「触発」の意味や使い方は?類語「感化」との違いや英語表現も紹介

「触発」とは、ある刺激や影響を受けて行動や意欲を起こすこと。その意味や漢字のイメージから、四字熟語として「一発触発」と使う人もいますが、これは間違い。正しくは「一発即発」です。

この記事では「触発」の意味や使い方を例文とともに解説。言い換え表現や類語「感化」との違い、英語表現についても紹介します。

「触発」の意味とは?

「触発」の意味は”刺激や影響を受け行動すること”

「触発」の意味は、“刺激や影響を受けて行動したり意欲を起こしたりすること”です。読み方は「しょくはつ」です。

他にも、「触発」は、“物理的に何かに触れることで、爆発をおこしたり動きだしたりすること”をさします。他人の言動など外からの刺激や影響を受けることで、ポジティブな行動をおこしたり意欲をかきたてられるなどの変化をさします。

ビジネスシーンや日常会話では主に、”刺激や影響を受けることで行動や意欲を起こすこと”という意味で使われる言葉です。

「触発」の使い方と例文とは?

「触発される」はポジティブなニュアンスで使う

「触発される」とは、刺激や影響を受けることでポジティブな行動をしたり意欲を起こすことを表します。たとえば、やる気のある新入部員のようすに刺激を受けたとき「新入社員のやる気に触発されて頑張ったから仕事が早く進んだよ」などと表現します。

受けた刺激や影響により、ポジティブな変化を起こしたというニュアンスです。

「触発する」などの言い回し

「触発する」とは、相手に刺激や影響を与えることで行動を促すことを表します。たとえば、社長が忙しすぎてやる気のなくなった社員に対し、「社員を触発するために福利厚生を充実させた」などと表現します。

相手に行動や意欲を起こさせるために、刺激や影響を与えるというニュアンスです。

「一発触発」は間違った四字熟語

「一発触発」は間違った四字熟語。正しい漢字は「一発即発」です。

「一発即発(いっぱつそくはつ)」とは、少し触れただけですぐに爆発するような危うい状態のこと。緊迫した場面など、ちょっとしたきっかけで大変なことが起こりそうというニュアンスです。

「触発」には、何かに触れることで爆発をおこしたり動きだしたりという意味があります。そのため、触れるだけで爆発という言葉のイメージから「一発触発」と誤った使い方をしてしまう人も多いようです。正しくは「一発即発」ですので、覚えておきましょう。

「触発」を使った例文

「触発」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 起業で成功した友人に触発されて、私も起業しようと猛勉強をはじめました。
  • 私が絵をかいてみようと思ったのは、友人の絵の素晴らしさに触発されたからです。
  • 写真好きの彼に触発されてカメラを買ったよ。

「触発」の類語や言い換え表現とは?

類語①「誘発」はある事が原因となり物事を引き起こすこと

「誘発(ゆうはつ)」とは、ある物事が原因となり、別の動きや出来事を引き起こすこと。「誘」には「さそう」や「みちびく」という意味があります。何かが原因となることで、よくない事が起きるというニュアンスです。

「触発」はポジティブな行動などを起こすことですが、「誘発」はネガティブな出来事が起きたときに使われることが多い言葉です。

例文
  • おいしそうな香りに誘発されて急におなかがすいた。
  • 小さな言い争いが、取っ組み合いのけんかを誘発した。
  • 写真好きの彼に誘発されてカメラを買ったはいいが、まったく使っていない。

類語②「感化」とは相手に影響を与え変化させること

「感化(かんか)」とは、相手に影響を与えて考えや行動を変化させること。「感」には「心を動かす」という意味があり、「化」には「性質をかえる」や「影響を与える」という意味があります。

「触発」は、刺激や影響を受けることでポジティブな変化をするというニュアンスですが、「感化」は、ポジティブな変化だけではなく、ネガティブな変化に対しても使われる表現。場合によっては言い換え表現としても使えますが、前後の文脈などに注意が必要です。

例文
  • 音楽好きの父に感化されて、さまざまなライブに足を運ぶようになった。
  • 悪い友人に感化されて汚い言葉を使うようになった。
  • 写真好きの彼に感化されてカメラを買ってしまった。

類語③「影響」とは物事の力が他のものにも作用すること

「影響(えいきょう)」とは、ある物事の力が他のものにも作用すること。「影」には「物体によってできたカゲ」という意味があり、「響」には「伝わる」や「作用が及ぶ」という意味があります。

「触発」は刺激によって気持ちや行動がポジティブな変化を起こすというニュアンスですが、「影響」は相手への変化がポジティブでもネガティブでも使われる表現です。前後の文脈などに注意が必要ですが、言い換え表現として使える場合もあります。

例文
  • 渋滞の影響でバスが遅れているらしい。
  • 映画好きな友人の影響で、私も映画をみるようになりました。
  • 写真好きの彼に影響されてカメラを買いました。

「触発」の英語表現とは?

「触発」は英語で”inspired”

「触発」を英語で表現するには“inspired”を使います。「inspired」は「inspire」の過去形にあたる単語で”刺激をうけた”という意味。「inspired by~」というフレーズは、”~に刺激を受ける”や”~に触発される”といったニュアンスで使えます。

また、「影響を受ける」というニュアンスの「affected by」や「influenced by」も同じく”触発される”という意味で使えるフレーズです。

「触発」を使った英語例文

「触発」の英語表現使った例文をご紹介しましょう。

  • I was inspired by her.(私は彼女に触発された)
  • Inspired by him, I bought a camera.(彼に触発されてカメラを買った)

まとめ

「触発」には意味が2つあります。ひとつは物理的に触れることで爆発などが起きること。もうひとつは刺激や影響を受けることで行動や意欲を起こすことです。ビジネスシーンや日常会話では、主に2つ目の意味として使われることが多いでしょう。

また、類語である「感化」や「影響」はポジティブにもネガティブにも使えるのに対し、「触発」はポジティブな変化に対して使われるのも特徴のひとつ。場合によっては言い換えとして使えますが、文脈などに注意が必要です。