「雇用保険被保険者資格喪失届」とは?記入と提出の注意点を解説

「雇用保険被保険者資格喪失届」は社員が退職したときなどに提出する書類です。提出が遅くなると退職した本人が困ることもありますので、できるだけ早めに手続きをしましょう。遅れると、ハローワークから提出を求められることもあります。今回は「雇用保険被保険者資格喪失届」の書き方や、手続きの仕方を紹介します。

「雇用保険被保険者資格喪失届」とは?

「雇用保険被保険者資格喪失届」は退職するときに提出する書類

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、退職し、雇用保険を脱退するときに提出する書類です。提出することで、月々支払っていた雇用保険料なども払わなくてよくなります。「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出しなければ、退職した本人が失業保険をもらう手続きに進めませんので、早めの提出が必要です。

退職以外で提出することもある

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、退職以外でも雇用保険から脱退する状況になれば、提出しなければなりません。例えば、社員が死亡したときや、勤務時間が短くなって雇用保険に加入できる条件を満たさなくなった場合などがあります。

「雇用保険被保険者資格喪失届」はいつどこに提出する?

「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出先はハローワーク

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、事業所のある管轄のハローワークに提出します。「雇用保険被保険者資格取得届」と同じく、雇用保険の手続きをしている窓口がありますので、持参しましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届の添付書類

「雇用保険被保険者資格喪失届」には、以下の添付書類が必要です。

  • 出勤簿
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 離職証明書(離職票の交付を希望するとき)
  • 離職理由が確認できる書類(退職届など)

離職証明書は「離職票」と呼ばれることも多い書類です。本人が希望しないとき以外は、基本的に必要です。また、年齢が59歳以上の方は、本人が必要ないと言っていても提出しなければなりません。

郵送や電子申請も可能

「雇用保険被保険者資格喪失届」は郵送や電子申請も可能です。郵送の場合は、管轄のハローワークに送りましょう。電子申請の場合は、添付書類もデータで用意する必要があります。

提出期限は「翌日から10日以内」

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、退職した日の翌日から10日以内に提出が必要です。提出が遅くなると、退職した人が失業保険をもらう際に不利益を被る可能性もあります。できるだけ早く手続きをしましょう。

「雇用保険被保険者資格喪失届」の書き方

用紙は加入したときにハローワークでもらっている

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、社員を雇用保険に加入したときにハローワークからもらいます。A4用紙を3分割できるようになっている書類で、一番上が「雇用保険被保険者証資格喪失届」です。

真ん中が「雇用保険被保険者資格取得確認通知書(事業主通知用)」、一番下が「雇用保険被保険者資格取得確認通知書(被保険者通知用)」と「雇用保険被保険者証」になっています。

ハローワークから受け取ったときに、一番下は本人に渡し、上2つは大切に保管しましょう。「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出するときには、一番上を切り取って使います。

もし紛失した場合は、ハローワークのホームページからダウンロードできます。ただし、取得のときにハローワークから受け取った「雇用保険被保険者資格喪失届」は、被保険者の氏名や被保険者番号など、必要な情報がほとんど記入されていますが、ダウンロードした場合は空欄です。ご自分で調べて記入する必要があります。

「雇用保険被保険者氏名変更届」は二重線で消す

「雇用保険被保険者資格喪失届」は「雇用保険被保険者氏名変更届」を兼ねています。社員が結婚するなどして氏名変更をするときにも同じ書類で手続きができます。

用紙の一番上に「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」と書かれていますので、「氏名変更届」は二重線で消しましょう。逆に、「雇用保険被保険者氏名変更届」として提出するときには「資格喪失届」に二重線をひいて使います。

個人番号(マイナンバー)が必要

平成28年1月以降、「雇用保険被保険者資格喪失届」には、個人番号を記入しなければなりません。個人番号を記載する欄がありますので、社員からマイナンバーを教えてもらい、記載しましょう。平成30年5月からは、マイナンバーの記載がないと、返戻されるようになりましたので注意してください。

平成27年以前に雇用保険の資格を取得している場合、手元にある「雇用保険被保険者資格喪失届」には「個人番号」を記載する欄がついていません。「雇用保険被保険者資格喪失届」以外に「個人番号登録・変更届出書」を提出する必要があります。「個人番号登録・変更届出書」をすでに提出している場合は、欄外に「マイナンバー届出済み」と記載します。

離職等年月日は基本的には退職日

退職で雇用保険を脱退するときの離職等年月日は、最後に出勤した日です。勤務時間が短くなるなどの理由で雇用保険を脱退する場合は、契約が変更になる日の前日を記載します。

喪失原因は2を選ぶ場合が多い

喪失原因とは、雇用保険を脱退する理由です。1、2、3から選ぶ欄があります。1は離職以外の理由です。勤務時間が短くなったので雇用保険を脱退する人などは、1になります。

3は、事業主の都合による離職です。解雇する場合などに使います。1と3に該当しない場合が2になります。本人の希望で退職した場合や定年退職、契約社員の人が契約期間満了で退職する場合などで、一般的に喪失原因は2を選ぶことが多いです。

離職票の交付を希望するかを記載

本人が離職票の交付を希望するかどうかを記入する欄があります。離職票の交付を希望している場合には、離職証明書(離職票)も一緒に提出しなければなりません。離職票の交付希望有無と、添付書類の離職証明書の有無が一致しているか確認してからハローワークに提出しましょう。

被保険者でなくなったことの原因の書き方

被保険者でなくなった原因を記入する欄があります。選択肢を選ぶのではなく、具体的に文字で記入する必要があります。退職理由は、本人が失業保険をもらうときに重要になりますので、「本人が転職を希望したため」など、わかりやすく記入しましょう。

まとめ

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、社員の退職時にハローワークに提出が必要な書類です。退職理由や退職した日によって、本人が受け取る失業保険にも違いがでてきます。できるだけ早く、正確に記入し、提出をしましょう。