「諌める」の意味と読み方とは?使い方や類語・対義語も例文解説

「諫める(いさめる)」とは、間違ったことを改めるようにと意見を述べることを意味します。主に目上の人に対して使う表現ですが、聞いたことはあるけれど使い方がよくわからないという人が多いかもしれません。

この記事では、「諫める」の意味と使い方を例文をまじえて解説します。あわせて類語・対義語と英語表現についても解説しています。

「諫める」の意味と読み方とは?

「諫める」の意味は”悪い行いなどを改めさせること”

「諫める」の意味は、“悪い行いや欠点、過ちなどについて指摘し、正しい道の在り方を示して改めさせること”です。

特に倫理的、道徳的に問題のある考え方や言動などが過剰となり、見過ごせないことへの忠告を行うことを「諫める」と表現します。

「諫める」の読み方は”いさめる”

「諫める」の読み方は“いさめる”です。「諫」の音読みは”かん”です。

「諫める」の使い方と例文とは?

「諫める」は主に目下から目上の人に対して使う

「諫める」は、主に目上の人に対して忠告を行うときに使う言葉です。目下の人や立場が同等の人に対して使っても誤用というわけではありませんが、目上の人に対する忠告行為に対して使われることが実際にも多いようです。

たとえば「部下が上司のハラスメント行為を諫める」などの使い方です。しかし、「母親が子どもを諫める」との使い方も誤用ではありません。

目上に対して使う「諫める」の例文

目下から目上に対して、あるいは主人や雇用者に対して使う「諫める」の例文を紹介します。

例文
  • 必要な時には諫めてくれる部下を持つことが管理職の質の向上につながる
  • 裸の王様にならないよう、権力者を諫める存在が必要だ
  • 天狗になっているタレントをマネージャーが諫めた

「諫める」の類語とは?

「諫める」と同じ意味の熟語”諫言”

「諫める」と同じ意味の熟語は“諫言(かんげん)”です。「諫める」と同じく、主に目上の人に対して使われます。

「上司に諫言する」「成功するリーダーには良い諫言役がいる」などと使われます。

目上の人に意見を述べる意味の「進言する」

「進言(しんげん)」とは、目上の人に対して意見を申し述べることを言います。「組織改革を進言する」などと用います。

「諫める」と「諫言」は悪い点に対して改善を忠告することですが、「進言」にはそのような前提はありません。「悪い点や過ちなどについて進言する」ことが「諫言する」ことであると説明できます。

考えや意見を提出する「提言する」

特に立場を問わず、意見や考えを提出することを「提言する」といいます。

「諫める・諫言する」は強く改善を求めるものであるため、批判的と捉えられるのを避けたい場合は中立的な表現である「提言する」を使うことができます。

助言的な指摘である「忠告する」

「忠告」とは、相手の悪いところを指摘して改めるように勧めること、あるいはその言葉を言います。相手のことを思う真心からの指摘や言葉であることがポイントです。

「諫める」も同じ意味を持ちますが、忠告は中立的な「アドバイス・助言」の意味もあるところが「諫める」との違いです。

たとえば生活習慣などについて「医師が患者に忠告する」という場合は、よりよくするための助言ですが、「医師が患者を諫める」とするときは、患者側が自分の意志によって不適切な生活習慣を続けている状態が前提となります。

目上が目下に使う類語「言い聞かせる・諭す」

「諫める」は主に目上の人に対して使われますが、その逆で目上の人が目下の人に対して、あるいは立場が上の人が下の人に諫める場合の類語となる表現には「言い聞かせる」や「諭す(さとす)」があります。

「言い聞かせる」とは、よくわかるように教えたり説明したりして理解を促すことをいいます。「母親が子どもに忘れ物をしないように言い聞かせる」などと使います。

「諭す」は物事の道理がわかるように教え導くという意味です。「言い聞かせる」よりも論理的に秩序立てて教えわからせるという意味があります。

「諫める」の対義語とは?

よくない行動をすすめる意味の「唆す」

「諫める」は悪いことがよい方向へ向かうように改めさせる行為ですが、その逆で相手がよくない行動をするようにすすめることを「唆す(そそのかす)」といいます。

「悪事を唆す・悪い友達に唆されて違法行為に手を染めた」などと用います。

「諫める」の英語表現とは?

「諫める」の英語は”expostulate”

「諫める」は英語で“expostulate”“remonstrate”などと表現します。

「expostulate」は、”諫める”の他に”説いて聞かせる、忠告する”という意味があり、「remonstrate」は、”諫める”の他に”抗議する”という意味があります。状況によって使う言葉が異なります。

「諫める」の英語例文

「諫める」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • 会長の独善的な振る舞いを諫める者は誰もいなかった。
    There was nobody who dared to expostulate with the chairman about his self‐righteous behavior.
  • 家臣は腹を切る覚悟で主君の圧政を諫めた。
    Prepared to sacrifice his own life, a retainer remonstrated against his lord’s oppressive rule.

まとめ

「諫める(いさめる)」とは、主に目上の人に対して使う言葉で、良くない状況にある物事を良い方向に向かうように提言することをいいます。同じ意味の熟語には「諫言(かんげん)」があります。

「部下が上司を諫める」などが例として挙げられますが、過剰な忖度や同調圧力がはびこる昨今の日本においては、上司に意見をするという例文は実感を伴わないものかもしれません。

「諫める」「諫言する」には強く意見することという意味合いもあるため、使いにくい場合には「進言する」「提言する」など、中立的な表現を使うとよいでしょう。