アニメや漫画、ドラマのストーリー展開を「ご都合主義だから嫌い」だと批判する人もいます。しかし、本来「ご都合主義」とは人間の性格や態度にも使われる表現です。「ご都合主義」の意味や類語・対義語をご紹介します。
「ご都合主義」の意味とは?
「ご都合主義」の意味は”自分の都合で態度を変えること”
「ご都合主義」の意味は“自分の都合やその場の状況で、方針・態度を変えることや、そのような性格”のことです。「御都合主義」とも書きます。英語では「opportunism(オポチュニズム)」です。
批判的な意味合いが強いネガティブな言葉です。「状況に合わせて適切な行動をとる」と誉めたい場合には、後ほどご紹介する「臨機応変」が向いています。
アニメや漫画では「強引・安易なストーリー展開」
アニメ・漫画・ドラマなど、ストーリーがある作品に使われる場合は「作者に都合よく進む強引・安易なストーリー展開」を意味します。あり得ないような偶然や突然でてきた設定で、作者に都合よくストーリーが進む様子を「つまらない」と批判する言葉です。
「ご都合主義」の使い方とは?
使い方1:人の態度への批判
「ご都合主義」は人の性格や態度を表すときに使います。自分の意見がなかったり、その場の流れで方針を変えたりする人を批判・非難する表現です。
また、自分のメリットを優先して意見を変える、という意味合いで「自分の都合しか考えない利己的な人」に使われることもあります。
「人の態度」に使う例文
- 新しい上司がご都合主義なので、仕事がスムーズに進まない。
- ご都合主義なことばかりしていると、信頼を失ってしまうぞ。
- 彼のご都合主義な態度にはうんざりする。
使い方2:ストーリー展開への批判
「ご都合主義」は、作者に都合のよい安易なストーリー展開を表現することにもよく使用されます。読者・視聴者が納得できない強引な展開や、矛盾した設定を批判する際に用いるネガティブな表現です。
「ご都合主義」だと批判されやすいストーリーは「主人公が突然新しい能力に目覚める」「登場人物が理由もなく主人公に恋心を抱く」などの唐突で強引な展開です。ただし「伏線があった」「急変するきっかけがあった」などの納得できる要素があれば、批判は減るでしょう。
「ストーリー展開」に使う例文
- ご都合主義な奇跡ばかりで、つまらないドラマだ。
- 面白い漫画だと思っていたのだが、ご都合主義な展開が続いて嫌いになってしまった。
- 最初はご都合主義な小説だと思ったが、読み直したらいくつも伏線があって感動した。
「ご都合主義」の類語とは?
「ご都合主義」の類語は”日和見・日和る”
「ご都合主義」の類語は”日和見(ひよりみ)”です。「日和見」を動詞にした「日和る(ひよる)」も類語になります。
「日和見」は”有利な方の味方になろうと、様子を見ていること”です。元々は空模様を見る役の人を意味していました。「日和る」は”日和見をしている”または”消極的で、傍観している”という意味で使われます。
なお、傍観している様子から派生し「怯える・怖気づく」という意味で「日和る」を使う人もいます。
ポジティブな言い換えは「臨機応変」
「ご都合主義」をポジティブな言葉に言い換える場合、向いている類語は”臨機応変(りんきおうへん)”です。「状況に応じて行動を変える」のは同じですが、臨機応変の場合は「その場に最適な行動をとる」という誉め言葉として使われます。
- マニュアルは大切だが、顧客のことを考えて臨機応変に対応するべきだ。
- 臨機応変に指示を出してくれる上司なので、安心して働ける。
ストーリー展開に使う類語「デウス・エクス・マキナ」
「ご都合主義」をストーリー展開に使う場合の類語は”デウス・エクス・マキナ(deus ex machina)”です。ストーリー上の問題を、「突然現れた神が助けてくれた」「全て夢だった」などの強引な展開で解決させることを意味します。「ご都合主義」と同じく、嫌いに思う人が多いネガティブな言葉です。
語源は古代ギリシャの演劇で一般的に使われていた手法です。劇の登場人物たちではどうしようもない状態になった際に、神の力や助言で円満に解決させていました。現代では神が関わらなくても、強引な展開ならば「デウス・エクス・マキナ」と呼ばれることが多いようです。
「ご都合主義」の対義語とは?
「ご都合主義」の対義語は”一貫性がある”
「ご都合主義」の対義語は”一貫性がある”です。意味は、最後まで方針・考えが変わらないこと。
「一貫性がない」や「一貫性に欠ける」と否定形にした場合、ご都合主義と似た意味の「方針がすぐに変わる様子」を表現できます。
「一貫性」を使った例文
「ご都合主義」の対義語”一貫性”を使った例文をご紹介しましょう。
- 顧客に一貫性がある話し方ができるよう、しっかり準備していこう。
- 部長の説明は一貫性に欠けていて、とても信用できるものではなかった。
まとめ
「ご都合主義」の意味とは”自分の都合で態度を変えること”です。派生して「作者に都合のよい、強引で安易なストーリー展開」という意味でも使われます。
ネガティブな言葉のため、批判・非難に使われています。ポジティブに使いたい場合は「臨機応変」などに言い換えましょう。