「装丁」の意味とは?「装画」との違い・装丁家の仕事も解説

おしゃれな装丁だと、その本の内容や著者を知らなくてもつい手に取ってみたくなりませんか。本の顔とも呼べる「装丁」は表紙やカバーデザインだけでなく、本の中の扉と呼ばれる部分のデザインもします。この記事では、「装丁」の意味や「装画」との違いのほかに、装丁家の仕事なども紹介します。

「装丁」の意味とは?

「装丁」とは「書籍の外側をデザインすること」

「装丁(そうてい)」とは本を作っていく工程のひとつで、書籍の仕上げとして書籍の外側部分のデザインすることです。書籍の表紙やカバー、扉、見返し、外箱などに記載される文字や図柄をデザインして、その材質も選びます。

本の顔とも呼ばれる「装丁」は、書籍の企画意図を組みながら内容を反映したデザインであり、かつ読者が手に取ってもらえるように仕上げることが大切です。

「装丁」の例文
  • 意匠で装丁する。
  • 同人誌の装丁を作る。
  • 牛皮で装丁された本。

装丁される箇所

書籍の装丁では、次のような箇所をデザインしていきます。

  • 表紙:書籍の中身をまもるためのもので、厚紙が使われることが多く、皮や布で装飾されることもある。
  • カバー:表紙を守るために付けられるもの。表には署名や著者名、出版社名が入り、裏には価格やISBNコードなどが記載される。
  • :表紙をめくったときに最初に来るページを本扉と言い、本のタイトルが書かれる。
  • 見返し:表紙の裏の部分。
  • 外箱:書籍を守る目的で作られた箱。

「装本」とは書籍の内側のデザインのこと

「装丁」は表紙などの書籍の外側部分を主にデザインするのに対して、「装本」とは書籍の内側をデザインすることです。目次や本文の印刷方法や材料選び、書体を選び、挿絵や図のレイアウトなどをします。

「装丁」は「装幀」と書かれることも

「装丁」は「装幀」と書かれることもあります。しかし「幀」が常用漢字ではないので、「テイ」と読まれる当て字として「丁」の字が使われるようになり、「装丁」と書かれる方が一般的です。

「装幀」の本来の意味は「書画の仕立て」

「装幀」とは本来、書画を台紙に貼り付けて、掛物や額に仕立てることという意味の言葉です。しかし現在では、本来の意味ではなく、書籍の外側部分のデザインをするという意味合いで使われることの方が多くなりました。書画を仕立てることと書籍の表紙づくりの工程が似ているため、装幀には装丁の意味が加わり、書画の仕立てよりも書籍のデザインの方が需要は多いことから、装幀には装丁という意味が定着しました。

「装丁」と「装画」「挿絵」との違い

「装画」とは書籍のカバーに使われる絵やイラストのこと

「装画(そうが)」とは装丁に使われる絵やイラストのことで、表紙やブックカバーに使われます。ブックカバーに装画が用いられることが多いので、「ブックカバーイラスト」と呼ばれることもあります。

「装丁」は書籍のカバーだけでなく表紙や見返し、扉、外箱などの本の外側すべてのデザインを指しますが、「装画」は装丁に用いられる絵やイラストのことだけを指します。

「挿絵」とは文中に添えられる絵のこと

書籍に用いられる絵には文中に添えられる「挿絵(さしえ)」もあります。「挿絵」は挿絵が挿入される場面を説明したり、登場人物の心境を表現したりしています。

書籍に使われる絵やイラストも、表紙やカバーに用いられていれば「装画」と呼ばれ、文中に挿し入れられている絵なら「挿絵」のように名称が変わります。

「装丁」の歴史とは?

装丁の始まりは本が巻物から冊子に変わったとき

「装丁」は本が巻物から冊子へと変わった4世紀後半ごろから始まりました。資料としては、6世紀には製本技術である「コブト式」により製本されたという事実が残されています。

8世紀ごろになると製本の技術が進み、表紙に羊や牛などの動物の皮が用いられて、本の背が綴じた時の紐が膨らんでこぶのように見えるのが特徴の背バンドによって綴じた装丁も始まります。

装丁及び製本の技術は、福音書などのキリスト教の書物を製作するためにヨーロッパ各地の修道院で発展していきました。

活版印刷の発明が装丁職人を生む

ドイツ出身で印刷業を営むヨハネス・グーテンベルグ(1398-1468)により発明されたと言われる活版印刷により、製本の需要が高まります。修道院で行われていた製本が、印刷業でも行われるようになり、装丁は装丁を専門とする専門家によって行われるようになっていきます。

16世紀には製本工芸がイタリアやフランスへと波及して、装飾的な装丁技術が発展しました。金箔やマーブルなど凝った装飾や、表紙には皮以外にも、ビロードや絹などの布も用いられるようになりました。絵柄を浮き出されるタイポグラフィックの型押しをした革表紙やグロリエ風の装丁などが始まったのもこの時代です。

版元製本で増産が可能に

16世紀にはすでに製本の基本的な技術が整い、装丁はより複雑で豊かな装飾性を目指していきます。

20世紀には書籍は版元製本されるようになり、本は大量に生産されるようになります。中世のころの装丁のような手の込んだ装丁は施されないようになりましたが、本の修復、補修のために、今でも過去の装丁技術は受け継がれています。

「装丁家」の仕事とは?

「装丁家」とは本の装丁の専門家

書籍の装丁を専門にする人のことを「装丁家」と言います。「ブックデザイナー」と呼ばれることもあるのですが、厳密に言えば、「装丁家」と「ブックデザイナー」は違います。

「装丁家」は表紙などの書籍の外側をデザインする人ですが、「ブックデザイナー」は装丁と装本の両方、つまり書籍の外側と内側をデザインします。書籍のすべてをデザインするのが「ブックデザイナー」です。

製本の種類:上製本と並製本の違い

製本には、上製本と並製本の2種類があります。「上製本」はハードカバーとも呼ばれて、表紙が固く耐久性に優れています。ボール紙に印刷用紙やクロス張り、革張りなどをして装飾されて、高級感のある本へと仕上げます。

一方、「並製本」は表紙が柔らかく、ソフトカバーとも呼ばれます。表紙には厚めの紙を使い、本文の用紙と同じ大きさに用意した表紙を同時に固めて製本します。

「装丁家」の仕事の流れ

「装丁家」は主に次のような工程で仕事を進めていきます。

装丁の仕事に入る前の準備として、装丁する本の原稿を読み、企画意図を理解します。そして、どのような装丁がいいのかをイメージすることから始めます。

次に、予算や製本までの時間などを考慮して、装丁デザインを始めます。装丁に用いられる文字のデザインや組み方や、イラストや写真などのデザイン、さらにどのような材質にするのかなどの材質選びなども行います。

装丁デザインのパターンができあがると依頼主に見せて確認を取り、デザインが決定した後、印刷するために発注します。

「装丁家」は本のイメージを伝える役割を果たすので、本の内容だけでなく著者や出版社がどのような意図でその本を売り出したいのかを受け止めたうえでデザインを行うことが大切です。

「装丁」の英語表現

「装丁」は英語で「design」または「binding」

「装丁」のデザインを指す場合は、「デザイン」という言葉の語源である「design」が使われます。

また「装丁」を製本するという意味で使うのであれば「binding」です。「binding」は縛るまたは結びつけるという意味の動詞bindの名詞形で、製本する工程で紐を使って紙を縛ることから「binding」が使われます。

「装丁」の英語例文

  • “the binding and design of a book.”
    「本の装丁」
  • “The design of the book is fine.”
    「本の装丁がきれいだ」

まとめ

「装丁」とは本の外側部分のデザインをして体裁を整えることで、本の表紙やカバー、見返し、扉、外箱などのデザインをします。本が売れない時代と言われるなかで、「装丁」の良し悪しは本の売れ行きと関係するとも言われています。そのため装丁家の役割は大きくなっていると言えるでしょう。