「縋る」の意味と読み方とは?使い方・例文と類語・対義語も解説

「縋る」という言葉は、「去る人に追い縋る」などと、他者に精神的な助けを求める意味として使われることが多いですが、あまり知られていないもうひとつの意味があります。

この記事では、「縋る」の意味や読み方、使い方・例文について紹介します。あわせて類語・対義語も紹介しています。

「縋る」の意味と読み方とは?

「縋る」の意味1「頼りにするものにつかまる」

「縋る(すがる)」には、意味が2つあります。1つ目は、杖や命綱など「頼りとするものにつかまる」あるいは「てがかりとしてつかまる」という意味です。

たとえば、身体の不自由な人などが手すりに頼りながら歩くことを「手すりに縋りながら歩く」などと表現したり、登山などの場面では「命綱に縋って慎重に歩く」などと用いたりします。

しかし、このような「頼るものにつかまる」という意味で「縋る」が使われることは、実際にはあまりないようです。

「縋る」の意味2「同情や援助を求める」

2つ目の「縋る」の意味は、「同情や援助を求める」という意味です。「援助を求めて金銭的、精神的に依存する」という意味合いも含んで使われることもあります。

具体的には、経済的あるいは精神的に自立できない人が、他者に助けてほしいと援助を求めたり、気にかけてほしいと同情を求める行為のことを指します。

「頼りとするものにつかまる」という動作の意味が転じて、心のあり方を示す使い方がされるようになりました。

「縋る」の読み方は「すがる」

「縋る」の読み方は「すがる」です。「縋」の音読みは「つい・づい」です。「縋」の字を音読みで用いる二字熟語や四字熟語などはないため、「すが-る」の訓読みで用いられることがほとんどです。

「縋る」の使い方と例文

同情や援助を求める意味での使い方と例文

立場の弱い人や独立できずに困っている人が、同情や援助を求めるという意味で使われる「縋る」には、次のような例文が挙げられます。

例文
  • 縋る気持ちで援助をお願いした
  • 経済的困難から逃れるためには父に縋ることしかできなかった
  • 人の情けに縋るような生き方はしたくないと考える人が増えている

精神的な拠り所を求める意味での使い方と例文

精神的な拠り所を求めたり、精神的に依存する心の状態を「縋る」と表現します。

例文
  • 過去の栄光に縋るようでは王者失格だ
  • 無事であってほしいと縋るような気持ちで電話をかけた
  • 子どもが縋るような目をして母親を見ていた

「必死になって頼る」という意味の「縋りつく」

「縋る」は、「縋りつく」という言い回しが使われることがあります。「縋りつく」は「縋る」よりも必死の度合が高く、それを逃すまいとの覚悟をもって縋る状態を表します。「行かないでと恋人に縋りつく」などの使い方です。

同じような使い方で「取り縋る」「泣き縋る」などの言い回しもあります。

去っていこうとする対象には「追い縋る」と使う

去っていこうとする人や対象に対して、それを受け入れることができずに必死で頼る気持ちを「追い縋る」と表現します。

「母親に置いて行かれまいと必死で追い縋る子ども」「夢をあきらめきれずに追い縋る」などです。

慣用句「藁にも縋る」の使い方

「藁(わら)にも縋る」という慣用句があります。切羽詰まった状態に置かれたときには、頼りにならないものにも頼ることをたとえた表現です。

つまり、藁は杖のように現実的には頼りにできないものであるにもかかわらず、緊迫状態にあるときは藁にも縋ってしまうような非合理な行動をとることを示しています。

例えば、「藁にも縋る思いで電話をかけた」などと使います。電話をかけることは非合理的な行動ではありませんが、藁にも縋ってしまうような切羽詰まった状態で電話をかけていることを表現するものです。

「切羽詰まったときには藁にも縋る」という人間の心理は、「溺れる者は藁をもつかむ」のことわざでも表現されています。

「縋る」の類語・類義語と対義語とは?

助けを求める意味での類語は「頼る」

援助や助けを求めるという意味での類語には「頼る」が挙げられます。しかし、同じ助けを求めるという意味でも、「縋る」の方が精神的・経済的に自立できず、相手に依存する意味合いを強く含んでいることが違いだといえます。

「縋る」の対義語は「突き放す」

「縋る」の対義語は「突き放す」です。「突き放す」は突いて離れさせるという動作に対する意味の他に、人情や愛情、同情などを否定したり捨てたりして距離を取るという態度についても使われる表現です。

「助けてと縋る相手を非情に突き放した」などと対比的に用います。この例文の場合は、動作的にも、心情的にも、相手と距離を取る態度を表しています。

まとめ

「縋る(すがる)」は、手すりなど頼りにするものにつかまるといった意味の言葉ですが、実際にはそれが転じて精神的・経済的に頼るといった意味で使われることが多いようです。

「縋りつく」「追い縋る」「藁にも縋る思い」などといった「縋る」の言い回しも多くあります。しかしそれらの意味を一言で表現する二字熟語や四字熟語はありません。