「帰依」の意味と使い方!「帰依三宝」についても解説(例文つき)

「帰依(きえ)」は仏教に起源をもつ言葉です。日常生活でもよく使われていますが、他の類語とくらべて少し分かりにくい表現かもしれません。ここでは「帰依」の本来の意味や、普段の会話での具体的な使い方がわかる例文などを紹介します。



「帰依」の意味とは?

「帰依」とは「信仰」のこと

「帰依」とは、神仏を尊いものとして崇め、その教えを拠り所として守るという意味の名詞です。読み方は「きえ」で、依存(いぞん)や依頼(いらい)などのように「きい」とは読まないので注意しましょう。

もとは仏教用語のひとつであり、語尾に「する」を付けて「仏道に帰依する」という使い方が一般的です。仏教に限らず特定の団体の教えを守ることや、広い意味で高次元の存在を信じる場合にも用いられ、そのような人のことを「帰依者(きえしゃ)」と呼びます。

「帰依」を使った熟語「帰依処」の意味

「帰依」という熟語は、“本来あるべき場所に戻る・おさまる”という意味を表す「帰」と、“よりかかる・頼みとする”という意味をもつ「依」の2文字からできています。そんな「帰依」の中心であり、究極の救いを表したのが「帰依処(きえしょ)」という言葉です。

人があらゆる危険から逃れることのできる唯一の「避難所」と訳されることもありますが、本来いるべき場所という意味で「仏」と同一視されることもあります。お釈迦さまは「自己を帰依所とせよ」と弟子たちに教えました。この場合の「自己」とは、煩悩や迷いに満ちた自分自身ということではなく、悟りを開いた「真の自己」です。

「帰依三宝」の意味とは

「仏・法・僧(ぶっぽうそう)」の帰依者になる

帰依三宝とは、江戸時代末期にまとめられた「三帰依文(さんきえもん)」の中にある言葉です。人間として生まれ、尊い仏の教えを知ることができたのだから、命あるうちに悟りを得たい。そう願う者は「仏・法・僧(ぶっぽうそう)」という3つの宝を受け入れ、心からの帰依を宣言しようではないかと誘っているのが「三帰依文」です。

「仏」とは「お釈迦さま」のこと

「仏(ぶつ)」は先祖や亡くなった人のことではなく、ここでは仏教の開祖とされている「お釈迦さま(仏陀)」のことです。仏陀(ブッダ)とは、いまから2600年ほど前のインドに実在した人物(ゴータマ・シッダールタ)が悟りを開いた時の名前で、ほかにも釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)・釈尊(しゃくそん)などの呼び方があります。

「法」は「悟り・教え」のこと

「法(ほう)」とは、お釈迦さまが説いた悟りの教えのことで、仏教では絶対普遍の真理として大切にされています。サンスクリット語では「ダルマ」といいます。具体的には仏教の根本理念である諸行無常(しょぎょうむじょう)・諸法無我(しょほうむが)・涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)の「三宝印(さんぼういん)」を意味します。

お釈迦様は、この世のすべては常に変化して止まることができず(諸行無常)、あらゆるできごとは互いに繋り合って変化している(諸法無我)と説きました。その教えを自覚したときに訪れるのが、静かな安らぎに満ちた境地(涅槃寂静)です。

「僧」は修行者たちのこと

「僧(そう)」は、いわゆるお坊さんのことではありません。出家して厳しい戒律を守る修行者「僧伽(そうぎゃ)」の略語で、「和合衆(わごうしゅ)」とも呼ばれます。

もともとインドでは4人以上の修行者グループを表す言葉で、男性の修行者を「比丘(びく)」、女性の修行者は「比丘尼(びくに)」といいます。

「帰依」の類語と対義語

「帰依」の類語は「崇拝・信仰」

「帰依」には、信仰、崇拝、信奉(しんぽう)などのほかに、帰命(きみょう)や信心(しんじん)、回心(えしん)などの類語があります。

サンスクリット語(パーリ語)の「namas(ナマ・ナモ)」を語源とする「南無(なむ)」も帰依と同じ意味です。有名な「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」は、“わが敬愛なる阿弥陀仏さま”という意味で、阿弥陀如来への帰依を表明する文言となっています。

同じ宗教関連では、キリスト教の入信(にゅうしん)、献身(けんしん)または回心(かいしん)なども似たような意味で使用されます。」

「帰依」に対義語はなく、対語はさまざま

「帰依」に直接の対義語はありませんが、特定の宗教を信奉しないという意味では「無宗教」が対語になるでしょう。信仰心を得る・守ることの反対は「棄教」であり、仏教に帰依したあと別の宗教に乗り換えることを「改宗」といいます。

仏教では、仏に救いを求めて帰依することを「他力(たりき)」、自分の修行(努力)で悟りを得ることを「自力(じりき)」と表現します。

「帰依」の使い方と英語表現

「帰依」を使った例文

以下は、「帰依」を使った例文です。「仏・法・僧」以外にも、仏教界でほとんど神格化されている高層への崇敬や、すぐれた偉人の業績を表す言葉として使用されています。

  • 仏に帰依することは、宗教に依存するのとは違う。
  • あの人は弘法大師の帰依者だが、仏法を守ろうとしない。
  • 「魔女」とは、悪魔への帰依を誓った女性のことです。
  • 日本の名刹には歴代将軍の帰依を受けて発展した寺院も多い。
  • オランダの哲学者スピノザは、「敬虔なる真理の帰依者」と呼ばれた。

「帰依」の英語表現

帰依は英語で「Taking refuge in~」、または「Going for refuge」です。いずれも「避難する(帰依処)」に通じ、以下のような文脈で使用されます。

  • I take refuge in Buddah.(私は仏を拠り所としています)
  • Three Treasures refers to Buddha,Dharma,and Samgha.(帰依三宝は仏・法・僧です)

まとめ

「帰依」とは、一貫して宗教の教えや指針に沿った生き方を選ぶという決意であり、深い信仰心を表す言葉でもあります。精神的な世界観を表現したいときに「帰依」を使ってみてください。