「呑気(のんき)」とは、いつも穏やかでのんびりした人や性格を表す言葉です。同じ読みで「暢気」という漢字表記もあります。
今回は「呑気」の意味や読み方、呑気な人の心理や特徴について解説します。由来や医療用語の「呑気症」も紹介。また、類語・言い換え表現や英語表現についても触れていきます。
「呑気」とは?
「呑気」の意味は”のんびりとした性格”
「呑気」の意味は、“のんびりとした性格”のことです。またそのようすを表します。細かいことは気にせず、くよくよと思い悩まない人をさす言葉です。また、気晴らしをするという意味もあります。
「呑気」の読み方は”のんき”
「呑気」の読み方は“のんき”です。
「呑気」の由来は”暖気(のんき)”
「呑気」という言葉の由来は中国にあります。もともとは「暖気」と書き、中国では「暖かい気候」をさす言葉でした。転じて、野山にでかけ気晴らしをすることをさす言葉として日本で広がります。さらに転じて、現在のように人の性格や気性を表す言葉として定着したようです。
「呑気」や「暢気」は当て字
「呑気」や「暢気」という漢字表記は、実は当て字です。もともと「暖気」が正しい漢字として使われていました。しかし、「暖」は常用漢字に入れられてないため、通常はひらがなで表記するのが一般的です。
当て字ではありますが、スマートフォンやパソコンの文字変換では「呑気」や「暢気」が出てくるため、一般的に使用する人も多くいます。
「呑気症(どんきしょう)」は医療用語
「呑気症(どんきしょう)」とは、医療用語です。「呑気症」は、大量の空気を飲み込むことで胃や食道など体内で空気が溜まり引き起こされる症状のこと。少量の空気は普段の食事時などでも飲み込むものですが、「呑気症」は生活の中で気づかないうちに大量の空気を飲み込んでしまいます。ゲップやガスが日常的に多いなどの症状があります。
「呑気」の使い方と例文とは?
「呑気」をいい意味で使う
「呑気」にはマイペースでのんびりしているというニュアンスのいい意味として使えます。たとえば「定年後は呑気で暮らすよ」や「おじいちゃんは呑気に過ごしているよ」など、”のんびり暮らす・のんびり過ごしている”という意味です。特に自分のことに対して使える表現です。
「呑気」を悪い意味として使う
「呑気」は、悪い意味として使うこともある言葉です。たとえば「君は呑気でよいね」などと言った場合、「君は悩みごとがなさそうでよいね」などのニュアンスが含まれることもあります。また、いい意味として他人に対して「呑気だね」と言った場合にも、ネガティブで嫌みなニュアンスを含んでいると感じる人もいるため、使用する場合には注意が必要です。
「呑気」を使った例文
「呑気」を使った例文をご紹介しましょう。
- 彼はいつも呑気すぎて、見ていてイライラする。
- 彼女は呑気な人かと思っていたら、実は見えないところで努力しているらしい。
- こんな忙しい時間に呑気な顔でテレビを見ていないで手伝って!
- 故郷に戻って呑気な田舎暮らしを楽しんでいます。
「呑気」な人の特徴や心理とは?
穏やかで感情の起伏が少ない
「呑気」な人の特徴のひとつは、穏やかで感情の起伏が少ないこと。細かいことをあまり気にしない性格の人が多く、特に怒ったり悲しんだりという感情をあまり周囲に見せません。そのため、いつも穏やかな印象です。
焦ったり悩んだりしない
「呑気」な人は、焦ったり悩んだりということも少ない特徴があります。よくないことが起こったり、気に病むようなことがおこったりしても、焦ったり悩んだりというそぶりを見せません。しかし、マイペースなために周囲との感覚がずれているだけで、実は本人の中では焦ったり悩んだりしている場合もあります。
何とかなると思っている
「呑気」な人は、悩ましいことや大変なことが起こっても「何とかなるだろう」と思っています。そのため、本当は慌てるべきことであっても「何とかなるさ」と思い慌てないことも。最終的に周囲に助けてもらったとしても「何とかなった」とポジティブに捉えます。そのため、同じことを繰り返してしまい、困った人と捉えられることもあります。
何ごとに対してもポジティブである
「呑気」な人は、何ごとに対してもポジティブです。困ったことが起きても必要以上にくよくよと悩みません。物事を難しく考えずに悩まないことで、かえっていろいろなことがスムーズに進むことも。そのためストレスなども少なく過ごすことができます。
「呑気」の類語・言い換え表現とは?
「呑気」の類語は”気楽”
「気楽」とは、”のびのびしているようす”や”物事にこだわらないようす”などをさす言葉。「気」は”心の動きや状態”を意味し、「楽」は”安らかなようす・苦痛がないこと”を意味します。心や気持ちが安らかで苦痛がない状態やのびのびした気持ちが「気楽」です。
のんびりとした性格を表す「呑気」に対し、のびのびしているようすや気持ちを表すのが「気楽」。場合によっては言い換えとしても使えます。
「楽天的」も「呑気」の類語
「楽天的」とは、どんなときもくよくよと悩まず、明るい方向へ考えるようすを表す言葉。いつも明るく周囲や物事に流されないマイペースな人のことを「彼は楽天的だ」などと表現します。
細かいことは気にせずくよくよと思い悩まないという「呑気」とほぼ同じ意味でしょう。
「呑気」は”ポジティブ”とも言い換えられる
「ポジティブ」とは、いつも物事が良い方向に行くと思うことや、前向きで積極的な性格を表す言葉です。くよくよと思い悩んだりせず、失敗しても「次はきっと成功する」と前向きに考えます。
のんびりとした「呑気」な人は、何ごとに対しても「ポジティブ」です。そのため「ポジティブ」は「呑気」の言い換えとしても使える表現でしょう。
「呑気」の対義語とは?
「呑気」の対義語は”せっかち”
「呑気」の対義語は“せっかち”です。「せっかち」とは、先へ先へと急ぐばかりで落ち着きのない人のこと。また、そのようすを表す言葉です。いつも時間を気にしていたり、しっかり話を聞かずに結論を急いだりする人を「せっかちな人」と表現します。
のんびりとして細かいことは気にしない「呑気」に対し、落ち着きがなくいつも急いでいるというニュアンスの「せっかち」は対義語と言えます。
「呑気」の英語表現とは?
「呑気」は英語で”carefree”や”laid back”など
「呑気」を英語で表現するには“carefree”というフレーズがあります。「carefree」は”悩みや心配のない”というニュアンスです。また「おおらかでこだわりのない」というニュアンスの“laid back”や、「気楽でのんびりしている」というニュアンスの“easygoing”も、「呑気」という意味で使えます。
「楽天的である」というニュアンスの「happy-go-lucky」も「呑気」を表現する英語として使えますが、ネガティブで嫌みのようなニュアンスも含むため、使用する場合は注意が必要です。
まとめ
「呑気(のんき)」とは、のんびりした性格やそのようすを表す言葉。細かいことを気にせず、何ごとに対してもくよくよと思い悩まない人を「呑気な人」と表現します。
他人に対して「君は呑気だね」という場合、ネガティブなニュアンスを含んでいることも。褒め言葉として使うなら「楽天的」や「ポジティブ」に言い換えましょう。シーンや状況によって使い分けが必要です。