「毀損」の意味とは?例文や「棄損」「故障」との違いも解説

「毀損」は「名誉を棄損する」とのフレーズで使われることが多い印象がありますが、物がこわれるという意味もあります。また、「棄損」と書くこともありますが、それぞれの意味は異なるのでしょうか?

この記事では、「毀損」の意味を解説するとともに、「棄損」との違いや、類語である「故障」「損壊」との違いについても解説しています。

「毀損」の意味とは?

「毀損」の意味は”対面などに傷がつくこと”

「毀損(きそん)」の意味は、“ある存在の対面が傷つくことや利益をそこなうこと”です。たとえば「企業価値を毀損する・倫理規定を毀損する」などと使います。

また、名誉が傷つくことを「名誉棄損」といいますが、名誉棄損は刑法において「名誉棄損罪」という犯罪としても規定されています。公然と具体的事実に言及し、人の社会的評価を傷つけた場合に適用されます。

「毀損」は”物がこわれること”という意味もある

「毀損」とは、“物がこわれること”という意味もあります。「器物を毀損する」などの使い方です。しかし一般的な会話においては、物をこわすという意味で使われることはあまりないといえます。

「毀・損」とも”こわす”という意味

「毀損」の「毀・損」とも、”こわす”という意味があります。「毀」の漢字はこわして捨てることという意味の「毀棄」や、破り捨てることという意味の「破毀」などに用いられています。

「損」の字は、そこない傷つけることという意味の「損傷」や、同じ意味の「損害」などに用いられています。

「棄損」は「毀損」の代用漢字

「毀損」の漢字は、代用漢字の「棄損」と書く場合があります。どちらも意味は同じです。

代用漢字とは、当用漢字表にない漢字を同音の当用漢字に置き換えた漢字のことをいいます。「毀」は当用漢字表に含まれなかったため、「棄」の漢字が当てられました。

しかし「毀」の漢字は、当用漢字の後継である常用漢字において、2010年の改定で追加されています。そのため、代用漢字の「棄損」については、現在はあまり使用されていない状況です。

「毀損」の使い方と例文とは?

「名誉を毀損する」と使われることが多い

「毀損」は、名誉を毀損する場合の表現に使われることが多い言葉です。毀損の表現以外で「名誉が傷つけられた」との表現もできそうですが、「傷つけられた」と「毀損された」には違いがあります。

「名誉の毀損」とは、自尊心や名誉感情、つまり個人の気持ちを傷つけられたことに加えて、社会的な評価を傷つける行為があるとも表しています。

なお、それを法的に罰するのが「名誉棄損罪」です。

物を壊す「毀損」は”価値を傷つける”というニュアンスも含む

物を壊すという意味で使う場合の「毀損」は、「名誉の毀損」と使う場合と同様に、その物の価値を傷つけるという意味も含んで使われることが多いといえます。

たとえば「日の丸国旗の毀損は罰するべきだ」などと使う場合がその例です。ここでは物を壊すという意味に加えて、価値を傷つけるという意味でも「棄損」が使われています。

「毀損」の類語と意味の違いとは?

「故障」の意味は”機能が正常に働かなくなること”

「故障」も「毀損」と同じく”物がこわれる”という意味がありますが、「こわれる」ことの意味合いは異なります。

「故障」が意味する「こわれる」とは、機械や身体などの機能が”正常に働かなくなること”であり、「毀損」が意味する「こわれる」とは”そこなわれる・傷がつく”という意味です。

たとえば「洗濯機が故障する・選手が試合で故障する」などというように、機能がこわれたことを表現します。

「損壊」は広範囲に”こわれること”という意味

「損壊(そんかい)」とは、”こわれること”あるいは”こわすこと”という意味です。意味の上では「毀損」と同じですが、「地震で損壊した家屋・津波で損壊した集落」などと使われるように、広範囲にこわれる場合に「損壊」が使われます。

「毀損」の英語表現とは?

「毀損」は英語で”defamation”

名誉、利益などを損なう「毀損」は英語で“defamation”と表現します。「名誉毀損」は英語で”defamation of character”とも表現できますが、「defamation」のみで”名誉棄損”を表すこともあります。次の例文のような使い方があります。

  • In Brazil, defamation was not just a minor pecuniary offense, but a felony charge subject to a prison sentence.
    ブラジルでは、名誉毀損は単なる軽犯罪ではなく、実刑判決の対象となる重罪だった。

また、特に口頭での名誉毀損は「slander」、文書での名誉毀損は「libel」が使われることもあります。

なお、物を壊すという意味の「毀損」は英語で「damage」です。

まとめ

「毀損」は、単に壊すのではなく、その対象の価値を傷つける意味を含むときに使われます。そのため、名誉や信用、信頼、国旗などを対象とする場合に使われることが多くなります。

また、「毀損」の代用漢字として「棄損」がありますが、「毀」は常用漢字に追加されたことから、「棄損」を使用する場面はあまりないようです。しかし使用しても間違いではありません。