「あまつさえ」の意味と語源とは?使い方の例文と類語・英語も解説

「あまつさえ」は古語のような風情ある響きのある言葉です。年配の方が使ったり、小説などで用いられる表現の一つですが、語源や正しい意味をしっかり理解していますか?

ここでは「あまつさえ」の意味や語源の他、使い方の例文や誤用の例、漢字や類語、英語フレーズについてわかりやすく解説しています。ぜひ、参考にしてみて下さい。

「あまつさえ」の意味と語源とは?

「あまつさえ」の意味は「何かが加わる様子」

「あまつさえ」とは「何かが加わる様子」を表す言葉です。現在、起こっていることに加えて、別の出来事や他の状況がさらに加わることを意味し「余計に何かが重なる状態」を表す時に用いられます。

わかりやすく言えば「あまつさえ」は「その上・おまけに」という意味を持つ言葉です。また「あまつさえ」は古語の響きがありますが、実際にも「太平記」や「仮名草子」などで使われている古い表現となります。

「あまつさえ」の漢字表記は「剰え」

「あまつさえ」の漢字表記は「剰え」となります。「剰え」の「剰」は「過剰」や「剰余」など、何かが加わる時に使われる漢字です。

「剰え」という漢字表記は、新聞や書籍などの読み物ではあまり見かけません。ビジネスメールや手紙などを含め、一般的には「あまつさえ」とひらがなで書くことがほとんどです。

「あまつさえ」の語源は「あまりさえ」

古語の響きを持つ「あまつさえ」の語源は「あまりさえ(余りさえ)」です。「あまり」という言葉に助詞である「さえ」が付き「あまりさえ」となり、読みやすくするために「促音化」されました。その後「あまっさえ」へと変化し、近代に入ってあら「あまつさえ」と読むようになった背景を持ちます。

言ってみれば「あまつさえ」は、もともとは「何かが余る」という意味を持った言葉でもあるわけです。

「あまつさえ」の使い方と例文

「あまつさえ」は悪い状況が加わる時に使われる

「あまつさえ」とは、別の物事がさらに重なることを意味する言葉ですが、多くの場合、事態が収まらず、さらに状況が悪化したり、悪いことが重なる時に使われます。つまり「あまつさえ」は、状況やものごとがさらに良くなったり、改善される時には使われないということになります。下記で「あまつさえ」の誤用例を挙げてみます。

「あまつさえ」の誤用例

  • 就職は決まったし、あまつさえ、宝くじも当たった。
  • 夏の暑さも収まり、あまつさえ、紅葉を楽しめる時期となった。
  • 部長からは営業の成果を褒められ、あまつさえ、給料も上がった。

これらは、状況や物事が良い意味で重なったことを表す文章です。そのため、現代の使い方において「あまつさえ」を使って言葉をつなげるのは適切ではないと言えます。

「あまつさえ」を使った正しい例文

  • 今日は突然雨が降ったり、あまつさえ、電車も大幅に遅れたりした。
  • 海外旅行で盗難にあっただけではない。あまつさえ、酷い風邪も引いてしまう有様だ。
  • 最悪だ。課長には怒られるし、あまつさえ、取引先から文句の嵐だ。
  • 母の機嫌は悪いし、あまつさえ、彼女もイライラしている。

「あまつさえ」の類語とは?

「あまつさえ」の類語は「それに加えて・それどころか」

「あまつさえ」と言い換えのできる類語は「それに加えて」や「それどころか」、また「尚且つ」や「のみならず」などです。これらの類語はすべて、状況がさらに追加されるさまを表す言葉となります。下記で言い換えの例文を見てみましょう。

言い換えの例文
  • 忘れ物はするし、あまつさえ、アポの時間も間違えてしまう始末だ。
  • 忘れ物はするし、それどころか、アポの時間も間違えてしまう始末だ。
  • 忘れ物はするし、それに加えて、アポの時間も間違えてしまう始末だ。
  • 忘れ物はするし、尚且つ、アポの時間も間違えてしまう始末だ。

「泣きっ面に蜂」は「不運が重なること」

「泣きっ面に蜂」とは、不運が重なったり、不幸がさらに押し寄せることを意味することわざです。

人は泣くと顔がむくんでしまうものです。これだけでも十分に不幸であるのに、さらに蜂に刺されて顔が腫れてしまうことを意味します。つまり「泣きっ面に蜂」は不幸や不運が重なることのたとえとして、さらなる悲運を表す時に使われます。

例文
  • 仕事で落ち込んでいる時に、上司にひどく叱られた。泣きっ面に蜂とはこういうことか。
  • 泣きっ面に蜂ではないが、右足を捻挫したと思ったら今度は左腕を骨折した。

「あまつさえ」を英語で表現すると?

「あまつさえ」は英語で「on top of that」

「あまつさえ」を英語で表す時は「on top of that」を使うのが適切でしょう。「on top of that」は、「それに加えて・その上」という意味があり、悪いことでも良いことでも、物事が更に重なる時によく使われます。

しかし、日本語での「あまつさえ」は、多くの場合、悪いことがさらに重なることを意味します。そうなると、さらに悪いことにという意味を持つ「even worse」を使うのが最も無難であるとも言えます。

「あまつさえ」を使った英語例文

  • 仕事もクビ、あまつさえ、彼にも別れを告げられた。
    I got sacked and my boyfriend left me on top of that.
    I got sacked and even worse my boyfriend left me.
  • 台風が来て、あまつさえ、ひどい土砂崩れも発生した。
    The typhoon came and the nasty landslide occcured on top of that.
    The typhoon came and even worse the nasty landslide occured.

まとめ

「あまつさえ」とは「物事に何かが加わったり、重なるさま」を意味し、一般的には「その上」や「おまけに」というニュアンスで使われます。おおむね、悪い物事や良からぬ状況がさらに加わる時に用いられ、良い意味ではほとんど使われません。

「あまつさえ」は、古語が持つ風情ある語勢を持つのが特徴です。ぜひ、手紙や俳句など、情緒的なシーンを創りあげたい時にも用いてみて下さい。