「彷徨」という言葉を知っていますか?読み方もさることながら、意味についても、よくわからないという人もいるでしょう。一般的には「彷徨う(さまよう)」という言い回しがポピュラーですが、社会人としても正しい意味や使い方を把握しておきたいものです。
ここでは「彷徨」の読み方の他、使い方の例文や類語、英語表現を含めて解説しています。参考になると幸いです。
「彷徨」の意味と読み方とは?
「彷徨」の意味は”あてもなくさまようこと”
「彷徨」の意味は、“あてもなくさまようこと”です。つまり、目的や意図を持たず、たださまよい歩くことを「彷徨」といいます。「彷徨」には”うろうろする・うろつく”と言ったニュアンスもあり、わけもなく、たださまよう様子を表す時に使われます。
「彷徨」の読み方は”ほうこう”
「彷徨」の読み方は“ほうこう”です。「彷徨」の意味である”さまよう”は漢字で「彷徨う」と表記しますが、まさに「彷徨」そのものの意味を示しているとも言えます。
「彷徨」の使い方と例文とは?
「彷徨する」が最も多い言い回し
「彷徨」は「彷徨する」という言い回しで使われることがほとんどです。「街を彷徨する・大地を彷徨する・物思いにふけりながら彷徨する」など、さまざまなシーンで使うことができます。
また「彷徨する」は言ってみれば「彷徨う(さまよう」ことですが、あえて「彷徨」という二字熟語を使うことによって、独特で詩的な情景を醸し出すこともできます。
「彷徨」は音や余韻などに対しても使われる
「彷徨」は、人が当てもなく歩き回ることを意味するだけではなく、音や余韻などに対しても使われることがあります。たとえば、「風の音だけが彷徨していた」「悲しみの余韻だけが彷徨していた」というように、目に見えないものが空気中を彷徨うようなイメージを持って用いられます。
多くの場合、歌の歌詞や詩などに好んで選ばれますが、こういった使い方をすることで、美しい情景描写を効果的に表現することもできます。
「彷徨」を使った例文
「彷徨」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 都会を離れて高原の宿舎に辿り着いた。ただ気が向くまま彷徨する自分がいた。
- 目的など何もない。一人海辺を彷徨しながら、未来の自分を思い描いていた。
- 森の中を彷徨していると、ふと我に帰ったような気がした。
- どこに行っていたの?夜道を彷徨してたんじゃないかと思って、心配したんだから。
- 彼が去った後も、ぬくもりだけが私の周りを彷徨しているようだった。
- さざ波が彷徨する海辺に、一人たたずむ。
「彷徨」の類語とは?
類語①「流離う」とは”当てもなく歩くこと”
「流離う(さすらう)」とは、”当てもなく歩くこと”ことを意味します。主に、理由や明確な目的地を持たず、行き当たりばったりの旅に出かけること、また定まった目的もなく、ただ漂泊するような状況で使われます。
- 就職試験に失敗し、ただ悲しく街中を流離っていた。
- 最果ての地を流離うのも、自分らしくて良いと思う。
類語②「流浪する」とは”各地をさすらうこと”
「流浪する(るろうする)」とは、定まった場所を持たず、各地や地方を点々とするさまを意味する言葉です。つまり、住むところを決めず、彷徨い歩くことを意味し、一般的には「流れる」や「放浪」とほぼ同じ意味で使われます。
- 私はかれこれ、諸国を5年の間、流浪する生活を続けている。。
- 国内を流浪していると、さまざまな人と出会うものだ。
類語③「ふらつく」とは”ぶらぶらとする”
「ふらつく」とは、ぶらぶらとすること、また目的もなく歩き回ったり、うろつくことを意味します。「彷徨」とほぼ同じような意味を持ちますが、その他”気持ちが落ち着かず、揺れ動く”といった意味も持ちあわせます。
- 学校帰り、暇だったので街中をふらついていた。
- ショッピングセンターをふらついていたら、偶然にも旧友に会った。
「彷徨」の英語表現とは?
「彷徨」は英語で”wander around”
「彷徨」を英語で表す時は“wander around(ワンダーラウンド)”を使うのが一般的です。人が彷徨い歩くこと、当てもなく歩き回ることを表す時に、よく使われるフレーズです。
また、ややアウトロー的なイメージで、世間からはぐれて一人放浪するという意味では「stray(ストレイ)」を使うこともできます。ちなみに「stray dog」とは「野良犬」のことです。
「彷徨」の英語表現を使った例文
「彷徨」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。
- 時に、一人で彷徨したい衝動に駆られることがある。
I sometimes get the urge to wander around by myself. - 最果ての地を彷徨する自分がいる。
I found myself wandering around the farthest land.
まとめ
「彷徨」の読み方は”ほうこう”で、意味は「当てもなく、ただ歩き回ること・目的や意図なくうろつくこと・彷徨い歩くこと」となります。「彷徨」は歌のタイトルでも使われていますが、詩的な語勢があるのが特徴とも言えるでしょう。
また「彷徨」を普段の会話で使うと、やや堅苦しいイメージを当たえてしまうことがあるかもしれません。その場合は「彷徨う」や類語である「流離う」など、馴染みのある表現に言い換えてみて下さい。