「身も蓋もない」の意味と使い方!「元も子もない」との違いとは?

「身も蓋もない」は日常会話でよく使われる言葉ですが、正確な意味や語源を知っていますか?フタのない鍋や、二枚貝の殻、フタも具もない質素なお吸い物などをイメージしている人も多いという慣用句「身も蓋もない」の使い方について、例文や類語を交えながら紹介します。



「身も蓋もない」の意味とは?

意味は「表現が露骨で情緒がない」

「身も蓋もない(みもふたも ない)」は、ものごとを率直に表現しすぎるあまり風情も情緒も感じられないという意味の慣用句です。それを言われては返す言葉が見つからないとか、それをやってしまったら今まで積み上げてきたものが台無しになるというような言動に対して、「身も蓋もないことを言う」「身も蓋もない話」「こう言ってしまえば身も蓋もないが」のように表現します。

「言い方を考えろ」の婉曲表現

「身も蓋もない」は、「もっと別の言い方があるだろう」と伝えたいときに使う婉曲表現です。明け透けに言う相手に対して「それは言い過ぎだろう」「みんな思ってても言わないだけなのに」と返せば身も蓋もない言葉の応酬になってしまいますが、やんわりと「身と蓋」に例えることで雰囲気が和み、その場が丸く収まります。

由来は「物を入れておく容器」

「身も蓋もない」とは、「容器本体も蓋もない」という意味です。しかし容器がなくて中身(ホンネ)が丸出しという解釈は誤りで、本来は箱部分と蓋という2つのパーツで構成される容器のうち、蓋はおろか本体もないとなれば「結局なにもない」「そもそも話にならない」「何も始まらない」という状態をあらわしています。

「身も蓋もない」の類語と対義語

類語は「にべもない」

「身も蓋もない」の類語は「歯に衣着せぬ」「単刀直入」「にべもない(まったく愛想がない)」などです。「にべ」は「膠(にかわ:コラーゲン由来の接着剤)」の原料として使用されていた魚の名前です。転じて他人との親密度をあらわす言葉となり、そっけない態度のことを「にべない・にべもない」というようになりました。

「身も蓋もない」と「元も子もない」の違い

「身も蓋もない」と似た言葉に「元も子もない(もとも こも ない)」があります。どちらにも「あとには何も残らない」というニュアンスがありますが、「元も子も」の語源は「元金も利息も」で、「利得を狙って失敗した挙げ句に、持っていたものまですべて失う」という意味です。「身も蓋もない」は「はじめから何もない」なので、文脈によって使い分けましょう。

対義語は「建設的」

「身も蓋もない」に対する言葉は、ものごとを積極的に捉えて現状をより良くしようと志す「建設的」です。「花も実もある」は表面を飾るだけでなく精神面でも優れているという意味で、外観も内面も充実しているようすをあらわした言葉です。

「身も蓋もない」の使い方と例文

「身も蓋もない」を使った例文

  • それでは身も蓋もないので、もう少し建設的な意見をお願いします。
  • わたしに素養がないのは事実かもしれないが、そう言われてしまっては身も蓋もない。
  • 身も蓋もないことを言うようで恐縮ですが、サンタクロースの正体は不明だし、クリスマスはキリストの誕生日ですらないのです。
  • どうせお腹で一緒になるからといって食後の薬を味噌汁で流し込むとは、身も蓋もない話です。

身も蓋もない発言の具体例

次に、身も蓋もないと言われてしまいそうな発言の具体例を挙げます。

  • 「この靴、今日の服装に合ってないよね?」「誰も靴なんか見てないから気にすることないよ」
  • 「たまには温泉にでも行きましょう」「せっかくの休日を入浴に費やすなんて御免だな」
  • 「こう言っちゃ悪いけど、このイケメン俳優って大嫌い」「むこうはあなたの存在すら知らないわよ」
  • 「どっちの傘がいいと思う?」「どうせすぐ失くすんだから両方買っといたら」

「身も蓋もない」が誤用になるケース

「身も蓋もない」は、対話の前提条件を共有せずに率直なことを言うところがポイントで、そもそも同じ土俵に立っていないのでこれ以上話が続けられないというニュアンスを含みます。単に「表現がストレートすぎて配慮が足りない」という意味で使うと誤用になることもあるので上手に使いましょう。

たとえば、苦手なことを克服しようと努力しているときに「素質がないから無理」と言うのは、頑張れば克服できるという暗黙の前提を無視してるので「身も蓋もない」ということになります。あるいはコンビニで飲み物を選んでいる人に「原料は水と砂糖だからどれでも同じ」というのは、「選ぶ楽しみ」という前提を無視した意見なので「身も蓋もない」ということになります。

「身も蓋もない」の英語表現

  • You are altogether too outspoken.(露骨にずばずば言う人だ)
  • We won’t get anywhere if you talk like that.(それ言ったらおしまい)
  • That’s harsh.(それは厳しいね)
  • That’s too direct.(ズバリ言うね)

まとめ

「身も蓋もない」の「身」とは、「中身」ではなく容器本体のことです。言葉が露骨でなんの含みもないという意味で、それを言ってしまったら話が続かないというときに使う表現です。もし「身も蓋もない」と言われてしまったときは言動があからさまではなかったか、相手にベクトルを合わせて対話の条件を共有していたかなどの点を顧みると良いでしょう。