「リファレンス」という言葉は、使われる分野によって異なる意味があるため、全体像がつかめないということはありませんか?実は語源の英語に複数の意味があるのです。
「リファレンス」の言葉に直面したときに迷わないよう、英語の意味を確認しながら使い方を分野ごとに解説します。
「リファレンス」の意味と語源とは?
「リファレンス」の意味は「参照すること」
「リファレンス」も複数の意味がありますが、全体として「参照すること」という意味であると覚えておくと意味がつかみやすいでしょう。具体的には次のとおりです。
- 参考、参照
- 照会、問い合わせ
- 図書館での調査業務
「リファレンス」も「レファレンス」も同じ意味
「リファレンス」「レファレンス」と2つの書き方がありますが、どちらも同じ意味です。
「リファレンス」の語源は英語の「reference」
「リファレンス」の語源となった英語は(名詞)「reference」。
referenceには「参照」「照合」「引用文」「参考文献」「推薦状」「身元保証人」「言及」「関係」「関連」など複数の意味があります。また「整理番号」「問い合わせ番号」の意味もあり、この場合は複合語として用いられます。
これらの英語の複数の意味が、そのままカタカナ語の「リファレンス」の意味として分野ごとに用いられているため、わかりにくい印象の言葉になっていると考えられます。
分野別の「リファレンス」の意味と使い方とは
図書館の「リファレンス」は「調べもののお手伝い」
図書館サービスに「リファレンス」があります。「リファレンス」の言葉の意味は「参照すること」ですが、図書館の「リファレンスサービス」にはさまざまな内容が含まれています。その業務内容を「調べものお手伝いします」と説明している図書館が多くあります。
具体的なサービス内容は、図書館そのものの利用方法である、文献や情報の探し方を案内したり、利用者の調べたい情報や文献を利用者にかわって探し出したりする業務です。
大学付属の図書館や規模の大きな図書館には「リファレンスデスク」が設けられており、調べものに関する相談をいつでも行うことができます。メールや電話でも問い合わせることが可能です。
IT用語の「リファレンスマニュアル」は「基準となる説明書」
IT(情報技術)用語で「リファレンスマニュアル」というときは、ハードウェアやソフトウェアの開発者が参照する基準となるマニュアルや仕様書などの説明書を指します。略して「リファレンス」と呼ばれることもあります。
また、基準となるデータや信号のことは「リファレンスデータ」、ハードウェアでソフトウェアとの互換性を判断するために使われる、その時期に標準となる機種のことを「リファレンス機」といいます。
航空券の「リファレンスナンバー」は「予約番号」
「参照される番号」という意味で、航空券の予約番号や航空券番号のことを「リファレンスナンバー」といいます。「ブッキングリファレンスナンバー」ということもあります。
インターネットの航空会社のサイトなどで自分で航空券を予約した場合、リファレンスナンバーが発行されます。航空会社に問い合わせをする際はリファレンスナンバーを伝えるとスムーズです。
採用における「リファレンス」とは
「リファレンスをとる」とは転職時の経歴照会のこと
採用活動におけるリファレンスとは、企業が求職者の以前の雇用主などに行う経歴照会や人物調査のことで、「リファレンスをとる」と使います。リファレンスのプロセスのことを「リファレンスチェック」と表現するため、「リファレンスチェックを行う」という言い方をする場合もあります。
「リファレンス」は、日本では主に外資系企業や大企業の管理職などの転職において行われているもので、経歴を「参照すること」だと覚えておくと意味を把握しやすいでしょう。入社後ミスマッチの防止や面接・履歴書ではわからない人柄や仕事に対する姿勢などを確認する目的で行われます。
「リファレンス」は文書やメール・電話などで行われる
「リファレンス」は、前職の上司や部下・同僚など、求職者の働きぶりをよく知る推薦者2人以上に依頼するのが一般的です。
推薦者に文書やメール(リファレンスレター)を書いてもらって提出する方法と、企業や第三者機関が推薦者に直接確認する方法の2つの方法があります。
「リファレンス」を依頼されたときの答え方・書き方
リファレンスを頼まれた場合には、答える内容が事実と反することのないように注意しましょう。
リファレンスレターは「冒頭の日付・宛先」から始めます。そして「求職者との関係」「具体的な推薦理由や過去の実績」を記載したあと、「要約」「結びと署名」という構成になります。作成するにあたっては、求職者本人の履歴や募集要項・面接内容などをあらかじめ共有してもらうのがおすすめです。
まとめ
「リファレンス」は「参照する」という意味ですが、それぞれの分野ごとに固有の意味合いが加わって使われる言葉になります。ITや採用現場などビジネスシーンで使う機会も多数あるため、それぞれの意味や使い方を正しく理解しておきましょう。