「錯綜」の意味とは?使い方の例文と類義語「交錯」との違いも解説

「錯綜」とは「入りまじり混乱すること」という意味で、災害や事件などのニュースで見聞きすることが多い言葉でしょう。

この記事では「錯綜」の読み方や意味、使い方は例文もあわせて紹介します。また「交錯」の類語「交錯」との違いや対義語、英語表現も紹介しますのでお役立てください。

「錯綜」の意味と使い方

「錯綜」とは「入りまじって混乱しわからないこと」

「錯綜」の読み方は「さくそう」で、その意味は「あることが入り混じって、混乱しわからなくなること」です。「錯綜」は単に「複雑に入り組んでいる状態」より、「何かが入り混じり、わからないほどの混乱」という状況で使われる言葉です。

「錯」と「綜」は似た意味の漢字

「錯綜」の「錯」という字は「まじる」や「入り乱れる」という意味があり、「綜」にも「混じる」や「入りまじる」という意味があります。つまり、「錯綜」は似た意味の漢字で構成されている二字熟語です。

「錯綜」を使った例文

  • 情報が錯綜して、真相がわからない。
  • いろいろな情報が飛び交い、事態が錯綜した。
  • 推察と結果が錯綜して、どのように整理すればいいかわからなくなった。

「錯綜する」は「混乱していること」を表す

「錯綜」は、動詞の「錯綜する」という表現で使われることがよくあります。情報などの物事が入りまじり、混乱している状態を表現する言い回しです。「錯綜」という言葉の響きに堅いイメージがあるため、事件や災害など社会的に緊迫した状況を伝えるシーンで見聞きすることが多いでしょう。

「錯綜する」を使った例文
  • 不確かな目撃情報が錯綜する状況に、警察は捜査方針を決めかねている。
  • 大きな災害が起こると、ネット上にはさまざまな情報が錯綜する。

「錯綜」の類語(類義語)と言い換え表現

「錯綜」の類語①「交錯」

「交錯」とは「いくつかのものが入り乱れること」という意味で、「交錯」は「錯綜」の言い換え表現としても使われます。同義語として使われることが多いのですが、あえて使い分けるとしたら、「交錯」は精神的な事柄で、「錯綜」は物質的な事柄で使われます。

「交錯」を使った例文

親友に彼女ができたと聞いて、さまざまな感情が交錯した。

「錯綜」の類語②「もつれ」

「もつれ」とは「あることが複雑に入りまじり決着がつかないこと」という意味です。「糸がもつれる」のように「線状のものが絡まり合ってほどけなくなること」を表したり、また「足などが正しく動かないこと」という意味で使われたりすることもあります。

「錯綜」と「もつれ」の両方とも「物事が入りまじる」という意味が共通しています。しかし「もつれ」は「入りまじっている結果、決着がつかない」という意味もあるので、相談事や交渉、決着をつけるべき試合などでなかなか決着つかない場合に「もつれ」が使われることが多いでしょう。

「もつれ」を使った例文

互角の勝負で試合がもつれている。

「錯綜」の類語➂「混乱」

「混乱」とは「物事が入り乱れて整理がつかなくなること」という意味です。「混乱」はもともと秩序があって統制が取れていたものが、何かの原因で秩序が取れなくなり混沌としていることを指します。

「錯綜」との違いは、「混乱」は混乱する前に秩序があって整っていたことが前提になるのですが、「錯綜」は錯綜する前に秩序があったかどうかは問わないという点で違います。

「混乱」を使った例文
  • 部長が欠席したことで、スケジュールが混乱した。
  • 人身事故のため、列車のダイヤが混乱した。

「錯綜」の類語④「錯乱」

「錯乱」とは「入り乱れてごちゃごちゃになること」という意味で、特に感情や想いが入りまじって訳がわからない状態のときに使われる言葉です。

「錯綜」との違いは、「錯乱」はメンタル的な事柄で入り乱れているときに使われて、「錯綜」は主に情報などの物事が入り乱れている状態で使われる点です。

「錯乱」を使った例文

嫌われていたはずなのに「好き」と言われて気持ちが錯乱した。

「錯綜」の対義語

「錯綜」の対義語①「整理」

「整理」とは「秩序に従い整えること」という意味で、ものごとをルールに従って片づけたりするときに使われる言葉です。「錯綜」は入りまじって混乱している状態を指しますから、「整理」が対義語になります。

「整理」を使った例文

番号通りに整理して並べられた本。

「錯綜」の対義語②「整然」

「整然」とは「秩序正しく整っている状態」という意味で、ものごとがある一定のルールに従って整えられているときに使われる言葉です。

「整理」との違いは、「整理」は秩序正しく整えるという行為を指すのに対して、「整然」はすでに整えられている状態のことを指している言葉です。

「整然」を使った例文

整然と並んだ貯蔵品の数々に圧倒された。

「錯綜」の英語表現

「錯綜」は英語で「complication」

「complication」は「物事が複雑に入り組んでいること」という意味の英単語で、日本語に端的に訳すと「錯綜」になります。物事が入りまじり混乱しているため、その先に進めないといった状態で使われる言葉です。

また「錯綜する」は「complication」の動詞形「complicate」を使います。

「錯綜する」の英語例文

  • “If any complications arise, you can always ask me. I’ll help you.”
    「何か錯綜することが起きたら、いつでも聞いて。助けるから」
  • “Information is so complicated that we cannot understand where we should go to.”
    「情報が錯綜して、どこに行けばいいのかわからない」

まとめ

「錯綜」とは「物事が入りまじり混乱しているさま」という意味の言葉で、社会的な事案や事柄などに使われることが多い言葉です。「情報が錯綜する」「利害関係が錯綜する」のように硬い表現でもあるため、口語だけなく書き言葉としてもよく使われます。「交錯」や「混乱」など類義語との違いも整理しておくといいでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。