相手がいろいろと気をつかってくれたことに対して、感謝を言うときに覚えておきたい言葉のひとつ「お気遣い」。この記事では、「お気遣い」の意味と使い方の他に、「お心遣い」や「ご配慮」などの類語との違いも解説します。また「お気遣いいただきありがとうございます」の英語表現も紹介。
「お気遣い」の意味とは
「お気遣い」の意味は「相手があれこれと気をつかうこと」
「お気遣い」とは相手があれこれと気をつかうことという意味の言葉です。あれこれと気をつかうこととは、相手が自分のことで神経を使い、何かをしてくれたり言ったりしてくれることを指しています。
「お気遣い」は敬語表現
「お気遣い」は接頭辞の「お」と「気遣い」という言葉から成り立っています。接頭辞の「お」は尊敬の意味を表しているため、「お気遣い」は敬語表現になります。
「お気遣い」の読み方は「おきづかい」
「お気遣い」は「おきづかい」と読みます。「遣い」という言葉は訓読みすると「つかい」ですが、「気」が前に付くことで「づかい」と濁音化します。これを「連濁」と言います。
「連濁」が起こる理由には主に2つあり、1つは発音のしやすさ、もう1つは濁音化すると熟語として認識しやすいことです。
連濁の例としては、「大太鼓(おおだいこ)」や「色紙(いろがみ)」などがあります。
「お気使い」とは書かない
「お気づかい」を漢字で表記する場合、「お気使い」ではなく「お気遣い」と書きます。「お気使い」という誤字は、「気を使う」という表現が由来していると思われます。
「気をつかう」には「使う」と「遣う」の両方の漢字が用いられるのですが、その意味はわずかに違います。
- 「気を使う」:相手に配慮するとき
- 「気を遣う」:相手を心配するとき
「つかう」の名詞形「つかい」を漢字表記する場合「遣」を用いるため、「気遣い」と表記されます。
「お気遣い」の使い方と例文
上司や目上の人に「お気遣い」を使う
「お気遣い」は敬語表現のため、上司や目上の人が自分のために気を遣ってくれたことに対して使える言葉です。相手の行為に対して感謝の気持ちで「お気遣い」という言葉を使いましょう。
- お気遣いくださりありがとうございました。
- お気遣いいただきありがとうございました。
- お気遣い痛み入ります。
友達には使わないことが多い
「お気遣い」は尊敬表現ですから、気心知れた友達や同僚には堅苦しいためあまり使いません。ただし友達の気遣いがうれしく、改まった気持ちで感謝したい時には「お気遣い」を使うこともできるでしょう。
病気で休んでいた間、ずっと心配してくれていたんだ。お気遣いをありがとう。
「お気遣いなく」は謙遜表現
「お気遣いなく」とは自分のことは気にせず、お構いなく、という意味です。気を遣おうとしている相手への心配りとして使われます。
たとえば、プレゼントのお返しをくれようとしているときや、相手の家を訪問したときの帰り際など「お気遣いなく」と言うことで、相手や場の雰囲気を和ませることができます。つまり「お気遣いなく」は相手に配慮するための表現です。
- それでは私はここで失礼させていただきます。見送りは結構ですよ。どうぞ、お気遣いなく。
- お土産を用意していただいて、どうもありがとうございました。今後はどうぞお気遣いなく。
メールでも「お気遣い」が使われる
相手の気遣いに対して感謝の気持ちを伝えるお礼メールでも、「お気遣い」という言葉は使われます。
メールで「お気遣い」を使う場合は、相手のどのような気遣いに対して感謝をしているのかを具体的に書くと伝わりやすいでしょう。
- 今日、お歳暮の品を受け取りました。お気遣いいただきましてありがとうございます。
- 先日はわざわざお越しいただいた上にお土産まで頂戴し、○○様のお気遣いには心より感謝申し上げます。
「お気遣い」の類語・言い換え表現
「お心遣い」とは「相手のためにいろいろと気を配ること」
「お心遣い(おこころづかい)」とは、人が相手のためにいろいろと気を配ることという意味の言葉です。
「お気遣い」とほぼ同じ意味ですが、ニュアンスが異なります。「お気遣い」は、相手のことで神経を使いあれこれとすること、「お心遣い」は「心」を「遣う」とあるように、相手を思いやる気持ちから発言・行動するという意味合いです。
また「お気遣い」は、よくないことが起こるかもしれないという不安から発言・行動するという点も異なります。
「お気遣い」と「お心遣い」を使い分ける状況例
「お気遣い」は人が神経を使い、ときには相手のことを心配して行動をとったときに使います。
- 病気のときに、心配してくれた。
- ミスをしたときに、慰めてくれた。
「お心遣い」は、相手を思いやった行動をとった時に使います。
- 病気のお気に心配してくれた上に、差し入れをしてくれた。
- ミスをしたときに慰めてくれた上に、今後のためを思ってアドバイスもしてくれた。
「ご配慮」とは「深く考えて気を配ること」
「ご配慮(ごはいりょ)」とは相手のことを深く考えて気を配ることという意味です。気遣ってくれた相手が、より深く考えてくれたと思えるような場合に使われます。
- この度はご配慮くださり誠にありがとうございました。
- ご配慮を賜りましたことを、心より感謝申し上げます。
「ご高配」とは他人を敬う気持ちが強いときに使う
「ご高配(ごこうはい)」とは相手の心配りを意味します。特に心を配った人に対して敬う気持ちが強いときに「ご高配」と表現します。
「ご高配」の「高」は相手を敬った表現、「配」は気遣いや心遣いの意味です。「ご高配」は目上の人や上司が気遣いを示したときなどによく使われて、ビジネス文書でも用いられます。
- ご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
- 平素より格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
- 今後とも変わらぬご高配を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
「お気遣い」の英語表現
「お気遣い」は英語で「concern」や「consideration」
「お気遣い」の英訳は「concern」や「consideration」です。「concern」は動詞または名詞として使えます。名詞として使う場合には、気遣いという意味の他に不安や心配、関心事などの意味もあります。
「consideration」は名詞として使われ、熟慮などじっくりと考えることという意味で知られる表現です。他人に使う場合、気遣いや思いやりなどの意味があります。
Thank you for your concern/consideration.
「お気遣いありがとう」
「お気遣いありがとうございます」の英語表現
「お気遣いありがとうございます」を英訳すると、“Thank you for your concern/consideration.”でもよいのですが、「ありがとうございます」を忠実に訳すと次のような英文になります。
“I appreciate for your concern/consideration.”
“I appreciate~“という表現は、感謝の気持ちを表す丁寧な表現になります。目上の人に対して、またはビジネスでも公式な場ではこの表現を使うとよいでしょう。大変丁寧な英語表現です。
まとめ
「お気遣い」とは相手がいろいろと神経を使い、話したり行動することを意味する敬語表現です。そのため気をつかってくれた相手が目上の人の場合に使われます。相手が自分に対してしてくれた行為に対して感謝の気持ちを伝えるときに使ってみましょう。