「そんな」は日常的によく使う言葉ですが、口語(話し言葉)のため敬語で話すべきときやビジネスの場での使用には向きません。「そんな」の意味や使い方、言い換えに向く類語をご紹介しましょう。また、学生の方はテスト対策で品詞が気になるかもしれません。品詞についてもご説明します。
「そんな」の意味と品詞とは?
「そんな」の意味とは”相手側の物事の状態・程度”
「そんな」の意味は、“相手側の物事の程度や状況”です。具体的に述べず、間接的・婉曲的に「そんな服」や「そんな話」と表現します。
「そんな」の品詞は”形容動詞”と”連体詞”で分かれる
「そんな」の品詞は意見が分かれていて定説がありません。そのため、辞書の表記も「どの意見を元にしているか」で分かれています。有力なのは「形容動詞」と「連体詞」です。
定説がないことから、教科書には品詞の記載がないことが多いようです。ただし、教科書の内容は定期的に改修されています。学生の方は、学校で使う教科書を確認するべきでしょう。
なお、「形容動詞」「連体詞」のどちらかを教科書に記載していた時期もあるようです。辞書と同じで、どの意見を参考にするかで分かれていました。
「そんな」の使い方と例文とは?
「そんな」は相手の物や状態を述べる際に使う
「そんな」は相手の物や状態を、間接的・婉曲的に述べる際に使います。説明を省略しているとイメージすると分かりやすいかもしれません。「そんなことない」のように、否定や謙遜に使うこともあります。
- 「新しい時計を買ったんだけど、どうかな」「かっこいいね。私もそんな時計がほしいな」
- 「試験に挑戦するのは、僕には早すぎるだろうか」「そんなことないよ」
- 「顔が良くて仕事もできるなんて、さそかしモテるだろうね」「そんなことないですよ」
「そんな」は軽視や意外性のニュアンスもある
「そんな」には軽視・批判などのネガティブさや意外性のニュアンスを含むこともあります。間接的な表現として使ったつもりでも、相手がネガティブな受け取り方をすることもあり得ます。特に表情や声音でフォローできない手紙やメールの場合は、誤解されないよう注意が必要です。
- 軽視・批判の例文
そんなものを買って何に使うんだ。
どうしてそんなことを言うの? - 意外性の例文
クリップにそんな使い方があるなんて、知らなかった。 - どちらにも受け取れる例文
君って、そんな服が趣味だったのか。
「そんな」は口語表現、手紙・メールでは相手を選ぶ
「そんな」は口語(話し言葉)です。そのため、手紙やメールなどの文章に使う場合は、親しい相手に限った方がよいでしょう。目上の人が読むものの場合は、後ほどご紹介する「そのような」が言い換えに使いやすい表現です。
会話で使う場合も、丁寧に伝えたい場合は言い換えた方が無難です。敬語には向かない表現だと覚えておきましょう。
「そんな」を使った表現とは?
「そんな中」は”前述した状況での様子”を表現する
「そんな中」は”前述した状況での様子”を表現する言い回しです。状況の説明を省略しているため、先に伝えておく必要があります。
- 繁忙期は誰もが忙しく余裕がない。そんな中で、いつも明るく振舞う彼女の笑顔に、私は助けられている。
- 下校時間の校門は、学生服の生徒が多い。そんな中、1人だけ私服のAはとても目立っていた。
「そんな折」は”とある時点”を表す
「そんな折(おり)」は”特定の時点”を表す丁寧な言い回しです。ただし、「そんな」が口語のため、かしこまった場面にはあまり向きません。前述している時点・時期を表現するため「そんな中」の類語と言えます。
療養中は暗い気持ちになることもありました。そんな折、部長が送ってくれたメールに励まされていました。
「そんなこんな」の意味は”さまざまな事情”
「そんなこんな」は”さまざまな事情”を表現します。口語のため、かしこまった場面では「そのような事情」や「諸々の事情」などに言い換えるとよいでしょう。
いつもの道が工事で通れないし、途中で電話がかかってきたし……。そんなこんながあって間に合わなかったんだ。
「そんな」の類語と言い換え表現とは?
「そんな」の類語は”そういう”
「そんな」の類語は“そういう”です。「そんな」と同じ意味で、そのまま言い換えられる場面が多い言葉です。敬語に向かない点も共通しています。
違う点は「そんな」にあるネガティブさや意外性のニュアンスが薄いことです。「そんな」では誤解されそうな場合に「そういう」に言い換えるとよいでしょう。
- そんなものを買って何に使うんだ。
→そういうものを買って何に使うんだ。 - 君って、そんな服が趣味だったのか。
→君って、そういう服が趣味だったのか。
書き言葉・敬語の言い換え表現は「そのような」
「そんな」と同じ意味ですが、書き言葉や敬語に向いている類語が「そのような」です。「そのような折・そのようなこと」のように言い換えると、かしこまった場面にふさわしい表現になります。
療養中は暗い気持ちになることもありました。そのような折、部長が送ってくださったメールに励まされておりました。
まとめ
「そんな」とは”相手側の物事の状態・程度”を間接的に表現する言葉です。軽視や意外性のニュアンスを含んだり、かしこまった場面には向かなかったりと、いくつか注意する点があります。正確に把握しておきましょう。