「付加価値」の意味とは?付加価値率の計算式や使い方も簡単に解説

付加価値とは「付け加えた価値」のことで、「この商品の付加価値は?」のように使いビジネスにおいて重要な役割を果たしています。

この記事では、「付加価値」の意味や使い方を例文とあわせて紹介するとともに、付加価値額や付加価値率など「付加価値」の関連用語の意味や計算方法も解説します。

「付加価値」の意味とは?

付加価値の意味は「商品やサービスに付け加えた価値」

「付加価値(ふかかち)」とは、「企業がある商品やサービスを生み出す過程で作り出されて、新たに付け加えた価値」のことです。企業が商品やサービスを開発していくうえで、ほかの類似した商品とは違う特有の価値が生み出されることがありますが、それを「付加価値」と呼んでいます。

そのため、「付加価値」は商品やサービスに付けられた独自性のある価値」と言い換えることもできるでしょう。「付加価値」が付いていることで、その商品やサービスは他の類似商品との差別化ができ、売上の向上に重要な要素になります。

付加価値とは簡単にいうと「価値」を「付加」すること

「付加価値」は「付加」と「価値」という2つの言葉から成り立っています。

「付加」とは、「ある物事の上にさらに付け加えること」という意味です。一方「価値」とは「物事の値打ち」のことで、「物事がどれくらい役に立つのかを表した程度」という意味です。

「付加価値」は英語で「added value」

「付加価値」は英語で「added value」です。「added」とは「加える」という意味の英単語「add」の過去分詞形で、「価値」を意味する「value」を修飾しています。また「付加価値をつける」は「価値をつける」と言い直して英訳し、「to add value」と表現します。

「付加価値」の英語例文
  • “Added value is important for selling products.”
    「商品を売るには付加価値が重要だ」
  • “The Sales department made trial and error to add value to the product.”
    「営業部は商品に付加価値をつけるために試行錯誤した」

「付加価値率」の意味と計算式

「付加価値率」とは「付加価値額が売上高に占める割合」

「付加価値率」とは「付加価値額が売上高に占める割合」のことです。付加価値率を算出することで、その企業が生み出している付加価値がどの程度あるのかを可視化することができます。

「付加価値率」は、企業の生産性の状況を把握するために重要な数値だと考えられています。

「付加価値率」の計算式は「付加価値÷売上高×100」

付加価値率の計算には「付加価値」と「売上高」を使います。

付加価値率の計算式

付加価値率 = 付加価値 ÷ 売上高 × 100

例えば、原価が1,000円の商品を1240円で販売した場合の付加価値は、1,240円から1,000円を差し引いた240円です。売上高は1,240円ですから、この場合の付加価値率の計算式は「200(円)÷1,240(円)×100」になります。答えは「20」なので、付加価値率は20%です。

「付加価値額」の意味と計算式

「付加価値額」とは「利益」のこと

「付加価値額」とは、「企業が一定の期間で行われた事業により生み出された利益」のことで、「人件費」「経常利益」「金融費用」「賃料」「租税公課」から成り立ちます。

各用語の解説
  • 「人件費」:商品やサービスを生産したときの労務費や販売費、従業員の福利厚生費も含まる。
  • 「経常利益」:事業全体から得られた利益のこと。
  • 金融費用」:資金調達のためにかかった費用のことで、支払利息や謝罪利息などが含まれる。
  • 「賃料」:企業が事業を行うために必要とする建物や車、土地などの資産を維持するために支払われる費用。
  • 「租税公課」:国税や地方税などの税金のほかに、公的に支払われた費用。

「付加価値額」の計算の仕方①「控除法」

「付加価値額」の計算の仕方は2つあり、そのうちの一つが控除法(こうじょほう)です。控除法では、売上高から他社の価値を引き算します。

付加価値額を算出する控除法の計算式

付加価値額 = 売上高 – (材料費、外部から購入した部品費、外注加工費など)

「付加価値額」の計算の仕方②「積上法」

付加価値額を算出するもう一つの計算方法が積上法(つみあげほう)です。付加価値額を構成するものの費用を足して算出します。

付加価値額を算出する積上法の計算式

付加価値額 = 人件費 + 経常利益 + 金融費用 + 賃料 + 租税公課

「付加価値」の使い方と例文

「付加価値をつける」とは価値を付け足すこと

「付加価値をつける」とは新たに価値を付け足すときに使われる表現です。商品やサービスの独自性を明確にするときなどに使われます。

「付加価値を与える」と言い換えることもできるでしょう。

例文
  • 商品を売るために、付加価値をつける
  • 付加価値をつければ、もう少し高い値段で売れるはずだ

「付加価値を高める」とは値打ちをよくする表現

「付加価値を高める」や「付加価値を上げる」とは、「その値打ちをよくする」という意味の表現で、すでに商品等が「付加価値」がある場合に使われます。これまで以上の利益を求めるときによく聞かれる表現でしょう。

例文
  • 生産性を上げて付加価値を高めれば、商品はもっと売れるぞ
  • 類似商品と差別化するためには、付加価値を高めることが重要だ

「付加価値」は人に対して使うことも

「付加価値」という言葉は本来、商品やサービスなどのものに対して使われる言葉なのですが、人を商品と見立てて人に対して付加価値が使われることがあります。

「自分の価値を高めるための付加価値」のような使い方をして、ビジネス上のスキルやキャリアアップについて語られるときに使われます。

例文

会社から「できる社員」だと思われるために、自分に付加価値をつけることを考えてみてはどうか。

「付加価値税」とは海外版の消費税のこと

「付加価値税」とは「商品やサービスに課せられる税金」のことで、主にEU諸国で採用されている税制度です。海外版の消費税とも呼ばれていますが、商品によって課せられる税率が違う点が日本の消費税と異なります。生活必需品である食品などでは税率が低く、それ以外は税率が高めに設定されています。

「付加価値」の類語(類義語)と言い換え表現

「付加価値」の類語は「プラスアルファ―(プラスα)」

「付加価値」の類語として「プラスアルファ―(プラスα)」という表現がよく使われます。「プラスアルファ―」とは「加えられること」や「加えられるもの」という意味で、「アルファα」はギリシャ文字の最初の字です。

「プラスα」の例文

プラスαの価値を持たせた商品だ。

「値打ち」も「付加価値」の言い換えに使える

「値打ち」とは「物事が持っている価値」という意味です。「値打ち」は物事全体に対しての価値を指しているのに対して、「付加価値」は付け加えられた価値という意味上の違いがあるのですが、言い換え表現として使われることもあります。

「価値を持たせる」はビジネスでも使う類語

「価値を持たせる」とは「物事に価値を付け加える」という意味の言い回しで、「付加価値をつける」と言うよりもやわらかい表現になりますが、ビジネス上でもよく使われています。

「価値を持たせる」の例文

ある商品に価値を持たせたら、売れるようになった。

まとめ

「付加価値」とは「商品やサービスに付け足した価値」という意味です。時には人に対しても使われることのある言葉で、自分の価値を高めるために「付加価値をつける」のように使います。ビジネスでは付加価値額や付加価値率など「付加価値」を使った用語も多く使われています。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。