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吹聴(ふいちょう)の正しい意味と使い方!読み方の由来も解説

「吹聴(ふいちょう)」とは、うわさ話などを言いふらすことを表す言葉です。もともとは「風潮」が語源となって生まれた言葉ですが、「すいちょう」と間違った読み方をしてしまう方も多くいます。

今回はそんな「吹聴」の正しい意味や読み方、実際に使うときの注意点や、類語や英語表現までご紹介します。

「吹聴」の意味とは?

「吹聴」の意味は「言いふらすこと」「言い広めること」

「吹聴」とは、「言いふらすこと、言い広めること」という意味です。会話やプライベートな場面ではあまり使われず、公的な文書や書籍など、固い言葉を使う場面でよく使われる言葉です。

「吹聴」の読み方は「すいちょう」ではなく「ふいちょう」

吹聴をよく「すいちょう」と読んでいる人がいますが、これは誤り。正しくは「ふいちょう」と読みます。とはいえ、辞書で調べてみると、吹聴の「聴」はそのまま音読みで「チョウ」と読みますが、「吹」という字に「ふい」という読みはありません。

「吹」の読みには、訓読みの「ふく」、音読みの「スイ」があり、「ふい」という読み方は表外読みといわれる特殊な読み方です。「ふい」という読み方をするのは、吹聴のほかに「ふいご(吹子)」など、一部の言葉で使われています。

「吹聴」の語源は「風潮(ふうちょう)」

なぜ、辞書通りの読み方ではない、「ふいちょう」という特殊な読み方がされるのでしょうか。その理由は、吹聴という言葉の由来にあります。

吹聴はもともと「風潮(ふうちょう)」という言葉から端を発し、これが変化して今の形になった、と言われています。「風潮」は「うわさ、風聞、風の便り」という意味に加え、風潮と同じ「言い回る」という意味を持っています。後者の「言い回る」という意味をより強調して使うとき、「風」よりも「吹」のほうが合っている、と考えられたことから、この字が当てられ、「吹聴」という言葉が生まれたのです。

そして、「吹聴」が世に浸透するにつれ、「風潮(ふうちょう)」の読みが次第に「ふうちょう」へと変化していったことから、現在の特殊な読み方になったと考えられています。

「吹聴」の使い方と注意点

「吹聴する」「吹聴して回る」といった使い方

吹聴はそれ自体が「言いふらす」という動作の意味を持った言葉であるため、後に「~する」や「~される」といった動詞表現をつけて使われます。「言いふらして回る」という言葉のように、「吹聴して回る」といった使われ方をすることも多いです。

マイナスな表現で使われる

吹聴の「吹く」という漢字には、「ほらを吹く」という言葉通り、大げさにものを言う意味が含まれます。そのため、吹聴にもネガティブなイメージが含まれており、噂話や自慢話などを言い広めるときに使われることが多いです。よって、単純に「言い広める」という意味合いで、「研修の予定を吹聴する」といった使い方は誤り。

「ありもしない噂話を吹聴する」のように、ネガティブなイメージを持つ言葉であることに注意しましょう。

人に対して使うとき

吹聴はそれ自体がネガティブな意味を持つ言葉であるため、陰で人のことを批判するときに使われることはあっても、相手に直接「あなたはよく吹聴する人だ」というように使われることは滅多にありません。

例えば、「彼は他人の悪口を吹聴する人だ」というように、批判や皮肉の意味合いを込めて第三者に対して使われることが多いです。

「吹聴」を使った例文

「吹聴する」の例文

  • 他人の噂話を吹聴するのは、大人として常識のない行動だ。
  • 誰かが自分の悪口を吹聴しているようだ。

「吹聴される」の例文

  • 自分の噂を吹聴されるのは、あまり良い気分ではない。
  • 会社についての誹謗中傷が吹聴され、現在対応を検討している。

「吹聴して回る」の例文

  • 他人の不幸を喜んで吹聴して回る人が、この世にはたくさんいる。
  • 彼は今でも、過去の栄光に浸り、いつも自慢話を吹聴して回っている。

「吹聴」の類語

吹聴の類語は「喧伝」「流布」など

吹聴の類語には「喧伝(けんでん)」、「流布(るふ)」、「暴露(ばくろ)」といった言葉があります。どれもカジュアルな場面で使われることの少ない、難しい言葉ですが、すべて「公にする、言いふらす」という意味を持っています。

良いこと、悪いことに関わらず、事実を触れ回る、という意味もありますが、吹聴と同じく自慢話・噂話や悪評を言い回る、というネガティブな側面もあるため、状況に応じて使い分けましょう。

「吹聴」の英語表現

「吹聴」を表す特定の英語表現はない

吹聴を表す特定の英語表現はありません。単純に「話を広める」のであれば、make something knownのように「周知する」と表現することが可能です。一方で、吹聴が持つ「大げさに言う」や「自慢話や噂話を広める」といった独特のニュアンスを伝えたいのであれば、以下のような英語表現を使うと良いでしょう。

She made her idea known to the people exaggeratedly.
(彼女は人々に自身のアイディアを大げさに吹聴した。)

He blew his own trumpet.
(彼は鼻高々に自慢話を吹聴した。)

She has spread false reports about him.
(彼女は彼についてあることないこと吹聴して回った。)

まとめ

普段あまり使う機会がないため、正しい意味や使い方を意識したことがない、という人も多い「吹聴」という言葉。しかし、いざという場面で使い方を誤ったり、「すいちょう」と間違った読み方をしてしまったりすると、社会人として恥ずかしい思いをしてしまうかもしれませんね。今回の記事で吹聴について学び、社会人としての知識の幅を広げましょう。