「畏敬」の意味は?畏敬の念や畏敬するの使い方・類語と対義語も

「畏敬」は”偉大な人や崇高な人を、心からおそれうやまう”という意味があります。ビジネスシーンはもちろん、私的な場面でも「畏敬の念」や「畏敬する」というように使うことがありますが、正しい使い方をしていますか?

ここでは「畏敬」の意味を中心に、使い方と例文、類語と対義語になどをわかりやすく紹介します。

「畏敬」の意味と読み方とは?

「畏敬」の意味は”偉大な人を心からおそれうやまう”

「畏敬」の意味は“偉大な人や崇高な人をおそれうやまう”ということです。

「畏」は”おそれる・敬服する・おびえる”、「敬」は”うやまう”という意味があります。つまり、自分が恐縮するほど尊敬に値する偉大な人に対して使うのが「畏敬」となります。

「畏敬」を使う対象になる人は、自分にとっておそれ多く、敬って止まないような人です。たとえば、歴史的に偉大な業績を残した人や世界的な活動家、また身近な場面では、地元の有志やお世話になった年配の方などが挙げられます。

「畏敬」の読み方は”いけい”

「畏敬」の読み方は“いけい”です。似たような意味を持つことから、「いけい」を「けいい(敬意)」と取り違えて口にしてしまうことがあるようですが、正しい読み方は「いけい」となりますので気を付けましょう。

「畏敬」の使い方と例文とは?

「畏敬の念」や「畏敬する」を使った言い回しが多い

「畏敬」を使った言い回しで最も多いのが”畏敬の念”や”畏敬する”です。

「畏敬の念」は”相手におそれかしこまる気持ち”を意味しますが、「畏敬の念を抱く(いだく)・畏敬の念に打たれる・畏敬の念を覚える」などのようなかたちで文脈で用いられます。

畏敬の言い回しと意味
  • 畏敬の念を抱く:崇高な人に敬いやかしこまる気持ちを持つこと
  • 畏敬の念に打たれる:偉大な相手に対し、おそれかしこまった感情が引き起こされること
  • 畏敬の念を覚える:超越した存在へのおそれ多く敬う気持ちを感じ取ること

それぞれ、似たような意味がありますが、とくに、自然とおそれ敬う感情が湧いてくる場合は「畏敬の念に打たれる」を使うのが適切です。

「畏敬する」は近づくのも畏れ多いという気持ちを表す

「畏敬する」は偉大な人や崇高な人に対して、心からおそれうやまうことを直接的に意味する表現です。友達同士や職場の同僚などに対して使うことはあまりありませんが、ビジネスで成功を収めた起業家や取引先の社長などに対して、「近づくのもおそれ多い」といったニュアンスで用いられます。

そのため「畏敬する」は”敬意を示す”や”尊敬する”といった表現よりも、深い気持ちを表すときに使うのが適切です。

「畏敬する」は同等の位置にいる人には使わない

「畏敬する」は、基本的に頭を深く下げるに等しい人に対して使うのが適切です。そのため、特別な状況を除いて、同等のポジションにいる人や友達、家族などに対して使うのは適切ではありません。

たとえば、ボランティア活動で貧困を助ける活動をしたり、国に対して多大な貢献をした人などが挙げられます。また、身近な例では、取引先や自社の社長や成功を収めた起業家、また大学時代の恩師や、心を打たれた書籍の著者などに対しても使うことがあります。

「畏敬する」を使った例文

「畏敬する」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 社長に畏敬の念を抱いたのは、寝る間も惜しんで必死で会社を守ったことを知ってからだ。
  • 大学の恩師に畏敬の念を示すべく、心からの感謝とお礼の手紙を書いた。
  • 地方の復興に貢献した彼を、今でも畏敬している。

「畏敬」の類語とは?

類語①「崇敬」とは”崇め慕うこと”

「崇敬(すうけい)」とは”崇め慕うこと”を意味します。神仏をはじめ高貴な人や立派な人に対して、心からの敬いの気持ちを持つことを指します。「崇める」には寵愛する、大事にするという意味もあるため、自分にとって極めて重要な人に対して使うのが適切です。また「畏敬」と比べて「崇敬」は”恐縮する”と言ったニュアンスがやや少ないと言えます。

類語②「畏懼」は身分の高い人に使う

「畏懼(いく)」とは、”おそれおののくこと”を意味する言葉です。相手に対して敬意を抱くとともに、おそれ多く恐縮するようなニュアンスで使われます。「畏懼」は昔、家臣や農民が身分の高い位置にいる人に対して用いていた言葉です。つまり「畏敬」より「身分の高さ」に対して使われることが多いのが「畏懼」です。

「畏敬」の対義語とは?

対義語①「軽蔑」とは”相手をさげすみ、馬鹿にすること”

「軽蔑(けいべつ)」とは”相手をさげすみ、馬鹿にすること”を意味します。相手の人格や能力、家柄や行為など対して見下し、軽くみることを指します。「軽蔑する・軽蔑のまなざし」などのように使い、無条件で相手を軽侮する時に使われます。

対義語②「侮辱」とは”相手を見下すような言動を与えること”

「侮辱(ぶじょく)」とは”相手を自分より劣っていると見下し、侮ること”を意味します。相手をさげすみ罵ったり、また馬鹿にしたような態度をとることを「侮辱」といいます。つまり、相手をないがしろにし、さげすむ言動を与えることが「侮辱」となります。

まとめ

「畏敬」は”いけい”と読み「崇高な人をおそれうやまう」という意味があります。「畏敬の念」や「畏敬する」といった言い回しを多く使い、ビジネスシーンの他、私的な場面でも用いられます。

「畏敬」と言い換えができる語句は「崇敬」や「畏懼」など、対義語は「軽蔑」や「侮辱」などです。相手に最高の敬意を示すことができる言葉ですので、ビジネスシーンや同窓会などで上手に活用してみてください。