ディテールの意味は?ファッション・美術・建築業界の使い方も

「ディテール」と聞いて、どんなことを連想しますか?「ディテール」はある特定の分野で多用されるカタカナ語の一つですが、意味や使い方を正しく理解している人は少ないかもしれません。

ここでは「ディテール」の本来の意味と、ファッションや美術、建築業界での使い方を、例文を用いて紹介しています。どうぞ、類語の例とあわせてご覧ください。

「ディテール」の意味や正しい発音とは?

さっそく、「ディテール」の意味から解説していきましょう。

意味は「詳しく述べる」

「ディテール」の意味は、「詳細」「細部」「詳しく述べる」です。イメージとして「ものごとや状況の全体の細かい部分」と捉えるとわかりやすいでしょう。

カタカナ語の「ディテール」は英語の「detail」のことで、とても広い意味と意義から成り立つ言葉の一つです。

「ディテール」は言葉が使われる環境や分野によって、意味合いやニュアンスが変ってきます。しかし、「詳細」という意味を軸に考えると、実に理解しやすい言葉でもあるのです。

ビジネス上での意味は「あらゆる事の詳細」

「ディテール」の一般的なビジネスシーンでの意味は「計画や予定など、あらゆるものごとについての詳細」です。

たとえば、上司に「会議について、内容のディテールが欲しい」と言われたら、会議のアジェンダを用い、出席者名簿、進行内容の項目や時間配分、重点となる点などの詳細を提出すればよいでしょう。

また「ことの発端のディテールをちょうだい」と言われたら「なぜこのようなことになったのか、経過や状況、誰がいつ、どこで何をどうした」という詳細が欲しいという意味です。

「ディティール」とは発音しない

カタカナ語の「ディテール」は、まれに「ディティール」と呼ばれることもあるようですが、両方とも同じ「detail」の意味です。

英語では「ディテール」が正しい発音で、「ディティール」とは発音しません。そのため、英語に近い発音「ディテール」を使ったほうが、国際環境においてもスムーズにコミュニケーションできると考えられます。

3つの分野にみる「ディテール」の意味とは?

続いて「ディテール」を業界別に分けて意味を解説しましょう。代表的な業界として「ファッション」「美術」「建築」の3分野を挙げています。

ファッション「細部のデザイン」

さまざまな情報メディアにおいて「ディテールにこだわったファッション」という言い回しを聞いたことはありませんか?

ファッション分野で「ディテール」とは、服の全体のデザインを指すのではなく、ボタンや刺繍のデザイン、襟元やポケットの形やカットの仕方など、ある部分の細かいところを指しています。

服に限らずファッションに属するバッグや靴、スカーフや帽子などにも「ディテール」は使われています。全体の印象には現れることのない細かな部分に注目することで、デザインへのこだわりや意味、価値観をアピールすることができるのでしょう。

美術「最後の細かな仕上げ」

美術分野での「ディテール」は作品の「最終的な仕上げ部分」を指しています。絵画でも彫刻でも、美術における作品にはベースと呼ばれるものがあり、作品の完成に向けて手を加えていきますが、最終段階に差し掛かると、より細かい作業へと移っていきます。この最後の細かい作業を「ディテール」と呼んでいるのです。

水彩画ならデッサンで輪郭をとり、水彩絵の具で全体に色を付けていき、フィニッシュラインで必要な色の強弱や厚みなどを施しながら仕上げに迫る、これが「ディテール」です。同じく彫刻でも、最後の仕上げの部分で行う削りの調整などを「ディテール」と呼んでいます。

美術分野での「ディテール」は作品の表情や価値さえも変えてしまう重要な部分でもあり、必要不可欠な作業でもあると言えるでしょう。

建築「設計の詳細図」

建築分野における「ディテール」は広い意味で「設計の詳細図」のことです。おおむねインテリアの詳細を指すことが多いですが、一つ一つの部屋の設計図やキッチンの配置や構造など、ある部分の設計図を意味することもあります。

建築分野での「ディテール」は建築のどの部分に携わっているのか、どの設計段階かによって意味が異なります。会話で「ディテール」が出てきたら、文脈を考察して適切に意味の使い分けをするようにしましょう。

「ディテール」の使い方と例文とは?

それでは「ディテール」の使い方と注意点を「ディテール」を使った例文と併せて紹介します。

「ディテールが細かい」は不適切

会話や文章の中で「ディテールが細かい」という表現をすることがありますが、この表現は「ディテール」の本来の意味から考えると不適切だと考えられます。なぜなら、「ディテール」の意味自体が「詳細」であるため、「細かい」と組み合わせてしまうと、ダブル表現でニュアンスが崩れてしまうからです。

あえて表現するなら「細かくディテールにまでこだわった」「ディテールの細かさを強調した」などとすれば意味は通じるでしょう。

「ディテールにこだわる」の例文

  • このジャケットはボタンのディテールにこだわっている。
  • 胸元のレース遣いでディテールにこだわった。
  • ディテールにこだわった部分は、バッグの取っ手部分にゴールドを散りばめた点だ。

「ディテール」の類語とは?

それでは「ディテール」の類義語についてみてみましょう。

類語①「事細かに」「つぶさに」など

「ディテール」の意味「詳細」の類語は「事細かに」「つぶさに」「逐一」「具に」などになります。ビジネスシーンで言い換えをする時は状況に応じた類語を選ぶようにしましょう。

  • 引継ぎの際、業務内容を事細かに伝えるよう求められた。
  • 上司に何を言われたのか、つぶさに話してもらえませんか?

類語②「ポイント」「箇所」など

「ディテール」を「全体の中の一つの部分を指す」という意味で捉えるなら、「ポイント」「箇所」「項目」などが挙げられます。

  • 新作のスニーカーのポイントとなる点は何ですか?
  • アジェンダは項目をまとめることで全体が引き締まる。

まとめ

「ディテール」は「詳細を述べる」「詳細」の意味を持つカタカナ語ですが、使い方のツボを得るには少し時間がかかるかもしれません。しかし、軸の意味さえ理解をしていれば応用するのは決して難しくはないでしょう。

また、「ディテール」はファッション、美術、建築の分野で多用されるカタカナ語でもあります。それぞれの意味が若干異なるため、会話で用いる時は文脈を読みながら上手に使い分けをするように心がけてみてはいかがでしょうか。