「風情」の意味とは?「風情がある」の使い方や「情緒」との違いも

「風情」とは景色や状態が上品で味わい深いことを表す言葉です。身分や役職などの代名詞の接尾語として使う場合には、他人に対しては軽蔑や悪口のニュアンスを含むため注意が必要です。

今回は「風情」の意味や読み方、使い方を例文とともに解説します。また「情緒」などの類語や英語表現についても紹介しましょう。

「風情」の意味とは?

「風情」の意味は「上品で味わい深いこと」

「風情」とは「上品で味わい深いこと」という意味で、そのようすや状態を表す言葉です。「風」には「趣き(おもむき)」や「人や物のようす」、「情」には「きもち」や「あじわい」といった意味があります。味わい深く趣きのある景色などに対して「風情がある」と使うことが多いです。

「風情」を接尾語として使う場合は意味合いが変わります。役職や身分など人を表す名詞や代名詞に付けた場合は相手を軽蔑するニュアンスがあり、自分自身に対して使うと謙遜の意味合いになります。

「風情」の読み方は「ふぜい」と「ふうじょう」

「風情」の読み方は「ふぜい」ですが、もうひとつ「ふうじょう」という読み方もあります。「ふうじょう」も間違いではありませんが、一般的には「ふぜい」が使われています。

語源は中国の漢文と日本の「方丈記」

「風情」という言葉の語源は中国の漢文です。しかし、漢文で使われていた「風情」は「人の顔つきや風貌」という意味でした。

日本では、鴨長明の「方丈記」に「風情」という言葉が出てくるのが最初といわれています。「方丈記」の中で「風情」は、現代と同じ「上品で味わい深いこと」を表す言葉として使われています。

「風情」の使い方と例文

「風情がある」は味わい深く美しい景色や状態

味わい深く美しい景色や状態を「風情がある」のように表現します。上品で落ち着いたようすや味わい深く、心に染み入るといったニュアンスです。

例文
  • この旅館の日本庭園はいつ見ても風情がある。
  • 京都や金沢のような風情がある街並みが好きで、よく旅行に出かけます。

「風情」を自分に使うと謙遜の意味になる

「風情」という言葉を「私風情が~」など自分自身をさす代名詞に接尾語として付けた場合、謙遜の意味合いがあります。「私のような者が~」といったへりくだった表現で、相手を立てるニュアンスです。

例文

私風情にはとても不釣り合いな腕時計です。

「風情」を他人に使うと軽蔑や悪口の意味も

「風情」を身分や役職などを表す代名詞につけて他人に対して使う場合、相手への軽蔑や悪口といった意味を含みます。

たとえば「若者風情が文句を言うなんて」と言った場合には「若者の分際で~」や「若者ごときが~」というニュアンスです。

例文
  • 学生風情がそんなことできるわけがないだろう。
  • 町人風情に指図されることではない。

「風情」と「情緒」の違いとは?

「情緒」の意味は「物事によって動く感情」

「情緒(じょうちょ)」とは「きっかけとなる物事によって動く感情」のことです。見たり聞いたりして受けた刺激によって動いたさまざまな感情のことを意味します。また、気持ちや感情を動かす雰囲気やようすも「情緒」と表現します。

「風情」と「情緒」の違い

「風情」と「情緒」の違いは、感情が動いているかどうかにあります。「風情」は、上品で味わい深い情景を見て、自然と湧き上がる感情や味わいをさします。

「情緒」は、きっかけとなる物事に触れることで動いたり感じたりする気持ちです。一時的に揺れ動き変化する感情を表しています。

「風情」の類語とは?

「趣き」とは「味わいや面白み」

「趣き(おもむき)」とは「景色や物事から感じる味わいや面白みのこと」です。街並みや風景などに対し、味わいや面白みなどを感じることを「この街並みには趣きがあります」のように表現します。「風情」とほぼ同じ意味であり、言い換えとしても使える類語です。

「佇まい」とは「立っているようす」

「佇まい(たたずまい)」とは「建物や人物が立っているようす」をさしています。存在する物や人に対して使う言葉です。

たとえば、古い建物が上品で味わい深い「風情」を感じさせる場合は「風情ある佇まい」という表現もできます。

「雰囲気」とは「自然とできあがるもの」

「雰囲気(ふんいき)」とは「その場所や人から自然とできあがっている気分やムードのこと」です。場所や人が作り出す印象やその場の空気を表します。

「佇まい」と似た意味ですが「雰囲気」のほうがより広く何に対しても使える言葉です。

「風流」とは「上品で趣きがあること」

「風流(ふうりゅう)」とは「上品で趣きがあること」です。また、そのようすや状態をさします。素朴で懐かしい景色や物に対しても使います。たとえば古い置物などに対して「風流な置物ですね」と表現したり、古くからの祭りや伝統芸能などを「風流ですね」などと表現したりします。

「風情」は景色や状態に対しての感情ですが、「風流」は物や芸術に対しての感情を表現しているのが、大きな違いです。

「風情」の英語表現とは?

「風情」は英語で「tasteful」

「風情」の英語表現には「tasteful」という単語が適しています。「tasteful」は「上品な」や「趣味の良い」といったニュアンスです。

また「elegant」も「風情」の英語表現に使われています。「elegant」は「優雅な」や「気品の高い」といったニュアンスを持つ単語です。

「風情」を使った英語例文

  • to be tasteful  (風情がある)
  • tasteful garden (風情のある庭)
  • elegant atmosphere (風情あふれる雰囲気)

まとめ

「風情」とは上品で味わいのあるものという意味の言葉です。「ふぜい」と「ふうじょう」の2つの読み方がありますが、一般的には「ふぜい」と読みます。上品で味わい深く感じる景色や状態に対して「風情がある」のように使うことが多いです。類語には「情緒」や「趣き」「佇まい」などがあります。