「漆黒」の意味と使い方とは?類語・言い換え表現や「漆黒色」についても解説

「漆黒の暗闇」などと使われる「漆黒」。単純な真っ黒や真っ暗とは違う、趣を感じさせる言葉です。この記事では、「漆黒」の意味や使い方を解説します。あわせて類語や言い換え方、英語表現も解説しています。

「漆黒」の意味とは?

「漆黒」の意味は「黒漆のように真っ黒でつやのあること」

「漆黒(しっこく)」とは、黒漆(くろうるし)を塗った漆器のように真っ黒でつやのある黒色のこと、あるいはそのようなつやのさまをいいます。

「漆黒」の語を用いることで、黒い漆が持つ奥の深い色合いのイメージが連想されることから、単なる「黒」とは違う、つややかな黒い色や暗闇の深さを強調することができます。「漆黒の黒髪」「漆黒の暗闇」などと使われます。

「黒漆」とは黒色の漆のこと

「黒漆」とは、黒色の漆のことです。漆は、ウルシノキの樹液をろ過した段階では透明な生漆(きうるし)ですが、鉄分を加えると漆の成分と反応して黒く発色します。他にも、顔料を添加することでさまざまな色の色漆を作ることができます。

漆を木製品などに塗る漆工芸はその美しさから伝統的な美術工芸として発展してきました。欧米においては、古くは漆器のことを「japan」と呼び、それが国名として使われるようになったほど、日本を代表する美術工芸として認知されていました。

「漆黒」の使い方と例文

「漆黒」は情緒的で深い黒色や闇を表現する

「漆黒」は、小説の中での描写や芸術作品の批評などにおいて、深い黒色あるいは深い闇の状態を情緒的に表現する言葉として使われます。また、深い悲しみの底にある心の状態を比喩的に「深い漆黒の闇の中にいる」と表現したりします。

「漆黒」は黒色の特別感や高級感を表現する

「漆黒」は、製品や建造物などに使われる黒色の特別感や高級感を訴求する際にも効果的に使うことがあります。

「漆」を塗った日本の伝統的な器などが持つ高級感のイメージ効果を「漆黒」の語を用いることで付与することもできます。たとえば「美術品のように美しい漆黒の建物」などの表現です。

「漆黒」の類語・言い換え方とは?

「漆黒色」の類語は「烏の濡れ羽色」

「漆黒」と同じように、黒色の特色を他のものにたとえた表現に「烏の濡れ羽色(からすのぬればいろ)」があります。

「烏(からす)」の羽が水に濡れると、つやつやとした黒色になることから色の名前として古くから使われた表現です。「烏の濡れ羽色のように美しい黒髪」などと、女性の黒髪を称賛する表現として使われてきました。

「烏の濡れ羽色」と同じ意味で、「濡羽色(ぬればいろ)」「烏羽色(からすばいろ)」ともいいます。

「漆黒」は「黒光り・黒々とした」と言い換えられる

「漆黒」は、深くつやのある漆の黒さを知らない人にはピンとこない表現でしょう。「漆黒」の言い換え表現には「黒光り(くろびかり)」があり、「黒光りする瞳」など黒いだけでなくつやや光を伴う黒さを表します。

光を伴わなず深い黒色を表現する言葉は、「黒々とした・真っ黒」があります。

「漆黒」の他に黒を表す色名は「墨色」

色みのない無彩色を古くから「墨色(すみいろ)」と呼んできました。煤やにかわを原料とする、書道や水墨画で使う「墨」の色を指したり、あるいは墨のような真っ黒な色を指します。

加えて、墨の墨色に明るさを加えることによって灰色の濃淡を出すことができ、薄い灰色を「薄墨(うすずみ)」、濃い灰色を「濃墨(こずみ)」と呼びます。

「漆黒」の英語表現とは?

「漆黒」は英語で「jet-black」

「漆黒」は英語で「jet-black」や「pitch-black」と表現します。ただの「black」に対して、艶のある黒色を指します。インクや製品カラーの色の名称としては、「ジェットブラック」のカタカナ語でも使われています。

「漆黒の闇」は「jet-black darkness」あるいは「pitch-black darkness」です。

なお、「jet」とは、樹木の化石で黒色・光沢のある「黒玉(こくぎょく)」のことを言い、「pitch」とは、タール・石油・油脂等を蒸留して残る黒(褐)色の「瀝青物質」のことを言います。「漆」のことではありません。「漆」は英語で「lacquer」です。

「墨色」は英語で「carbon black」

「墨色」は英語で「carbon black」と書きます。「carbon」とは炭素のことです。カタカナ語でも「カーボンブラック」として色の名称に使われています。

「ジェットブラック」は艶のある黒色であるのに対して、「カーボンブラック」は艶のないマットな黒色です。

まとめ

「漆黒」は、黒漆(くろうるし)を塗った漆器のようにつややかで深い黒色のことをいいます。色のない深い闇を形容するために使われることもあります。

「漆黒」を英語で表現すると「jet black darkness」となりますが、これは「漆のような黒」という意味ではなく、「黒玉(jet)のような黒」の意です。黒玉は高級ジュエリーとしても加工される天然石です。

日本でも海外でも、深い黒色を表現するのに天然素材の持つ黒色をたとえに用いています。