「参考」とは考えや行動を決めるときの手がかりのことです。敬語表現として「ご参考までに」や「ご参考にしてください」などの言い回しは、ビジネスシーンでもよく使われています。
この記事では「参考」の意味や使い方を解説しています。類語である「引用」や「参照」との違いや英語での略語についても紹介しましょう。
「参考」の意味とは?
「参考」の意味は「考えを決めるときに使う手がかり」
「参考(さんこう)」とは、何かを考えたり行ったりするときに、考えや行動を決めるための助けや手がかりになる材料のことです。主に、過去の事例や資料、他人からの意見やアドバイスなどをさします。
また、他の人の文章や言葉を材料や助けとして自分の考えや文章に反映させることも「参考」です。「昨年の資料を参考にして作成しました」などと表現します。
「参考」を使った例文
- 昨年の資料を参考にして、本年度の企画作成をしました。
- 友人のアドバイスを参考に、旅行の予定をたてた。
「参考」を使った言い回しと敬語表現
「参考にしてください」「ご参考になれば」の使い方
「参考」を他人に伝える場合には、「参考にしてください」や「ご参考になれば幸いです」などの言い回しで使うことが多いです。
たとえば、「昨年の資料を参考にしてください」というと「昨年の資料を手がかりとして考えてください」というニュアンスです。また、相手にアドバイスや意見をした場合には「私の意見がご参考になれば幸いです」などと表現することで、意見を助けにして考えていただけると嬉しいというニュアンスが伝わります。
- 今年度の企画については、昨年の資料を参考にしてください。
- 昨年度の資料を準備しましたので、ご参考になれば幸いです。
「ご参考までに」は情報を補足するときに使う
「ご参考までに」とは「手がかりや助けのひとつにしてください」というニュアンスで、「参考までに」という言葉に接頭語である「ご」がついた敬語表現です。相手の考えや行動の材料の候補に、どうぞ使ってくださいといったニュアンスで、本題とは別に補足として情報や資料を提供する場合に用います。
- ご参考までに前回の資料も同封しておきました。
- 昨年の資料も同封しておりますので、ご参考までに。
「参考になります」は目上の人には使わない
「参考になります」はよく使う言い回しですが、目上の人に対して使うのは不適切な表現です。「参考になる」という言葉は「手がかりや助けの材料になる」という意味で、相手の話や考えを自分の判断材料の一つにするというニュアンスがあります。
目上の人に対して使う場合は、「勉強になります」のように言い換えるとよいでしょう。
「参考」と「引用」の違いとは?
「引用」とは「相手の文章をそのまま使うこと」
「引用(いんよう)」とは、相手の文章や言葉などを、自分の文章や言葉の中でそのまま使うことです。「〇〇を引用する」などと表現し、もとの文章や図表などをそのまま記載します。
著作物やインターネット上の記事などで引用を行う場合には、引用元を表記することが一般的です。無断で引用した場合には著作権侵害となる場合もあるため、注意が必要でしょう。
「参考」と「引用」の違いは使い方
「参考」と「引用」の大きな違いは、もとの文章や図表などの使い方にあります。「参考」は、もとの文章や図表などをあくまでも材料や助けとして自分の考えや文章に反映させることです。もとの文章や図表をそのままでは使用せず、あくまでも自分の文章や図表を作成します。
一方、「引用」はもとの文章や図表などをそのまま使用することで、もとの文章や図表を勝手に改変してはいけません。
「参考」の類語とは?
「参照」は物事を照らし合わせ助けにすること
「参照(さんしょう)」とは、物事を調べる過程で照らし合わせて助けや手がかりにすることです。ビジネスシーンでは資料やデータなどの文献をさし「別紙参照してください」などの言い回しでも使います。資料やデータなどを見比べたり確認したりすることも「参照する」です。
「参考」は考えや行動を決めるための助けとすることで他の人の意見や資料などに対して使用しますが、「参照」は主に文章や資料など文献に対して使用します。
「照会」は質問や問い合わせをして確認すること
「照会(しょうかい)」とは、質問や問い合わせをして確認することです。「照」には「光をあてて見る」や「見くらべる」という意味があり、「会」には「一致させる」や「照らし合わせる」といった意味があります。見比べたり問い合わせるなど、確認することが「照会」です。
たとえば、事件に関わった人の身元を確認する時に「身元を照会する」などと表現します。ドラマや映画などでも聞かれる言い回しです。
「転載」は他人の著作物を別の場所で公開すること
「転載(てんさい)」とは、他人の著作物の文章をもともとあった本やインターネット上とは別の場所で公開することです。
「引用」とよく似ていますが、「引用」と「転載」の大きな違いは、他人の文章がどの程度使われているかという点です。メインとなる部分のほとんどが自分の執筆であり、一部に他者の文章を使う場合は「引用」。他者の文章がほとんどで自分が執筆した部分が少ない場合には「転載」と表現します。
「参考」の英語表現とは?
「参考」は英語で「reference」
「参考」は英語で「reference」です。「reference」には「参考」の他に「参照」や「引用」といったニュアンスも含まれています。
考えや行動の手がかりとなったり、確認や理解のための助けになったりする材料を「reference」で表現します。
- for your reference (ご参考までに)
- use as a reference (参考にする)
「FYI」は「ご参考までに」の略語
ビジネスシーンで使われる英語の略語のひとつに「FYI」があります。「FYI」とは「for your reference」の略語で「ご参考までに」という意味です。主にメールなどの文書やチャットなどで使用されています。
まとめ
「参考」は、他人の文章や意見をそのまま使用するのではなく、自分の考えや行動を決めるための助けや手がかりのことです。文章やアドバイス、過去の資料やデータなどに対して「参考にしました」のように表現します。
類語には「引用」や「参照」などがあり、少しずつニュアンスが違うためそれぞれの意味を把握して使い分けましょう。