「固執」の意味と使い方!読み方の違いや類語を例文つきで紹介

「固執する」「固執した考え」など、あまり良い意味で使われない「固執」という言葉がありますが、正しい意味と読み方を知っていますか?

また「執着」との違いはあるのでしょうか?なにかとはっきりしない「固執」について、正しい読み方や意味と使い方を紹介しますので、参考にしてください。

「固執」の意味や読み方とは?

「固執」について、まず意味と読み方を説明し、次に執着との意味の違いを解説します。

「固執」の意味は「自分の考えを押し通すこと」

「固執」の意味は、「自分の考えを押し通そうとすること」です。さらにいえば、「他人の意見に耳をかさず、あくまでも自分の考えを押し通したり、主張したりすること」です。「自説に固執する」「立場に固執する」などと使います。

「執」の意味は「かたくつかんで離さない」

「固執」の「執(しつ)」には「かたくつかんで離さない」「こだわる」「とらわれる」という意味があります。

執念、偏執、妄執など、固執の他にも「執」のつく漢字は、一筋縄ではいかなそうな「こだわり」の意味を持つ言葉がたくさんあります。

「固執」の読み方は「こしつ」。「こしゅう」は伝統的な読み方

「固執」の読み方を説明します。伝統的には「こしゅう」と読んでいましたが、現在は「こしつ」の読み方が一般的です。

2011年にNHKが一般の人に「固執」の読み方を調査したところによると、「こしつ」と読む人は全体の73%、「こしゅう」と読む人は21%という結果が出ています。

辞書でも「こしつ」が主見出しにもなっていることから、すでに読み方が変化したと判断し、NHKでは「こしつ」の読み方を採用しています。その後2014年にも放送用語委員会において「こしつ」の読み方に変化はないことを確認しています。

以上のことから、「固執」の読み方は「こしつ」と読むことが推奨されると考えてよいでしょう。「こしゅう」の読み方も間違いではありませんが、一般的には用いられない読み方であるとの位置づけです。

「固執」の使い方と例文とは?

ネガティブな意味の表現として使われる

「固執」の使い方を例文とともに紹介します。「固執」の意味はあくまでも自分の考えや意見を主張することであるため、ネガティブな意味の表現として使われます。ビジネスシーンではあまり歓迎されない様子であるといえるでしょう。

  • 日本の慣例に固執すると海外ではうまくいかないだろう。
  • 自分の立場に固執して他人の意見を聞き入れない人がいる
  • 固執した考えでは問題は解決できない。
  • 議論を進めるには自分の考えに固執しないことが大切だ。

「固執」の類語とは?

次に「固執」の類語を紹介します。

「執着」は「物事にこだわる」

「固執」の類語である「執着(しゅうちゃく)」は「そのことばかりを思って忘れられないこと」という意味です。「執着心」という言葉もあるように、「ひとつのことにこだわる気持ち」を表します。

例えば「金に執着する」「肩書への執着」など、物欲や名誉欲などにとらわれている状況を表す言葉のため、「他人の意見を聞かず、自分の意見を押し通す」という意味の「固執」とは、こだわりの対象が異なって用いられます。

「執心」は「物事にこだわる」特に異性にこだわる

「執着」とほぼ同じ意味に「執心(しゅうしん)」があります。「執心」は「年下の彼女にご執心だ」などと、特定の異性にとらわれている様子をからかい気味にいう時に特に使われる言葉です。

「拘泥」は「必要以上に気にしてこだわる」

「こだわる」意味を表すやや古い漢語的表現に「拘泥(こうでい)」があります。必要以上に気にするという意味で、「ささいな事に拘泥する」などと使います。

「執拗」は「しつこくこだわり続ける」

しつこくこだわり続ける様子を「執拗(しつよう)」といいます。こだわりから生じて繰り返される行動を指す時などに使われます。「執拗に追いかける」「自説を執拗に主張し続ける」などと用います。

「固執」の対義語とは?

次に「固執」の対義語を紹介します。ビジネスシーンでは「固執」および「固執の類語」よりも、次に紹介する「固執の対義語」が使われるシーンが多いことでしょう。

対義語①「譲歩」

「譲歩(じょうほ)」とはその漢字のとおり「道を譲る」の意から「自分の主張を曲げて相手の意見と折り合いをつける」という意味です。

「互いに譲歩する」あるいは、「譲歩を迫る」「譲歩を求める」などと使います。

対義語②「妥協」

双方の主張が対立しているとき、お互いの主張を譲り合って一致点を見いだし、解決策をみいだすことを「妥協(だきょう)」といいます。

「妥協案」「妥協の余地がない」「妥協策を練る」などと使います。

「固執」の英語表現とは?

英語ではニュアンスの使い分けは無い

英語では「固執」や「執着」「執心」などニュアンスの使い分けは無いため、「こだわる」という意味の英語を使った例文を紹介します。

  • 「自分の考えに固執する(強くこだわる)」
    Hold fast to one’s opinion
  • 「暮らしの中でたくさんのことに執着する(強くこだわる)」
    cling to so many things in life
  • 「権力(役職)にしがみつく(強くこだわる)」
    cling to power [office]

まとめ

「固執」とは、「自分の考えを押し通すこと」「他人の意見に耳を貸さず意見を主張すること」という意味で、ビジネスシーンでは歓迎されない言葉です。

翻って対義語の「譲歩」や「妥協」には、譲り合ってものごとを解決するという意味があります。問題を解決し、目標を達成することがビジネスの目的です。自説の主張はほどほどに、「譲歩」や「妥協」に持ち込む「強い意思」が大切、と心得るのがよさそうです。