が人間へ真理を示すこと”という意味で使われることが多い言葉です。宗教によって意味合いが変わることがあるため、使用する前によく確認する必要があります。
宗教的な印象を避けたい場合は「直感」などの類語に言い換えると良いでしょう。