「選択肢」とは「選ばれるもの」という意味です。「選択肢」という言葉はどのように使い、どのような言い換え表現があるのでしょうか。
この記事では「選択肢」の意味と使い方にあわせて、類語や言い換え表現を紹介します。また「選択肢」に似た「選択枝」や英語表現も解説します。
「選択肢」の意味とは?
「選択肢」とは「ある質問に対する複数の答え」
「選択肢」の本来の意味は「選ばれるもの」で、そこから派生して「選択肢」は「質問に対して用意された複数の答え」という意味があります。
問題や質問に対する回答の方法のひとつとして選択肢があり、回答者は選択肢から答えを選んで答えます。
「選択肢」には「自分で選ぶ行動」の意味も
「選択肢」の用いられ方によっては、「自分で選ぶ行動やケース」という意味で使われていることもあります。ある事柄を考えたときにいくつかの可能性があり、その中から選ぼうという状況で「選択肢」が使われます。
例えば、人生における岐路に立ち「進学」か「就職」を選べるような状況では、「進学」と「就職」が選択肢になります。
「選択肢」と「選択」は意味が異なる
「選択肢」と「選択」では意味が違います。「選択肢」は「選ぶために用意された複数のもの」なので「選ぶもの」という意味ですが、「選択」は「選ぶという行為」つまり「選ぶこと」を意味しています。
「肢」の本来の意味は「身体の枝」ですが、実用的には「手足」という意味で使われています。しかし「肢」が「選択肢」として使われるときには「本体から別れ出たもの」という意味になります。「肢」があるかないかで言葉の意味が大きく変わりますので、整理しておきましょう。
「選択肢」の使い方と例文
「選択肢がある」は選べるものがあるときに使う
「選択肢がある」とは、選べるものが複数個あるということを表す表現で、選べるものがいくつかある状況で使われます。
また、反対の表現は「選択肢はない」であり、選べるものがないという状況で使われます。
「選択肢を増やす」は選択肢を意図的に増やす表現
「選択肢を増やす」とは、「すでに選ぶべき事柄があるのに、さらに選べるものの数を多くする」という意味の表現です。選択するものの中から選ぶことが難しいため、より選択肢があるといいと思われる状況などで使われます。
この中からでは選べない。選択肢を増やすことを考えよう。
「選択肢を広げる」は状況をふまえて選択肢を増やす
「選択肢を広げる」とは「選択肢を増やす」と同じ意味で、選ぶものの数を増やすことを意味しています。「広げる」を使うことで「増やす」よりも全体を俯瞰している様子がうかがえるので、選択肢を増やすべき事柄全体を見通して選択肢を増やすような状況で使われます。
また「選択肢を広げる」の反対の意味の言い回しは「選択肢を狭める」です。
働く上での選択肢を広げるために、興味のあることはどんどん試してみるといい。
「選択肢」の類語と言い換え表現
「候補」とは「ある選択の対象になる人やもの」
「候補」とは「ある選択の対象になる人やもの」という意味です。例えば、結婚したい女性のことを「花嫁候補」と言うように、ある目的のために選ばれる人を指して「候補」と使います。
「選択肢」との違いは2点あり、「候補」は「選ぶ対象が複数ではなく一つだけの場合もあること」と「選ぶための目的がはっきりしていること」です。
「手持ちのカード」とは「自分が使える手段」
「手持ちのカード」とは「自分が使える手段」という意味で、勝負事や交渉などでも相手と争っていると連想されるときによく使われます。「カード」は手段のたとえで「手持ちのカードを切る」のように使います。
手持ちのカードも少なくなってきた。さあ、どうする?
「選択できるもの」とわかりやすく言い換える
「選択できるもの」は「選択肢」をわかりやすく言い換えた表現で、「選択できないもの」との対比として使われます。「選択肢」には含まれないものがある場面で使いやすい言い換え表現です。
選択できるものはこちらのAからCプランまでで、Dプランは選択いただけません。
「代替案」とは「代わりのプランや構想」
「代替案(だいたいあん/だいがえあん)」とは「あるプランの代わりとなる構想」のことです。「選択肢」が「すでに選ばれていたものの代わりとなるもの」という意味で使われるときの言い換え表現として使えます。
ただし「代替案」の「案」は「構想」「計画」などの意味があるため、代わりとなるものが構想やプランのときだけ言い換え表現として使われます。
プランAは使えないから、急だけど代替案を用意してほしい。
「選択肢」と似た「選択枝」は以前の表記
「選択肢」の「肢」を「枝」に変えた「選択枝(せんたくし)」という表記も時々見られますが、間違いではありません。「選択枝」とは「選択肢」が一般的になる前、当用漢字ではない「肢」の代わりに「枝」が使われていた名残です。
しかし、現代では「選択肢」の方が主流のため「選択肢」を使った方がいいでしょう。
「選択肢」の英語表現
「選択肢」は英語で「choices」「answers」
「選択肢」の英語表現は「choices」や「answers」です。「choices」は「選択」、「answers」は「回答」という意味があります。ポイントになるのはどちらの言葉にも、語尾に「s」がつき複数形になっていることです。「選択肢」は必ず複数あるため、英語では複数形で表現されます。
「選択肢」の英語訳例文
- You have multiple choices.
「あなたにはいくつかの選択肢があります」 - More choices for yourself.
「自分のために選択肢を増やそう」
まとめ
「選択肢」とは「選ばれるもの」という意味ですが、実用的には「ある質問に対して与えられている複数の回答」という意味や、「ある状況において選ぶべき行動やケース」という意味で使われています。「候補」や「手持ちのカード」などの類語は意味の違いを理解して、「選択肢」を正しく言い換えてみましょう。
私には、このまま会社に残って働くか退職するかという選択肢がある。